賃貸物件の利回り相場とは?シミュレーション・利回りを高めるコツ

賃貸物件の利回り相場とは?シミュレーション・利回りを高めるコツ

賃貸物件の利回り相場は、物件所有者にとって重要な指標です。この記事では、賃貸物件の利回り相場の概要や種類、計算方法を解説し、実際の物件事例を使用したシミュレーションや利回りを高める方法も紹介しています。


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賃貸物件の利回り相場は5%以上10%以下が理想的です。しかし初めて不動産投資を始める方は、利回りの計算方法や目安がわからず、経営判断ができないと悩んでいるかもしれません。

この記事はこのような方におすすめです。
  • 不動産投資における利回り相場を知りたい
  • 利回りの計算方法がわからない
  • 所有している物件の利回りが低くて悩んでいる

本記事では賃貸物件の利回りの概要や利回りの計算方法、相場シミュレーション、利回りを高めるコツを紹介しています。

不動産投資の利回りとは

不動産投資の利回りとは何かを解説します。

  1. 投資額に対してのリターンを数値化
  2. 不動産投資の利回りの種類
  3. 利回り相場は地域によって異なる

賃貸物件経営を始める前に、最低限の利回りについての知識をつけておきましょう。

投資額に対してのリターンを数値化

不動産投資における利回りとは、投資した金額に対してのリターンを数値化したものです。

投資した金額に対して、1年間で得られた収入がどの程度の割合を占めているかを計算し、収益性を確認するために使われます。

不動産投資の利回りの種類

不動産投資の利回りには、以下3つの種類があります。

・表面利回り(=年間家賃収入÷物件取得価額×100)
・実質利回り(=(年間家賃収入−年間諸経費)÷(物件取得価額+ 購入時諸費用)×100)
・想定(期待)利回り(=想定される年間家賃収入÷物件取得価額×100)

表面利回りは年間で得られる家賃収入を単純合計し、その金額が物件取得にかかった費用のどの程度を占めているか計算して割り出す数値です。
想定利回りは複数部屋があるマンションやアパートで、満室の場合に得られるであろう利回りを計算した数値となります。

実際のマンション経営においては、実質利回りを参考にします。

利回り相場は地域によって異なる

期待利回りの相場をご紹介します。
期待利回りは「購入後に期待される年間家賃収入÷不動産価格×100」で求められるため、物件の価格が高い都心では下がる傾向にあり、反対に地方都市では上がる傾向にあります。

物件が所在するエリア期待利回り相場
東京(城南)3.8%
札幌5.0%
名古屋4.6%
大阪4.4%
京都4.8%
福岡4.7%

【参考】日本不動産研究所 第48回 「不動産投資家調査」(2023年4月現在)

不動産賃貸の利回り目安・最低ライン

不動産賃貸の利回り目安と最低ラインを解説します。

  1. 理想的な実質利回り目安は5%
  2. 最低ラインは3%

理想的な実質利回り目安は5%

不動産賃貸の理想的な利回りの目安は5%です。稀に利回り10%を超える物件もありますが、土地自体の価値が低い、物件が老朽化しておりメンテナンス費用が高額になる、何かしらの瑕疵があるなど、経営におけるリスクを抱える可能性があります。

物件購入時に『想定利回り15%』などと宣伝してある場合も注意しましょう。想定利回りとは、物件が満室と想定した場合の家賃収入をもとに計算している利回りなので、あくまで理想値です。
実際の利回りは、得られた収入から修繕積立費などの経費を差し引いた『実質利回り』で計算しなければなりません。

最低ラインは3%

不動産賃貸の最低ラインの目安は、3%です。3%を切る物件は収益性が低いため、利回りが改善されない場合は赤字になる可能性が高いです。
不動産物件から十分な収入が得られないと、ローン返済が滞ったり、最終的に借金を抱えるような失敗につながる可能性があります。

詳しくは賃貸経営の失敗から借金を抱えるリスクについて解説している記事をご覧ください。

賃貸物件の利回り相場シミュレーション

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具体的に賃貸物件の利回り相場をシミュレーションしてみます。

