マンション売却は消費税の課税対象なのか|個人と法人の違いも解説

マンション売却は消費税の課税対象なのか|個人と法人の違いも解説

目次1 消費税と不動産の関係2 マンション売却時の消費税の計算3 消費税の課税対象となるマンション売却費用4 固定資産税 … 続きを読む マンション売却は消費税の課税対象なのか|個人と法人の違いも解説


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消費税は生活に馴染みのある税金です。日用品や食品などの購入には、消費税がかかります。マンションの売却等、不動産に関する場合は消費税のルールが複雑です。マンション売却を考えている人にとっては、消費税が大きな額になるため、気になるところでしょう。

本記事は下記のような方におすすめです
  • マンションの売却で消費税が発生するのか知りたい
  • マンション売却で発生する消費税を自分で計算したい

本記事ではマンション売却にかかる消費税について詳しく解説します。

消費税と不動産の関係

消費税と不動産の関係

国税庁は「消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および外国貨物の引取り(輸入取引)」としています。そのため、個人が住む目的で購入した居住用マンションの売却には、消費税は発生しません。

一方法人が投資用マンションを売却する場合は消費税がかかります。また、事業者とは法人のほか個人事業主のことも指すため、個人であっても事業用として購入したマンションに関しては、売却する時に消費税が発生します。

課税事業者に対しては、たとえ1室でも賃貸マンションとして貸している場合、消費税がかかるため注意が必要です。

【引用】No.6105 課税の対象 l 国税庁

消費税の課税対象は建物部分

法人や個人事業主が所有しているマンション売却には消費税が発生しますが、課税対象は、土地と建物両方ではなく、建物部分のみです。

消費税はその名の通り消費される物にかかる税金です。土地は消費されるという概念がないため、消費税がかかりません。

課税対象課税対象外
・建物の売却(法人または個人事業主)・土地の売却
・居住用建物の売却(個人)

消費税が免税される場合

法人や個人事業主がマンションを売却する場合でも消費税がかからないことがあります。

消費税は課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業主は、課税期間に置ける課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されます。
さらに資本金1,000万円以下の新設法人は設立1~2期目には、課税期間の基準期間が設けられていないため、納税義務がありません。

このように法人や個人事業主であっても、マンション売却時に消費税を納めなくてよい場合があります。

【参考】No.6501 納税義務の免除 l 国税庁

マンション売却時の消費税の計算

マンション売却時の消費税の計算

マンション売却時にかかる消費税は、建物の売却価格を使って計算します。

例えばマンションの売却金額が8,000万円(土地5,000万円+建物3,000万円)の場合、消費税の求め方は以下の通りです。

30,000,000円÷1.1×0.1≒2,727,000円

消費税は建物のみに課税されるため、計算では売却金額8,000万円ではなく、建物の金額である3,000万円を用いて計算します。

消費税の課税対象となるマンション売却費用

消費税の課税対象となるマンション売却費用

マンション売却では建物のほかに、以下の費用も消費税の課税対象となります。

・仲介手数料
・司法書士手数料
・ローンの一括返済手数料

仲介手数料

マンションを売却する場合には、一般的に不動産会社に仲介してもらいますが、その際には仲介手数料がかかり、それに伴い消費税も課税されます。仲介手数料には上限額が設けられています。(2023年3月27日時点)

売買価格仲介手数料上限額
200万円以下の部分売却価格×5%
200万円を超えて400万円以下の部分売却価格×4%+2万円
400万円を超える部分売却価格×3%+6万円

仲介手数料上限額には別途消費税がかかります。

マンション売却金額が400万円を超える場合は、以下の計算式で表せます。

仲介手数料=(売却価格×3%+60000円)+消費税

例えば5,000万円のマンションを売却する場合は以下の通りです。

(50,000,000円×3%+60,000円)+消費税(現在10%)=1,716,000円

上記の金額は上限金額のため、実際には仲介手数料が計算で表された数字の半額になるケースもあります。

司法書士手数料

司法書士手数料はサービスに対しての報酬となるため、消費税が発生します。

ローンの一括返済手数料

定額の住宅ローン一括繰上返済手数料にも消費税が課税されますが、繰上げ返済した額に一定率を乗じて手数料を計算する場合は消費税の課税対象となりません。

固定資産税評価額を用いた時の消費税計算方法

固定資産税評価額を用いた時の消費税計算方法

不動産売却金額が建物と土地で明確に按分されていれば上記の計算式で消費税を計算することが可能です。しかし、建物と土地の売却金額が明確に分かれていない場合は、固定資産税評価額で計算することが一般的です。
以下に固定資産評価額を用いた消費税額の計算を解説します。

税込取引総額:62,400,000円
売却時の土地固定資産税評価額:22,500,000円
売却時の建物固定資産税評価額:15,000,000円
消費税率:10%(2023年3月27日時点)

まずは取引総額における土地と建物の比率を求めます。
土地割合=土地固定資産税評価額÷(土地固定資産税評価額+建物固定資産税評価額)×100
=22,500,000円÷(22,500,000円+15,000,000円)×100
=60%

建物割合=建物固定資産税評価額÷(土地固定資産税評価額+建物固定資産税評価額)×100
=15,000,000円÷(22,500,000円+15,000,000円)×100
=40%

消費税は土地にはかからないため、取引総額の建物割合に消費税率を乗じることで、全体の中の消費税割合を求めることができます。

建物にかかる消費税割合=建物割合×消費税率
=40%×10%
=4.0%

今回の例では、62,400,000円のうち4.0%が消費税であることとなります。

よって、消費税額は以下のように求められます。

消費税額=税込取引総額×(建物にかかる消費税割合÷税込価格の割合)
=62,400,000円×4.0%÷104.0%
=2,400,000円

マンションを売却する際の簡易課税の計算方法

マンションを売却する際の簡易課税の計算方法

事業区分に応じて算出された「みなし仕入れ率」を用いて消費税の納税額を算出できる簡易課税という制度もあります。利用する際は「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。また。基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者のみが適用されるため、利用できる人は限られています。

【参考】No.6509 簡易課税制度の事業区分 l 国税庁

まとめ

マンションを売却する際に消費税が課税されるかどうかは売主が個人か事業者かで変わります。個人で居住用マンションを売却する場合には、消費税は課税されません。また、事業者であっても免税事業者や消費税の納税をしなくてよい新設の法人も存在します。

マンション売却を考えている場合は、消費税が課税されるかどうかを確認しておくと安心です。