マンション経営は副業や節税方法としてインターネット上で紹介されており魅力的な投資手法に映ります。しかし実際のところマンション経営に失敗している人もいるため、誰でもマニュアル通りに進めれば成功するような単純なものではありません。
マンション経営が儲からないと言われる理由・成功するコツを把握し、実際のマンション経営の参考にしてください。
マンション経営が儲からない・失敗する理由
マンション経営が「儲からない」「失敗する」と言われている理由を下記に7つ解説します。
- 物件選びを間違っている
- 短期間の結果でに儲からないと考えている
- 想定していた金額で売却ができない
- 初心者には難しい
- ローンを借りることになる
- 初期費用が高い
- 人口が減っている
物件選びを間違っている
物件選びを間違えるとマンション経営は失敗しやすいです。マンション経営が成功するか否かは最初の物件選びにかかっていると言っても過言ではありません。
例えば以下のような物件選びは、失敗を招きやすいでしょう。
・部屋の設備が良くても駅から遠い(利便性が悪い)
・ファミリー層の多いエリアのワンルーム(ニーズに合っていない)
・入居者のニーズは考えず利回りの良さだけで選んだ(ニーズに合っていない)
空室の多い状態が長く続くと十分な利益が見込めなくなり、失敗につながります。
短期間の結果で儲からないと考えている
事業の中には短期的に利益を生み出す方法もありますが、マンション経営は、長期的に運用し利益を出す方法です。
つまり、一般的にはマンションを購入し、経営を始めてその直後から安定した利益を得ることは難しいです。
物件の購入価格に対して家賃収入がどれほど得られるのかは、利回りで表せます。
マンション経営における利回りは以下の2つです。
・表面利回り:年間家賃収入÷物件購入価格×100
・純利回り:(年間家賃収入-諸経費)÷物件購入価格×100
表面利回りでは諸経費を考慮しないため、計算は簡単です。純利回りでは年間家賃収入から諸経費を差し引くため、計算が少々複雑となります。
例えばマンション購入価格1,000万円で年間家賃収入が50万円の場合は以下の通りです。
・表面利回り=50万円÷1,000万円×100=5%
表面利回りが5%の場合、マンション購入費を回収するまでに20年かかる計算です。家賃収入で投資回収をしようとすると数十年はかかります。これまで安定の年収を得てきた人にとって、マンション経営は成功しにくいと感じるでしょう。
想定していた金額で売却ができない
想定していた金額で売却できないことも、マンション経営で儲からない・失敗する理由です。物件の価値が想定以下になるとこれまで順調だったとしても最終的に赤字となることも考えられます。
物件の状況や周辺環境の変化によっても価値は変動するため、マンション経営を始める際に10年以上先の物件価値を正確に見極めることは困難です。
売却のタイミングを見誤ると利益が出るどころか損をしてしまう結果となります。
初心者には難しい
マンション経営は業務内容が多岐にわたり、覚えなければならない知識も多いため、苦労の割に儲からないと感じてしまう方も多いです。
マンション経営には以下のような業務があります。
・需要のある物件選び
・管理業務
・入居者を募集する など
さらに税金、修繕に関する知識が求められる場面も多々あるため、マンション経営は初心者だけでは難しいというイメージが付きやすいです。
ローンを借りることになる
マンション経営の初期費用は、数千万円以上になるのが一般的です。全額自己資金で始める方はまれで、多くの方が金融機関から融資を受けます。
高額なローンを組むと、月々の返済額も多くなるため手元にほとんどお金が残りません。そのためマンション経営は儲からないと感じる方が多いです。
またローンの返済が滞り、自己破産につながるケースも珍しくありません。
初期費用が高い
マンションを購入するためには、不動産取得税や仲介手数料などのまとまった金額を初期費用として支払わなければなりません。
不動産取得税を例に、購入金額と固定資産税評価額がともに3,000万円のマンションを購入したケースで、税額をシミュレーションします。
東京都主税局によると不動産取得税は以下の通りです。
・固定資産評価額×3%
※2024年3月31日までの税率は3%、2024年4月1日以降の税率は4%です。
上記の式で計算すると不動産取得税は90万円(3,000万円×3%)です。
ただし床面積により一定額が控除される場合もあります。
不動産取得税の例からわかるように、マンションを購入して経営するときの初期費用は数百万円になることも珍しくありません。
加えて初期費用は、基本的に自己資金から賄う必要があります。
そのため、利回りの低い物件を購入してしまうと初期費用がかかる割に全く儲からないなと感じてしまう方も多いです。
人口が減っている
「人口が減っているからマンション経営は儲からない」と、考える方も多いです。人口が減ると、マンションを借りる方が少なくなり競争が激化します。
総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」によると日本人の自然減少数は14年連続で拡大し、調査開始の昭和54年以降で最大です。
借りる人が少なければマンション経営では空室が多くなり、家賃収入を得にくくなります。
マンション経営で利益が出る仕組み
