【対処法】不動産を「買って!売って!」と電話がしつこい!!どうすれば良い?

不動産会社からのしつこい営業電話に悩まされた経験がある人は、多くいるのではないでしょうか。 毅然とした応対をすれば、同じ業者が何度も勧誘してくるのを止められる可能性があります。さらに不動産の勧誘に関する知識を身に付けておくと、なお良いでしょう。 そこで今回は、不動産会社が繰り返し営業電話をかけてくる理由や個人情報の入手方法から、営業電話の対処法までを紹介します。


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【営業電話の理由】なぜしつこい?なぜ個人情報が洩れている?

不動産仲介会社からの営業電話が何度もかかってくる背景には、不動産仲介業の事情と名簿業者による個人情報の提供があります。

不動産の営業電話がしつこい理由

「不動産を買ってほしい(売ってほしい)」という不動産仲介会社からの電話が繰り返しかかってくる理由は、不動産仲介業のビジネスモデルに要因があります。

不動産仲介業の報酬は、不動産の売り手・買い手の仲介で得る仲介手数料です。仲介手数料は法律で上限3%と決められているうえに、取引が成立しないと手数料は得られません。

そのため、不動産の売り手・買い手に出会う機会をとにかくたくさん設ける必要があります。そこで、営業マンに1日の電話件数や週末に内覧してもらう件数などの厳しいノルマを課し、ビジネスチャンスを広げようとするのです。

売り手・買い手にアプローチする方法は、ネット広告やチラシなどもあります。それでも電話がよく使われるのは、電話営業が短時間に効率的に多くの人と接点を持つ方法として適しているからでしょう。

営業の立場からすると「数多く電話をかけ、買ってもらえたら…」という気持ちで電話しているのが本音ではないでしょうか。

不動産会社があなたの連絡先を知っている理由

不動産仲介会社からの営業電話が何度もかかってくると「自分の連絡先がどこかから漏れているのではないか」と思いませんか。

通販の利用履歴や資料請求、同窓会名簿などをもとに、住所・氏名・電話番号・学歴・勤務先・年収などをまとめた社会人データが作成されていると考えられます。データ販売業者はリストを希望する企業の求めに応じ、年収や学歴、勤務先など条件に合わせたリストを販売しています。

また、すでに不動産物件を所有している場合は所有者のリストが作られているので、電話がかかってくる確率は高くなります。

アンケートなどで個人情報を提供するときにも注意が必要でしょう。なぜなら、ショッピングモールやWebサイトなどでのアンケートや、セミナーに参加して個人情報を提供したことがきっかけで、電話がかかってくることもあるからです。

「でも、本人の知らないところで個人情報が売買されたり、第三者に提供されたりするのは違法では?」と思う人もいるかもしれません。しかし、個人情報保護法で名簿の売買は認められています。

名簿の売買は原則、本人の同意が必要です。しかし、名簿業者は以下の項目を本人に通知するか、本人が簡単に知り得る状態にしておくことで、第三者への情報提供が可能なのです。

1.第三者への提供を利用目的とすること
2.第三者に提供される個人データの項目を示す
3.第三者への提供方法・手段
4.本人が個人データの第三者への提供を停止してほしいと要求すれば停止すること

 

「本人が簡単に知り得る状態」とは具体的に「ホームページのトップページから1回程度の操作で到達できる場所に、継続的に掲載されている」「定期刊行物に定期的掲載を行っている」などを指します。

本人の求めに応じて、個人情報を提供する業者は第三者への情報提供を停止しなければなりません。しかし、電話をかけてきた不動産仲介会社に「どこの業者から情報を提供してもらったのか」と尋ねても、教えてはくれないでしょう。つまり、現実的には情報提供の停止は難しいと思われます。

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【知っておこう】法律には営業電話に関する決まりごとがある

度重なる営業電話に対し、消費者は何もできないわけではありません。電話勧誘販売は「特定商取引法」という法律で規制対象となっているからです。この法律では、電話をかける際に告知しなければならない内容や、勧誘の方法などが決められています。

さらに、マンション販売に関する営業電話は「宅地建物取引業法」(宅建業法)でも規制されています。

マンション販売時の勧誘は法律の規制あり

特定商取引法と宅建業法では、宅建業者(不動産仲介会社)は営業電話をかけた際、業者の名称や勧誘する営業担当の氏名、勧誘の目的を告げずに勧誘を行ってはいけないことになっています。

