不動産投資しても回収できない?失敗事例5選と回収困難な場合の対処法

不動産投資しても回収できない?失敗事例5選と回収困難な場合の対処法

不動産投資の初期費用が回収できないとお悩みの方、またはこれから始めたいが、失敗が怖い方もいるはずです。本記事では不動産投資の初期費用の回収目安や失敗事例、初期費用回収を短くするコツと、回収できない場合の対処法を紹介します。


この記事は約10分で読み終わります。

不動産の初期費用が回収できないと、キャッシュフローが赤字となります。不動産投資の初期費用回収目安は、5〜10年です。事前にシミュレーションをおこない、投資を始めましょう。
また、すでに所有している物件の初期費用回収がうまくいかない方は、売却も含めた対処法を考えることをおすすめします。

本記事はこのような方におすすめです。
  • 不動産投資の初期費用回収目安がわからない
  • 初期費用回収期間の計算方法が知りたい
  • 不動産投資の初期費用回収に失敗する事例や原因を把握したい
  • 所有している不動産の初期費用回収ができず、困っている

本記事では、不動産投資の回収期間目安や計算方法、回収に失敗する事例と回収期間を短期化する方法、すでに所有している物件の初期費用回収がうまくいかない場合の対処法を紹介します。

最後まで読めば、不動産投資の初期費用回収の知識がつき、失敗しない不動産投資のコツがわかります。

不動産投資で元を取るまでにかかる期間

不動産投資で回収完了するまでの期間を解説します。

  1. 回収目安は5〜10年
  2. 初期費用回収にかかる期間の計算方法

これから不動産投資を考えている方は参考にしてください。

回収目安は5〜10年

不動産投資の初期費用を回収するまでの期間は、5〜10年間を目安に考えます。初期費用が高額になるため、短期間での回収は困難です。

あまり短く回収期間を設定すると、家賃を相場より高く設定したり、コストを抑えるために修繕費用を節約することとなり、空室リスクを高めることや物件の劣化を早めます。
また、10年以上の長期に設定した場合、相場の変動も考えられるため、計画通りに回収できるかが推測しにくいです。

目安を5年とする理由は、譲渡税の税率が切り替わるタイミングに由来します。
不動産を売却した際の譲渡税は、所得年数が5年以下の場合は短期譲渡所得・5年超の場合は長期譲渡所得になるためです。

所有期間税率合計所得税復興特別所得税住民税
5年以下39.63%30%0.63%9%
5年超20.315%15%0.315%5%

(【参考】No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁

不動産売却で得た利益は課税の対象となり、所得税・復興特別所得税・住民税が課税されます。
所有期間が5年以下と5年超では税率が約2倍違うため、5年超所有してから不動産を売却した方が節税効果が高いです。

所有期間の計算

所有期間は、土地や建物を売った年の1月1日現在を基準に計算します。

①2014年5月1日に物件を購入し、2019年5月3日に売却した場合→短期譲渡所得
②2014年5月1日に物件を購入し、2020年5月3日に売却した場合→長期譲渡所得

①は日数としては所有期間が5年を経過していますが、2019年1月1日時点では4年と7ヶ月しか経過していないため、短期譲渡所得となります。

ただし、不動産投資は初期費用の金額や物件の価値、融資の金額によって回収目安が異なるため、一概に「何年で回収できる」といえません。

初期費用回収にかかる期間の計算方法

不動産の初期費用回収目安は、以下の計算式で算出します。

初期費用回収の計算式

回収期間=1÷実質利回り

たとえば実質利回り7%の物件を所有している場合は「1÷0.07=14.29」となり、約14年かかると計算できます。実質利回りには、修繕費などの経費も考慮されます

上記はおおまかな計算方法であり、さらに詳細に計算する時はCCRを用います。
CCR(Cash Flow Capital Cost Ratio)とは、日本語で「自己資金配当率」です。
投資した現金の合計額に対して、年間利益(税引き前)が占める割合を計算します。

