マンション売却後の確定申告で経費計上できる費用|節税方法も解説

マンション売却後の確定申告で経費計上できる費用|節税方法も解説

目次1 マンション売却における税金の仕組み2 譲渡費用とは3 取得費用とは4 マンション売却の節税方法5 まとめ マンシ … 続きを読む マンション売却後の確定申告で経費計上できる費用|節税方法も解説


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マンション売却後には確定申告が必要になる場合があります。確定申告では税額の計算などを自らおこなうため、経費計上できる費用を事前に確認しておかなければ、誤った税額を計上し、過不足が生じるリスクが高まります。

マンションの売却益がない場合には確定申告は原則不要ですが、繰越控除を適用する場合は確定申告が必要です。

本記事は下記のような方におすすめです
  • マンション売却後の確定申告がうまくできるか心配
  • 経費にできる費用が知りたい

日頃確定申告をしていない人のなかには、大きな不安を抱えている人も少なくありません。

本記事では、マンション売却における税金や経費について詳しく解説します。

マンション売却における税金の仕組み

マンション売却における税金の仕組み

マンションを売却する際にはいくつかの税金が発生します。税金の種類と発生時期は以下の通りです。

税金の種類発生時期
印紙税売買契約時
譲渡所得税確定申告時
登録免許税引き渡し時
復興特別所得税確定申告時
住民税引き渡し翌年6月以降

印紙税は以下の表の通り契約書に記載された金額の収入印紙を不動産売買契約書に貼り付けて納付します。

契約書に記載された金額税額軽減税率適用時の税額
1万円未満非課税非課税
10万円以下200円200円
(軽減税率対象外のため)
10万円を超え50万円以下400円200円
50万円を超え100万円以下1,000円500円
100万円を超え500万円以下2,000円1,000円
500万円を超え1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下2万円1万円
5,000万円を超え1億円以下6万円3万円
1億円を超え5億円以下10万円4万円
5億円を超え10億円以下20万円4万円

【参考】No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置 l 国税庁
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで l 国税庁(2023年3月29日時点)

譲渡所得とは不動産や株式など、資産を譲渡した際に発生する所得です。マンションを売却した時にも収入があれば譲渡所得に該当します。後ほど譲渡所得の算出方法を詳しく解説します。

税率は以下のように不動産所有期間が5年以下の場合と、5年を超える場合で異なります。

所得税住民税復興特別所得税
短期譲渡所得(不動産所有期間5年以内)30%9%基準所得税額の2.1%
長期譲渡所得(不動産所有期間5年超)15%5%基準所得税額の2.1%

復興特別所得税として2037年まで基準所得税額の2.1%が上乗せされます。

【参考】No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 l 国税庁
No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 l 国税庁(2023年3月29日時点)

譲渡所得は以下の計算式で表します。

譲渡所得=譲渡価額-取得費用-譲渡費用

譲渡価額とはマンションの売却価格のことを指します。取得費用はマンション購入時にかかった費用です。譲渡費用はマンション売却時にかかった費用を指します。

譲渡所得が発生すると譲渡所得税がかかります。逆をいえば売却益が発生しなければ譲渡所得税は発生しません。一般的に建物は築年数が経つほど価値が下がるため、購入費用より売却価格が低くなる傾向にあります。しかし、マンションの売却価格はマンションそのものだけでなく周辺環境の外的要因によっても大きく左右されます。

例えば震災などでマンションの相場が低い時に購入し、震災復興、景気回復で相場が上がった時に売却すると購入時よりも売却時の価格の方が高くなることもあります。
上記のように譲渡所得税が発生するケースはあります。譲渡所得税は高額となる場合が多いため、マンション売却時には譲渡所得税が発生するかどうかを事前に確認しておきましょう。

マンション売却で譲渡所得が発生した場合、住民税が増加します。これは、住民税が前年の所得に応じて決まるためです。住民税の増加は売却益発生の翌年1年間のみで、分割請求されます。

マンション売却に関する税金のなかでも譲渡所得税は高額ですが、対策をおこなうことで節税につながるため、詳しく解説します。

譲渡所得税を算出する際は以下の計算式で表します。

譲渡所得税=譲渡所得×税率

譲渡費用とは

譲渡費用とは

前述しましたが、譲渡費用とはマンションなど、不動産売却時にかかった費用です。具体的にはどのようなものを譲渡費用として確定申告で計上できるのでしょうか。

確定申告で譲渡費用に計上できる費用

確定申告では、主に以下の費用が譲渡費用として計上できます。

・仲介手数料
・印紙税
・土地の測量費用
・立ち退き料
・建物の解体費用

上記の費用に共通していえるのがマンションを売却するための費用ということです。
ただ、測量費が売却のために100%支払ったと認められない場合は、譲渡費用として認められないことがあります。

