マンション売却に適した不動産業者の選び方・比べ方

マンションを売却するときには、専門的な知識や売買の経験を持つ不動産業者に仲介を依頼するのが一般的です。しかし、不動産業者は千差万別です。しっかり調べて選ばないと、売却に失敗するかもしれません。つまり、売却に成功するかどうかはどの不動産業者を選ぶかにかかっているといえるでしょう。 そこでこの記事では、マンションの売却で失敗しないために、不動産業者の選び方や比べ方を解説します。


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マンション売却の成功が不動産業者選びで決まる理由

マンションを始めとする不動産の売却には、以下のように、多くの手順を踏む必要があります。

・ 売却価格を設定する
・ 広告を出す
・ 内覧などを行う
・ 買い主と価格交渉を行う
・ 申込後に契約書を交わす
・ 物件を引き渡す

専門的な知識を必要とする場面が多く、個人での売却は、特に初めて物件を売り出す方にとって、手間や時間がかかります。そのため、不動産の売却は不動産業者に任せることが一般的です。

不動産業者は売却価格を決めて広告や宣伝を行うなど、売り主に代わって販売活動を進めます。売り主にとって何もかも任せられる安心感がある一方、不動産業者の手腕はまちまちなので、売却できるかどうかが左右されてしまうのです。これが、売却の成功が不動産業者選びで決まる理由です。

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不動産業者の違いを知って適切な業者に仲介を依頼しよう

不動産業者は全国に数多くあるため、探すのには苦労しません。全国展開している大手から地元密着型の小さな業者まで、さまざまな不動産業者が存在しています。その中から、信頼のおける業者を探し出せば良いのです。

しかし、不動産業者には得意とする業務に違いがあり、分譲マンションの開発をメインとするデベロッパー、賃貸物件の仲介や管理を手がける仲介業者、物件の買い取りや再販に強い買取再販業者などが存在しています。

マンションの売却を依頼するなら、不動産の媒介業務を行っている媒介業者を選ぶようにしましょう。

すぐにでも物件を手放したいなら、買取再販業者にマンションの買い取りを依頼する方法もあります。しかし、買取再販業者の買い取り価格は市場価値の7割程度とされており、あまりおすすめはできません。

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【査定依頼するまで】不動産業者の選び方

不動産業者が出す査定額は、マンションの売却価格を決める重要な判断材料となります。適正な価格で売り出すためには、査定を依頼する時点で、マンションの売却に適した不動産業者を選びましょう。

物件の特徴に合った業者を選ぶ

不動産を売却したいなら、媒介業務を行っている不動産業者を選ぶというのは、先に説明したとおりです。しかし、実際に査定を依頼する場合は、さらに踏み込んで、不動産業者の強みを見極めると良いでしょう。

まず、売却を得意とする物件の種類、エリアや沿線などが、所有するマンションの条件に合致しているかを確認しましょう。過去の取引実績を不動産業者にたずねれば、おおよその検討がつくはずです。

投資用物件かどうかで売却手法が異なることも多いので、どういったマンションに強みがあるのか、具体的に質問すると良いでしょう。

行政処分を受けた経歴がある業者は避ける

不動産業者に直接問い合わせる前に、不動産業者の信頼性を自分で調べる方法があります。

それは、国土交通省による「ネガティブ情報等検索サイト<宅地建物取引業者>」を使う方法です。このサイトでは、不動産業者が過去に受けた行政処分の履歴を見ることができます。

ただし、行政処分の内容は不適切な不動産取引から単純な免許更新忘れまで、さまざまです。行政処分を受けたからといって、必ずしも信頼できない不動産業者であるとは限りませんので、あくまでも参考程度にとどめておきましょう。

不動産業者の情報を調べる方法は、ほかにもあります。同じ国土交通省による「宅建業者等企業情報検索システム」です。こちらのサイトでは、会社名や所在地、免許番号など、宅建業者としての情報を確認できます。

免許更新回数をチェックする

宅建業(不動産業者)を営むには、国土交通大臣もしくは都道府県知事の免許を取得しなければなりません。免許番号は、不動産業者のホームページや広告、名刺などに記載されているので、まずは免許があることを確認してください

免許番号は「〇〇県知事(1)第○○○○○号」と記載されています。ここで注目すべきは、カッコ内の数字で示された免許の更新回数です。

免許の更新は5年おきなので、開業から5年目までは(1)、6年目以降は(2)、11年目以降は(3)となります。そのため、更新回数が長く安定した経営が続いているかどうかを判断する目安になるでしょう。

ただし、事務所の移転などによって免許を受ける先が変わると、「国土交通大臣(1)第○○○○○号」のように更新回数もリセットされることがあります。また、不動産業はほかの業種と比較して廃業が少ないので、更新回数だけで業者の信頼度を判断しないように注意してください。

取扱物件の広告に力を入れているか

マンションを売却するとき、販売活動の要となるのが広告です。不動産業者が公開している広告は必ず確認して、広告に対する考え方を見極めましょう。

近年の不動産広告はインターネットがメインです。ネット広告の質や量によって、マンションの情報が行き渡るスピードも範囲も代わってきます。自社サイトはもちろん、どのようなネット広告と提携しているかも重要です。

