【初心者必読!】不動産投資物件の売却に失敗しない方法

投資用不動産を売却するときには、「少しでも高く売却したい」と考えるのは当然のことでしょう。しかし、不動産の売却には失敗やトラブルがつきものだといわれています。未然に防ぐためには、売却を決断する前に必要な知識やポイントを理解しておくことが大切です。 この記事では、不動産の売却に失敗しないためのヒントをお伝えします。


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「売却に失敗した」とは何を指す?

そもそも不動産の売却には、「失敗」と判断する基準がいくつかあります。そこで、失敗といわれる6つの基準を具体的に説明していきます。

1. 相場より安く売った

「事前のリサーチが不足してしまった」、「売り急いでしまった」といった事情から、物件の相場から外れた安い価格で売却してしまうことがあります。

投資用の不動産物件は、購入額よりも高く売却すればキャピタルゲイン(売却益)を得られます。売却するときにはこのキャピタルゲインを多く得たいと考えているオーナーも多いのではないでしょうか。

しかし、物件の価格はオーナーの希望どおりに決まるとは限りません。物件に対する需要と供給によって決まるからです。

また、事前に調査を怠ったり、すぐに現金が欲しいからと売却を急いだりして相場より安く売ってしまうことも起こり得るでしょう。

相場よりも安く売ってしまう原因は、次のような状況が考えられます。

2. なかなか売れなかった、そもそも売れなかった

見合った価格で売り出したとしても、買い手がつかなければ物件を売却できません。

このとき、原因となりやすいのが売り出すタイミングです。近くに好条件の類似物件が販売中である、物件需要の少ない時期に売り出し始めたなどの理由が考えられます。

具体的には、「築年数が古い」、「周辺環境が良くない」、「利回りが悪い」など、投資物件として需要が低ければ、買い手が付きづらいため売却までに時間がかかるでしょう。

3. 仲介を依頼した不動産会社が良くなかった

物件の売却を仲介する不動産会社によって、売却に失敗することも珍しくないようです。

信頼のおける不動産会社に依頼したつもりが、担当する社員が多忙なあまり、積極的な販売活動を行ってくれないこともあるでしょう。情報にプレミアをつけるために限られた顧客にしか宣伝しないなど、販売手法に問題があるケースも見られます。

また、ターゲットを見誤った広告を出しているときも、買い手の不信感をあおって売却が遠のく可能性があります。

思ったような売却価格をつけてもらえない、売却まで長期化しても報告がないなど、不動産会社と意思疎通がうまくいかないオーナーも「失敗」を実感しやすいようです。

4. ローンの残債が払いきれなかった

投資用物件の購入にはローンの利用が一般的です。このローンの残債によって、損をすることもあります。

ローンの完済が必要な理由は、金融機関の抵当権を外さなくてはいけないからです。金融機関は物件を担保にして物件購入資金を貸し出しています。そのローンの返済中は、金融機関がオーナーに対して抵当権を持っており、返済が滞った場合には土地や建物に対して権利を行使できるのです。

物件の売却益でローンを返済できなければ、持ち出しで不足分を支払わないといけません。それでも足りない場合、売却はキャンセルになってしまう可能性があります。

5. 短期譲渡で税金が高くなった

不動産の売却は、所有期間に応じて売却益に対する課税率が変わります。所有期間が5年超であれば20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)ですが、5年以下の場合は39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)とおよそ2倍もの税金が課せられるのです。(2020年10月現在)

物件を売却して利益が出たとしても、所有期間が5年以下だったせいで税率が上がり、思ったような利益が残らない可能性があります。

また、所有期間の判断は、物件を売った年の1月1日時点が基準となる点にも注意が必要です。

6. 管理会社や家賃保証会社の契約解除でトラブルがあった

入居者の募集や家賃の管理を、管理会社や家賃保証会社に任せているオーナーは多いです。しかし、こうした会社間の契約上のトラブルが生じると、時間がかかってしまうなどのリスクがあります。

例えば、会社との契約解除を拒否されて売却したいのにしづらくなったり、高額な解除料が必要になったりするといったトラブルが考えられます。

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不動産投資物件の売却に失敗しないコツ

不動産投資物件の売却を成功に導くには、失敗を未然に防ぐことが重要です。そこで、これまで見てきた失敗例を参考に、不動産投資物件の売却に失敗しないコツを解説します。

相場価格を確認して、売却額を設定する

物件を売却するにはまず相場価格の確認をしてから、売却額を設定しましょう。

同じ物件であっても査定するポイントが異なれば価格は変化します。相場を知るためには、仲介業者へ複数査定を依頼してください。あなた自身がせずとも、仲介業者が行ってくれるので、手間が省けます。

ただし、査定額をただ数字の大小で判断するのではなく、査定の根拠を明らかにすることも必要です。根拠のない数字に惑わされると、売却成立が遅れる原因になるかもしれないからです。自身で周辺の相場価格を調べておくと、適正な売却額を設定するのに役立つでしょう。