CCRでの計算式

CCR(%)=年間キャッシュフロー÷自己資金×100
回収期間=1÷CCR

例として、自己資金を1,000万円出資し、年間100万円のキャッシュフローを得ていると仮定します。

CCR=100万円÷1,000万円×100=10%
回収期間=1÷10%=10年間

もちろん減価償却期間や周辺の家賃相場の変動があれば、上記の目安通りにはいきません。
何度か計算し直して、回収目安期間内に初期費用を回収できるか確認しましょう。

回収できない場合とは?不動産投資の失敗事例5選と原因

マンション売却後の引き渡しトラブルに注意!事例や対処法を紹介

不動産投資の初期費用が回収できない事例とその原因を解説します。

  1. 競合マンションの出現により空室率が上がった
  2. 売却価格が予想外に下がった
  3. 短期利益を優先したため赤字となった
  4. サブリース契約を突如解除された
  5. 安価な物件を買ったが条件が悪すぎた

万が一不動産投資の初期費用回収に時間がかかり、キャッシュフローが赤字になれば物件を手放さなければなりません。借金を抱える事例もあるため、失敗事例を読んで、対策を考えておきましょう。

競合マンションの出現により空室率が上がる

近隣に競合物件が建設され、入居者を獲得できず空室率が上がると、家賃収入が減ります。
収入が減れば、当初想定した回収期間を大幅に超える、または回収できない可能性があるでしょう。

同じワンルームマンションだとしても、競合物件の方が新しく設備が綺麗、または家賃が安いなど条件がいい場合は、入居者は競合物件に魅力を感じるためです。

売却価格が予想外に下がった

購入当初よりも売却価格が予想外に低くなり、想定した利益を得られない場合は、初期費用が回収できないかもしれません。

不動産投資は家賃収入だけでなく、売却益も得られます。売却によって初期費用を回収できるケースもありますが、周辺環境の変化やマンションの劣化など、外部的な要因で物件の資産価値が下がる可能性もあるでしょう。

物件が売れないため、仕方なく安い金額で手放すこととなり、結果的に利益が想定より低くなります。

短期利益を優先したため赤字

不動産投資でよくある失敗が、目先の利益にとらわれて、キャッシュフローが破綻する事例です。

毎月家賃が入ってくると収入が増えたように感じますが、ローンの支払いや税金のことも考えて、余裕のある運用をしなければなりません。

しかし、中には経費を使えば節税になると考え、現金を残さずお金を消費するオーナーがいます。万が一災害などで修繕が必要になった際に資金がなく、キャッシュフローが赤字になることもあるでしょう。

キャッシュフローが赤字になれば、当然初期費用回収期間は延びます。赤字がふくらめば、不動産投資を続けることが難しくなります。

サブリース契約を突如解除された

不動産管理をサブリース会社に任せていたが、突如契約解除を通知される場合もあります。

サブリースとは…

サブリース会社に所有物件を貸し、サブリース会社がその物件を入居者に転貸する契約です。集客・客付け・管理を一括して任せる代わりに、サブリース会社に対して手数料を支払います。

サブリース契約は、オーナーがサブリース会社に物件を貸す契約です。そのため、万が一物件に空室が出ても、オーナーは家賃を全室分受け取れます。
メリットが多い契約に見えますが、サブリース契約は賃借人であるサブリース会社から一方的に解約できるケースが多いです。

急にサブリース会社が契約解除を申し出た場合、オーナーは空室分の家賃は受け取れなくなります。収入が大幅に減る可能性もあり、その結果不動産初期費用の回収に時間がかかってしまうでしょう。
詳しくはマンションのサブリース契約とリスクについて解説している記事をご参考ください。

安価な物件を買ったが条件が悪すぎた

初期費用を抑えるために安い中古物件を購入したが、条件が悪く入居者が見つからず、投資回収ができないケースもあります。
駅から遠いなど、周辺ニーズと合致していなければ、集客は見込めません。結果的に入居者がいなければ家賃が入らず、キャッシュフローは赤字となります。