マンション経営での収入源は入居者からの家賃収入です。需要が高いマンションであれば家賃を高く設定しても入居者を獲得できます。また長期間住み続ける人が多ければ、継続して家賃収入を得ることも可能です。
ただし、毎月の家賃収入(売上)がすべて利益になるわけではありません。マンション経営の利益は売上から必要経費を差し引いて求めます。そのため家賃収入をコンスタントに得られたとしても、最終的な収支でマイナスであれば利益はでていません。
ここでは、マンション経営の仕組みを知る上で欠かせない下記2つについて解説します。
・キャッシュフローとは
・インカムゲインとキャピタルゲインとは
キャッシュフローとは
キャッシュフローとはお金の道筋のことを指します。家賃収入からローンの返済や税金、修繕費などを差し引いた後、手元に残る金額です。
また、キャッシュフローと所得を混同している方もいます。所得にはローンの返済額は含まれないため「所得」がプラスでも「キャッシュフロー」は、マイナスのケースも考えられます。
マンション経営での成果を知るためには所得ではなく、キャッシュフローを意識しておきましょう。
また、収入を増やすだけではなく、経費削減に尽力することもマンション経営の成功率をあげるためには大切です。
インカムゲインとキャピタルゲインとは
インカムゲインとは資産保有で得られる所得を指します。
キャピタルゲインとは資産売却によって得られる所得のことです。
・インカムゲイン=家賃ー費用 ・キャピタルゲイン=マンション売却益 |
マンション経営では部屋の空室をなくし、毎月の家賃収入を安定させることが大切です。加えて、最終的にマンションを売却する際の売却益も非常に重要です。
売却のタイミングを間違えると、これまで家賃収入を順調に得ていたとしても、想定していた売却益が得られず、結果的に収支がマイナスになることも考えられます。
マンション経営を考えている場合は、キャッシュフローと合わせてインカムゲインとキャピタルゲインについても考えておきましょう。
儲からないマンション経営を避けるためのコツ
ここでは、マンション経営を成功させるために覚えておきたいコツを5つ解説します。
- マンション経営のための知識を身に付ける
- 需要のある物件選び
- 十分な自己資金を用意する
- 付加価値を付ける
- 管理はプロに任せる
マンション経営のための知識を身に付ける
マンション経営には、税金や修繕に関する知識も身に着けておくと安心です。例えば以下の知識を身に付けましょう。
・税金の知識
・内装工事や外壁塗装などの修繕の知識
・集客方法
・金融機関から融資を受ける方法
不動産会社に相談することも1つの方法ですが、長期的にマンション経営に携わるなら自らの知識として蓄えて理解を深めましょう。
需要のある物件選び
需要のある物件を選ぶと、マンション経営で成功しやすいです。需要の高い物件は、入居者が集まりやすく、高い家賃を設定できます。
・駅近
・設備が新しい
・デザイン性が高い
上記のような入居者から求められる物件があれば、マンション経営で成功しやすいです。
さらにマンションそのものだけでなく、周辺の環境もしっかりと調査しましょう。最寄り駅から近い、周辺の物件に空室がないエリアなら、良好なマンション経営が期待できます。
物件選びは経営者目線ではなく、入居者目線を大切にしましょう。また需要を調べる際は、最寄り駅の乗降客数や人口動態統計も参考となります。
十分な自己資金を用意する
マンション経営では、多くの場合でローンを組みます。ただし、借入額が多くなると利息の支払い負担も大きくなるため、最終的な収支がプラスにならないケースもあり、事前のシミュレーションが重要です。
全額自己資金でマンションを購入することは難しくても、なるべく多くの自己資金を用意するのがおすすめです。
付加価値を付ける
マンションにほかにはない付加価値を付けることも、入居者に選ばれるコツです。
例えば、下記のような方法があります。
・ペットを飼っている人でも住めるようにペット可能にする
・楽器演奏が気兼ねなくできるよう防音室をつくる
・おしゃれな人も住みたいと感じるよう、部屋のデザイン性にこだわる
・Wi-Fi標準装備でネット環境を整える
ほかのマンションにはないニーズのある付加価値を取り入れれば、競合マンションとの差別化になります。マンションに付加価値を付け差別化ができると、賃料を下げなくても入居者を集められるでしょう。
管理はプロに任せる
マンションの管理をプロに任せることも、マンション経営で成功する可能性を高める方法の1つです。
最初は綺麗でも、管理がおろそかになると住みにくくなり、入居者は離れていきます。入居者のニーズに応えるためには、丁寧な管理体制が不可欠です。
オーナー自身で管理をおこなう場合はコストを抑えられます。しかし、隅々まで行き届いた管理を継続することは困難です。管理やメンテナンスをプロに任せると、入居者のニーズに応えられ、建物の劣化を防ぐことにもつながります。
まとめ
マンション経営は必ずしも成功するとは限りません。「何年で黒字になる」といった確実な道筋を立てられないのが現実です。実際に、物件選びからうまくいかず失敗している方もいます。
知識も経験もない状態で始めても良い結果に結びつけることは困難です。まずは入念な資金計画を作成しつつ、自己資金を増やしましょう。
マンション経営を始めてからもキャッシュフローを常に確認し管理やメンテナンスを徹底するなど、入居者のニーズにも対応することがマンション経営を成功に導きます。