売却に良いタイミングと売却にかかる時間を知る

不動産は好きなタイミングで、いつでも売却可能です。しかし、売却に適したタイミングを知っておけば、スムーズに売りやすいでしょう。

売却に適しているのは、1~3月の春先です。入学や転勤などで物件への需要が高まるため、1月までに売り出しておけば、買い手から注目を集めやすいでしょう。ほかにも仕事の年度初めである9月ごろや四半期の変わり目などは、物件の需要が高まりやすい時期だとされています。

ただし、不動産の売却には平均3~6ヶ月ほどかかります。早めに売却しようと、焦って値下げに走らないように気をつけましょう。

融資や金利の推移を確認する

融資や金利の推移から、投資家が購入しやすいタイミングを探って売却するのも良いでしょう。

物件の購入に欠かせないローンですが、不動産投資の急増を受けて、融資条件が厳しくなる傾向にあります。不動産投資を理由にした融資を金融機関が敬遠すると、買い手がなかなか現れないことが予想されるからです。

また、不動産の販売価格と金利は相反する動きをするため、金利が低ければ不動産の価格はあがります。そのため、現状は適正価格ではないと判断されて、購入を控える投資家も出てくるかもしれません。

物件の魅力を高める

同じ条件の物件が同時に売り出されていたら、より条件の良い方へ買い手が流れます。物件を好条件で売却するには、他物件と差別化できる付加価値をつけることを検討しましょう。

水回りやバルコニー、共有スペースの清掃はもちろん、ターゲットに合わせたリノベーション、宅配ボックスやWi-Fiの設置など、販売価格を下げずに売り出す努力をしましょう。

ローンの残債を減らす工夫をする

売却益に頼ったローンの返済計画が危険なのは、先に説明したとおりです。

本来であれば、不動産投資を始めるタイミングで、不動産売却を見据えて返済計画を立てておくべきでしょう。しかし、もしもきちんとした返済計画がなかったとしても、売却を検討すると同時に、残債をいかに返済していくのか、具体的に計画を立ててください。

家賃収入を繰上げ返済に積極的に回すなどして残債をできるだけ減らし、売却に向けて動き出しましょう。

取得5年以上経過後に売却する

先に説明したとおり、不動産の売却益は所有期間によって課せられる税率が異なるため、不動産投資の利益に大きく影響します。売り急ぐ必要がないなら、5年の所有期間を超えてから売却しましょう。

例えば、物件の売却益が500万円だった場合の課税額を見てみましょう。(2020年10月現在)

・短期譲渡所得
【所得税500万円×30%+復興特別所得税500万円×0.63%+住民税500万円×9%=198.15万円】

・長期譲渡所得
【所得税500万円×15%+復興特別所得税500万円×0.315%+住民税500万円×5%=101.575万円】

 

このように、5年を超えるかどうかで税金が2倍近くに膨れ上がってしまうのです。

利回りを高める施策をする

不動産投資物件の買い手は利回りに注目しています。販売価格に見合う投資価値があるかを、利回りで判断するからです。

利回りが5%以上あるかどうかが、購入意欲を左右するといわれています。収益性を証明するために家賃を下げて入居者を集めると、利回りが下がってしまうので気をつけましょう。

空室だからと安易に家賃を下げず、リフォームやリノベーションといった物件価値を高める方法を選ぶことをおすすめします。

委託先との契約内容はきちんと確認する

不動産投資物件の売却を決めたら、物件の管理に関わる委託先との契約内容を、改めて確認しておくと良いでしょう。

管理する会社としては、できるだけ長くオーナーとの契約を維持するのが理想です。そのため、解約に複雑な条件や制限を設けていることも少なくありません。物件の売却はタイミングがカギを握るため、スムーズに事を運べるよう、契約内容はきちんと確認しておきましょう。

契約書にのっとって行動しても事態が進展しないときには、内容証明を利用するなど、法的な処置をとることも必要です。

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売却を仲介する不動産会社の選び方

物件を売却するときには、相場に見合った査定額を出し、積極的に販売活動を手がけてくれる不動産仲介会社と出会いたいものでしょう。しかし、山のように存在する不動産会社の中から一社を選ぶのは、難しいことです。

そこで、売却で失敗しない不動産会社の選び方を紹介します。

不動産投資物件の売却が得意な会社を選ぶ

不動産の取り扱い件数が多い不動産会社だからといって、投資用物件の売買が得意だとは限りません。不動産会社には得意分野と不得意分野があることを認識し、不動産投資物件に強い会社を選びましょう。

さらに、物件のあるエリアの状況に詳しい会社であれば、売り出しに適した価格やタイミングを読み取ってくれるはずです。

担当者の印象や信頼感で選ぶ

業界での知名度が高く、投資用物件にも強い不動産会社を選んでも、担当者が信頼できないなら注意が必要です。

実際に物件の販売活動を手がけるのは担当者です。広告や集客のノウハウは会社にあるかもしれませんが、担当者の話し方や態度に誠意を感じられないようなら、それは買い手にとっても同じことでしょう。買い手との交渉を安心して任せられる担当者との出会いも重要です。

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まとめ

不動産投資は、不動産の売却を無事に終えることで、初めて成功といえます。希望にかなった売却を実現するには、想定される失敗をできるだけ回避できるよう、事前の準備が大切です。

ただし、投資用物件の売却にはそれなりの知識や経験も欠かせません。初めての売却で悩んだら、専門家の手を借りることをおすすめします。