不動産会社にいわれるままに物件を買ったり、あまり調べずに安易に中古物件を価格だけで判断して購入すると、初期費用が回収できないリスクがあるため注意しましょう。

不動産投資の回収期間を短期化する方法

不動産投資の回収期間を短くするためには、以下2つの方法があります。

  1. 頭金を減らす
  2. 利回り・条件が良い物件を探す

なるべく早く初期費用を回収したい方は、物件購入前の準備が重要です。

頭金を減らす

不動産投資の初期費用回収期間を短くするためには、自己資金を減らす方法が有効です。
初期費用が高価でなければ、当然回収期間は短くなる可能性があります。

たとえば、金融機関からの借入割合を増やす、または安い物件を探すと良いでしょう。

ただし、借入の割合が多いほど毎月のローン返済額が高くなります。また、安い物件はよく精査しないと、修繕費用がかかり、想定よりコストが上がる可能性もあるでしょう。

利回り・条件が良い物件探し

物件の条件や状態が良い物件を探せば、利益率を高く保ち、回収期間を短期化できます。

たとえば、すでに入居者がいるオーナーチェンジ物件を購入するとします。周辺環境もよくニーズに合致していれば、今後も入居率を高く維持できるでしょう。

物件の管理状態が良ければ、修繕費もさほどかからないため、コストも抑えられます。
ただし、条件の良い物件は当然競争率も高く、売りに出てすぐに買い手が決まるケースがほとんどです。常に物件情報をチェックし、信頼できる不動産会社に仲介契約を依頼しておきましょう。

不動産に投資した初期費用が回収できない場合の対処法4点

すでに所有している物件の初期費用回収が、スムーズにいっていない場合の対処法は以下の4つです。

  1. 募集条件の見直し
  2. 地域ニーズの確認
  3. リノベーション
  4. 物件売却

物件の募集条件を緩和したり、付加価値をつける方法が有効です。

募集条件の見直し

投資した不動産の入居率が低い場合は、募集条件を見直しましょう。条件を見直せば、新たな入居希望者が現れる可能性があります。

たとえば、ペット可物件にしてみる、高齢者受け入れ可能な物件にするなど、条件を緩和してみてください。

駅から距離があり多少マンションの状態が悪くても、ペットを飼いたい人や、審査を断られるケースが多い高齢者への付加価値が高まるため、問い合わせが増える可能性があります。

地域ニーズを確認する

入居率が上がらない場合は、地域ニーズを再確認しましょう。学生が多い地域にファミリー向け物件を持っていても、新規入居希望者はなかなか現れません。

所有物件の条件と地域ニーズが合致しているか確認し、改良できる部分があればリフォームなどで改善しましょう。

所有物件が地域ニーズに致命的に合わず、収益が見込めないと判断した場合は、売却を検討した方が良いかもしれません。

リノベーション

物件のリノベーションで、付加価値を高められます。築年数が古い物件でも、内装がキレイなら入居希望者が現れる可能性が高くなるためです。

設備を最新のものに変える、和室をフローリングにするなどして、物件の印象を良くしましょう。

ただし、リノベーションにはコストがかかるため、本当に必要かどうか精査が必要です。物件の条件や周辺地域のニーズと総合して考え、リノベーションをするか判断しましょう。

物件売却

物件の条件が悪すぎるなら、投資を続けるよりも物件を売却した方が回収期間を短期化できる可能性があります。

入居率が低く、改善の見込みがなければ、今後キャッシュフローが赤字に傾くためです。もちろん想定より安い金額で売れるリスクもあるため、投資を続けた場合の資金シミュレーションをおこない、売却すべきか判断しましょう。

初期費用回収が難しい物件を売るか迷っている場合は、まず不動産会社の査定を受けましょう。イエリーチなら、無料でいつでも不動産査定が可能です。

まとめ

不動産投資の初期費用が回収できないと、最終的に借金を抱えるリスクもあります。不動産投資の初期費用を回収する目安は、5〜10年で考えます。物件を購入する際に、長くとも10年程度で初期費用が回収できるか検討してから投資を始めましょう。

すでに不動産をお持ちのオーナーで、初期費用回収ができず悩んでいる方もいるはずです。その場合は、記事で紹介した付加価値の付け方や条件の緩和を検討してください。

物件の将来性がないと判断したなら、不動産売却もおすすめです。不動産を売却する際はまず、所有物件の正しい価値を知らなければなりません。

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これから不動産投資を始める方は入念にシミュレーションを、すでに物件を持っている方は、売却も手段の1つとして今後も投資するか考えてみましょう。