例として、以下の条件で物件を購入し、毎年諸経費を払っているとします。

<条件>
物件価格:5,000万円
購入時諸経費(5,000万円×7%):350万円
諸経費(管理や清掃+修繕費用+広告費):128.4万円
想定家賃:1室60,000円/月×10部屋

<計算例>
アパートの購入価格:5,000万円+350万円=5,350万円
年間の家賃収入:60,000円×10部屋×12か月=720万円
実質利回り:(720万円-128.4万円)÷5,350万円×100=11.06%

上記の条件をもとにすると、実質利回りは11.06%となり、先ほど説明した目安である5%を超えているため、経営状態は良いと考えて良いでしょう。

ただし、上記の計算は物件が満室と想定しているため、実際は空室状況によって利回りが下がる可能性もあります。

賃貸物件の利回りを高める4つの方法

賃貸経営において利回りを高める努力は重要です。

  1. マンションのニーズを確認
  2. 空室を防ぐ工夫
  3. 維持費の節約
  4. 不動産会社と経営プランを相談

具体的に賃貸物件の利回りを高める工夫を4つ紹介します。

マンションのニーズを確認

賃貸物件の利回りを高めたいなら、まずマンションのニーズを正確に把握する必要があります。地域によってニーズの高い物件の条件が違い、その地域のニーズにマンションの条件が合致しないと空室率が高くなるからです。

例えば、学生が多い地域では安価なワンルームマンションが人気ですが、反対に部屋数が多いファミリー向け物件は需要がない可能性があります。

物件購入時点から、地域のニーズと購入予定の物件条件を照らし合わせましょう。

空室を防ぐ工夫

賃貸物件の利回りは、1年間の家賃収入をもとに計算します。空室があると当然収入が下がるため、空室を防ぐ工夫が必要です。

すでに入居中の人に長く住み続けてもらうには、物件の定期的な修繕や日々の清掃作業などを行ない、居心地の良い環境を作らなければなりません。

そのほか、空室が相次ぎそうな時期には家賃交渉に応じ、契約更新を促すなどの工夫も有効です。

維持費の節約

賃貸物件経営には維持費が欠かせませんが、維持費が高額だと利回りが下がります。メンテナンスに関する費用を削ると空室率が高くなるため、それ以外の費用を見て節約を考えましょう。

例えば管理委託している場合は、自主管理に切り替えることで、管理委託費用を削減できます。毎月入ってくる家賃の一部を手数料として払う必要がなくなり、手元に残る現金が多くなるでしょう。

不動産会社と経営プランを相談

利回りが想定よりも低い場合は、不動産会社に経営プランを再相談してみると良いでしょう。サブリース契約を結んでいる場合は、管理委託の形式を変更すれば収益性が上がり、利回りが改善される可能性があります。

例えば、家賃保証付きのサブリース契約で賃貸経営をしているとしましょう。家賃保証付きのサブリース契約は空室リスクがない代わりに、管理会社へ支払う手数料が15〜20%と高めに設定されています。

サブリースの契約形態をパススルー型サブリース契約に変えると、空室時の家賃保証は受けられませんが、手数料を5%前後(契約により異なる)に抑えられます。

補足

上記の利回りを高める工夫を試しても、改善しないことがあります。その場合は早めに物件を売却し、キャピタルゲインを得て損失を抑える方法も検討しましょう。

まとめ

賃貸物件の利回り相場の理想的な数値は5%、最低ラインは3%です。利回りの計算方法はいくつかありますが、家賃収入から経費を差し引く「実質利回り」が、最も現実に近い数値です。

利回りが低すぎると経営が成立せず、反対に高すぎても物件自体に致命的な欠陥があったり、売却する際の金額が安い可能性があるため、利回りの相場は覚えておいてください。

また所有する物件の利回りが低い場合は、経営プランや工夫によって高める方法があります。どうしても利回りが改善しない場合は、物件の売却も視野に入れるべきです。

物件の売却を検討する場合は、まずは所有物件の価値を正確に把握しましょう。イエリーチなら、いつでも無料で所有するマンションの査定が可能です。所有物件の価値を知りたい方は、ぜひご活用ください。