さらに、宅建業法では、電話を受けた側が迷惑だと感じるような時間に電話や訪問による勧誘も禁止されています。

再勧誘の禁止もある

営業電話を受けた側が「契約はしません」と意思表示をした場合、業者は勧誘を継続したり、後日再び電話をかけてきて勧誘したりすることは、特定商取引法および宅建業法で禁止されています。

知っておけば毅然とした態度で断れる

不動産仲介会社からの営業電話は法律で規制されていることを知っておくと、しつこい営業電話を断ることができます。

業者名も告げずに勧誘をしようとしたり、深夜などの時間帯に電話をかけてきたりした場合、あるいは、一度断ったあとに再び電話をかけてきた際に、法律に違反していることを指摘しましょう。

法律で禁止されている再勧誘をしてこないようにするには、あなたの「契約しない」という意志表示が必要です。法律を上手に活用するためにも興味がないことを明確に伝えましょう。

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【購入を勧められている人向け】営業電話の断り文句

物件の購入を勧められている人なら、他社で購入したことを告げましょう。

「今は結構です」「良い物件が出たら」「今は仕事中なので」など断りきれずにいると、時間をおいて再び電話がかかってくる可能性があります。

「どちらで購入されたのですか?」と尋ねられても、「答える必要はありません」と断りましょう。

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【売却を勧められている人向け】営業電話の断り文句

売却を進められている人も、今後への含みがあるような返答はせず、これ以上話が発展しないような毅然とした受け答えをすることが大切です。

他社で売却することが決まりました

おすすめの返答は、すでに売却が決まった旨を伝えることです。売却する物件がなくなったので話が進みません。

おすすめできない受け答えは、「その価格では売れない」「今は売却を検討中」など、話が継続するような受け答えです。こちらも同様に、その後も電話がかかってくる可能性があります。

家族が住むことになったので売れない

「家族が住むので売りません」という返答も、家庭事情に関わるため、安易に話を進める営業マンは少ないでしょう。

営業電話の断り文句は、「すでに決定事項がある」という旨を伝えるのが有効です。

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それでも電話がしつこい場合の対処法

これまで述べたような対応をしているにもかかわらず、営業電話が繰り返しかかってくる場合は、消費者生活センターへの相談や、宅地建物取引業者の免許行政庁に報告しましょう。

消費生活センターへの相談

全国にある消費生活センターでは、商品やサービス、商取引に関する消費者からの問い合わせや苦情を受け付けています。

局番なしの「188」に電話をかけると、最寄りの消費生活センター(土日祝は国民生活センター)につながります。また、各地の消費生活センターを訪ねて直接相談することもできます。お住まいの近くにある消費生活センターの所在地は下記のページから検索してください。

出典:全国の消費生活センター等_国民生活センター

免許行政庁への報告

「断ったのに営業電話がしつこい」「長時間にわたって電話を切らせてくれない」「深夜や早朝など迷惑な時間に電話された」「脅迫された」「絶対儲かるなどと言われた」

不動産売買の勧誘でこのような事例が起きた場合は、宅地建物取引業者の免許行政庁に報告してください。報告方法は以下のとおりです。

1.電話を受けた日時や業者名、会社の所在地、免許証番号、担当者、具体的なやり取りなどを記録する

2.宅地建物取引業者の免許行政庁を確認する

※国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、国土交通大臣から免許を得た業者と都道府県知事から免許を得た業者の情報が検索できます

出典:国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」

3.検索の結果、業者に免許を出している免許行政庁がわかったら、そこへ連絡する

※免許行政庁が各地方整備局などの場合は国土交通大臣免許業者、都道府県名の場合は都道府県知事免許業者です

※国土交通大臣免許業者は、地方整備局等の宅地建物取引業免許部局に連絡します。連絡窓口は下記のページから調べられます

国土交通省 土地・不動産・建設業 地方整備局に関す窓口
※都道府県知事免許業者は、各都道府県の宅地建物取引業免許部局に連絡します。知事免許に関する窓口は下記のページから調べられます

国土交通省 土地・不動産・建設業 都道府県に関する窓口

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まとめ

マンションの購入や売却を勧めるしつこい営業電話は、後を絶ちません。不動産会社がデータ販売業者の販売する個人情報リストや、マンション所有者の情報を持っているためです。

電話勧誘は法律で規制されており、しつこい営業電話を撃退するには消費者もそのことを知っておくことが有効です。勧誘を拒否する返答を毅然と行うことが大切ですが、それでも営業電話が止まらない場合、消費者生活センターや宅建業者に免許を出している免許行政庁に報告をしましょう。