確定申告で譲渡費用に計上できない費用

主に以下の費用は譲渡費用として計上できません。

・固定資産税
・相続登記費用
・税理士報酬
・抵当権抹消登記費用

先述しましたが譲渡費用とは100%売却のために支払った費用のみが計上できます。

マンションの維持管理に必要な修繕費や固定資産税などは譲渡費用として計上できません。

取得費用とは

取得費用とは

取得費用はマンションの取得にかかった費用を指します。取得費用をなるべく多く計上することで節税につながります。

確定申告で取得費用に計上できる費用

確定申告では主に以下の費用が取得費用として計上できます。

・購入代金や建築代金
・購入時に支払った手数料
・設備費・改良費
・購入時の土地測量費
・契約書の印紙代
・固定資産税

譲渡費用と比べると多くの費用が取得費用として計上できます。

確定申告で取得費用に計上できない費用

主に以下の費用は取得費用として計上できません。

・引っ越し費用
・家電・家具の購入費
・火災保険料

マンションの購入に直接的にかかわりがない費用に関しては取得費用として計上できません。

確定申告では譲渡費用や取得費用をなるべく多く計上して税金対策に役立てましょう。

取得費用がわからない場合

取得費用はマンション取得時の費用のため、売却時には取得費用がわかる当時の書類が揃わないこともあります。その場合は売却価格の5%を取得費用として計上します。ただ、実際の取得費用よりも低くなることが多いため、税金を高く納めなくてはなりません。

なるべく取得費用を計上した方が節税になるため、手元に契約書がなくても以下のような方法で取得費用が算出できないか確認しましょう。

・マンションを購入した不動産会社に連絡
・マンション取得時の地価データから購入額を推測
・マンション取得当時の通帳の出金履歴を確認

相続したマンションだと取得当時の書類がなく取得費用がいくらかわからないことも珍しくありません。そのような時もすぐに諦めずに取得費用を算出できる術がないか探してみましょう。

マンション売却の節税方法

マンション売却の節税方法

マンション売却には税金が発生します。ただし、工夫次第では大きく節税が可能です。ここでは、マンション売却における節税方法を解説します。

譲渡費用・取得費を多く計上する

先述した通り、マンション売却では譲渡費用をなるべく多く計上することで節税となります。

譲渡費用や取得費用に計上できるのかどうかを自分で見極められない場合は、税理士や不動産会社に確認しましょう。

居住用マンションなら3,000万円特別控除

譲渡費用や取得費用を計上しても譲渡所得税が発生した場合は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例を利用しましょう。この特例を適用するには主に以下の要件を満たしている必要があります。

・自分が住んでいるマンションを売るか、以前住んでいたマンションの場合は、住まなくなった日から3年経過する日の属する年の12月31日までに売却すること

・売却した年の前年および前々年にほかの特例を受けていないこと
・売却した年の前年および前々年に同じ特例を受けていないこと
・売り手と買い手が親子や夫婦などの特別な関係でないこと

譲渡所得税が発生しそうな場合には居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例が利用できる期間に売却することがおすすめです。

軽減税率を利用

譲渡所得税の税率は、所有期間が5年を超えるタイミングと、10年を超えるタイミングでそれぞれ低くなります。5年超に関しては先述の通りです。一定の要件に当てはまり10年を超えると以下の税率が適応されます。

譲渡所得税額
6,000万円以下譲渡所得×10%
6,000万円超(譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円

【引用】No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 l 国税庁(2023年3月29日時点)

増税前に売却

マンション売却では、税率が数%上がるだけで発生する税金は大きく変わります。そのため、マンション売却を検討している場合は増税される前に動くことも1つの方法です。

まとめ

マンションの売却で売却益が発生した場合は確定申告が必要となります。譲渡所得税を抑えるためには譲渡費用と取得費用を残らず計上することがポイントです。

経費として計上できる費用と計上できない費用があり、面倒に感じる人も多いでしょう。しかし、譲渡所得税は高額になるため、しっかりと見分けて見落とさないように計上することで節税につながります。

自分で譲渡費用や取得費用になるか判断できない場合や、確定申告の方法やタイミングなどが分からない場合は、税理士に相談することも1つの手です。