会社規模

不動産業者を探すときには、会社規模を気にする方も多いかもしれません。それぞれの良し悪しを知って、会社規模に偏りがないように査定依頼を出すと良いでしょう。

大手の業者の場合、扱っている物件や抱える顧客数が多く、買い手を探しやすいでしょう。また、売り手に対する保証も充実しているので、売却時に安心です。

中小の業者の場合、地元に密着している、特定の物件を専門としているなど、大手にはないノウハウや顧客を持っている可能性があります。大手のようなサービスはなくても、担当者からの細やかな対応をしてくれる場合もあるでしょう。

複数査定を依頼する

これまで見てきたことを踏まえたうえで、複数査定を依頼しましょう。

一括査定サイトなどで一度にたくさんの依頼をかける方法もありますが、営業電話が増えて対応に困るかもしれません。業者の実態を知るためにも、3~4社に絞って依頼することをおすすめします。

不動産業者によって査定額にバラつきが出た場合、相場価格よりあまりに高いときや安いときには、その価格をつけた根拠を確認してください。根拠がないときには、業者が相場価格を理解していないことも考えられるので、回避したほうが無難です。

また、同条件の物件の売却情報をあらかじめリサーチして、あなた自身で相場価格をつかんでおくことも重要です。

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【査定依頼後】不動産業者の比べ方

査定を依頼したら、いよいよマンションの売却を任せる不動産業者をひとつに絞ります。信頼できる業者を選ぶときに、比べるべきポイントをお伝えします。

担当者の人柄や仕事ぶり

ネット広告がメインの現在、マンションの売却手法には、業者ごとの差がほとんどみられません。そのため、業者ごとの違いをきわだたせるのは、担当者の人柄や仕事ぶりだといわれています。

また、担当者が不動産を売るための知識や経験を持っていることも重要な比較ポイントです。担当者が知識や経験があると売却時に以下のようなメリットがあります。

・最良な価格の設定
・売却時の最適なタイミング
・実務の円滑さ など

査定価格の根拠を適切に答えられる

不動産業者が提示する査定価格は「この価格であれば売れるという予想金額」といえますが、実際の売り出し価格を確約するものではありません。なかには、いざ売却を任せたら、値下げ交渉してくる業者もいます。

そのため、どのような要素をもとに提示された査定価格を算出したのか、明確な根拠がないようなら心配です。マンションの一面だけではなく、築年数や間取り、立地、競合物件の情報など、多面的に判断された価格かどうかを詳細に尋ねて、確認しましょう。

売却以外の提案ができるか

投資用のマンションを売却したいと考える理由は、人それぞれ違うでしょう。空室が続いて悩んでいる、入居者トラブルが多い、期待したような収益が上がらないなど、運用上での悩みが原因なら、売却以外の提案ができる不動産業者を選ぶのも一案です。売却以外に、不動産投資や運用のアドバイスができる業者もあるので、そこをポイントに探すと良いでしょう。

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そのほかの注意点

マンションの売却を任せられる不動産業者が見つかったら、契約内容にも注意して手続きを進めましょう。

仲介契約は「専任媒介契約」がおすすめ

不動産の媒介契約には「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3つがあります。確実に売却したいなら、専任媒介契約がおすすめです

不動産業者は売却時の仲介手数料を収入としています。同時に複数の業者に依頼する一般媒介契約は、他社が契約を取ってしまい成約に至らないケースが考えられるため、売却活動に力を入れない業者がいます。専属専任契約は一社のみですが、売り主が顧客を見つけても、業者を介さなければならないことがデメリットです。

しかし、専任媒介契約なら売り主に対する制約はないうえ、仲介手数料を得られるよう、不動産業者も売却に向けて動いてくれるので、メリットがあります。

囲い込みに注意

対象の物件を「囲い込み」して、売り主と買い主の双方から仲介手数料を取ろうとする不動産業者がいるので、注意しましょう。

囲い込みとは、売り主と契約する不動産業者と買い主を探す不動産業者が同じときに起こります。「両手仲介」とも呼ばれ、売り主と買い主の双方から仲介手数料を得られるため、不動産業者にとってメリットが大きいのです。

囲い込みをされると、ほかの業者がマンションの購入を希望しても自社で買い主を探すことにこだわるため、成約に至りません。そのため、売却までに時間がかかることが多いうえ、売り主はその原因が囲い込みだと知らないまま、相場価格より値下げせざるを得ないケースもあるようです。

不動産業者と媒介契約を結ぶときには、囲い込みをされていないか、確認しましょう。ほかの業者を通じて、物件の問い合わせをしてみるのも方法のひとつです。

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まとめ

マンションの売却では、信頼できる不動産業者との出会いが成功のカギを握ります。少しでも有利に売却できるように、安心して任せられる不動産業者を選びましょう。

不動産業者を選ぶときには、得意分野を見極めることも大切です。投資用物件を売却したいのであれば、それが得意な業者を探しましょう。また、運用が上手くいっていないせいで売却しようとしている場合は、投資や運用についてのサポートができる不動産業者を選ぶのも良いでしょう。

査定額だけでなく、あなたが売却したい物件の種類や売却理由を洗い出して、適切な業者を選んでください。