ローン残債があり、投資用マンションが売却できるか不安な所有者の方もいるでしょう。残債があっても投資用マンションの売却は可能です。
この記事では、ローン残債がある投資用マンションで売却が可能なケースと返済の流れ、万が一完済できない場合の対処法を解説します。
最後まで読めば、ローン残債がある投資用マンションの売却プランを立てられます。
ローン残債がある投資用マンションでも売却は可能
ローン残債がある投資用マンションでも、売却は可能です。
原則ローン残債がある状態で売却ができない理由と、売却につなげる方法を2パターン紹介します。
- ローン残債がある投資用マンションが売却できない理由
- マンション売却金額でローンを完済できる場合
- 売却金額+自己資産でローンを完済できる場合
ローン残債が残っている状態でマンション売却を検討している方は、売却手続き前に売却する方法を把握しておいてください。
ローン残債がある投資用マンションが売却できない理由
原則ローン残債がある状態では、投資用マンションの売却はできません。金融機関からの借入がある状態では、物件は完全に所有者のものではなく、抵当権が設定されています。
担保として金融機関が物件に設定する権利の1つです。万が一ローン返済ができなくなった場合は、金融機関は抵当権を根拠として物件を売却して、弁済に充当することができます。
【参考】民法369条
つまり購入した物件はローンを完済しない限りは、金融機関の担保であり、完済するまでは自由に売却ができません。
マンション売却金額でローンを完済できる場合
ローン残債があっても、マンションの売却金額でローンを完済できる場合は、売却ができます。ローン残債額が売却金額を下回っている場合は、売却と同時にローンを完済できるためです。
たとえば、ローン残債が3,000万円で物件が5,000万円で売却できたとしましょう。この場合はローン残債を十分に支払えるため、問題なく物件を売却できます。
売却金額+自己資産でローンを完済できる場合
仮に売却金額がローン残債を下回っている場合でも、自己資産を持ち出して補填できれば、物件売却は可能です。
物件の売却金額が2,000万円で、ローン残債が2,500万円だったとします。この場合500万円の自己資産を用意できれば、問題なくローンを完済し、抵当権の抹消が可能です。
投資用マンション売却時にローン残債を返済する流れ
マンション売却を検討している方は、事前にローン残債完済までの流れを把握しておきましょう。
- ローン残債の確認
- 返済を見越した売却金額の設定・不足金用意
- マンション売却契約
- 金融機関へ一括返済の申請
- 抵当権の解除書類準備
- 引き渡し日に金融機関担当者立ち会いの元返済手続き
- 抵当権抹消手続き
ローン残債がある状態での、マンション売却の流れを簡単に解説します。
ローン残債の確認
売却前に、現時点でローン残債がいくら残っているか確認しましょう。ローン残債の額を参考に、なるべく完済できるように売却価格を決めるためです。
金融機関に申し出て、現時点での正確な残債を確認してから、売却手続きを始めてください。
返済を見越した売却金額の設定・不足金用意
ローン残債を確認したら、返済を見越して売却金額を設定します。もちろんローン残債だけを意識して、相場よりも高値をつけると物件が売れづらいため、相場とローン残債のバランスをとりましょう。
たとえば、ローン残債が2,000万円で、相場価格が1,500万円程度の場合は相場を優先します。500万円の不足金については不足となるため、金策して用意しておいてください。
またこの際、売却にかかる経費についても検討したうえで予算を設定しましょう。
詳しくはマンション売却に必要な経費について解説している記事をご参考ください。
マンション売却契約
マンションの購入希望者が現れたら、マンションの売却について契約を締結します。引き渡し日や代金の弁済日などを取り決めましょう。
金融機関へ一括返済の申請
売買契約がまとまったら、金融機関へ一括返済の申請をします。金融機関への一括返済は手数料が必要なため、手数料も用意しておいてください。
抵当権の解除書類準備
一括返済の申請を受けて、金融機関が抵当権の解除書類準備を始めます。
引き渡し日に金融機関担当者立ち会いの元返済手続き
物件の引き渡し日に、双方の売買仲介不動産会社、金融機関担当者が立ち会い、手続きをおこないます。この際に、金融機関担当者によってローン残債の返済手続きをし、残債額を支払います。
抵当権抹消手続き
金融機関から抵当権抹消手続きの書類が届くため、内容を確認して必要事項を記載し、手続きをしましょう。抵当権抹消書類の作成後、登記手続きをおこない、抵当権抹消手続きが完了です。
投資用マンションの売却でオーバーローンになった場合の対処法
万が一投資用マンションの売却時に、オーバーローンになった場合の対処法を解説します。
- 自己資産でローンを完済する
- 売却時期を再検討する
- 競売にかける
- 任意売却する
オーバーローンとは、マンションの売却金額がローン残債を下回ることです。つまり、ローン返済ができない状態をいいます。
想定より売却価格が低い場合などの対処法を把握しておきましょう。
自己資産でローンを完済する
万が一売却金額がローン残債を下回った場合は、不足金を持ち出しで用意しましょう。ローンの完済ができない場合は、抵当権の抹消手続きができないため、売買自体ができません。
どうにか金策して、不足額を用意してから売買契約を締結してください。
売却時期を再検討する
相場の変動などで、想定よりも売値が低くなる場合は、売却時期を見直しましょう。特にローンを完済するために、不足額を用意できない場合は売却できません。
無理に売るよりも不動産市場の繁忙期まで待つ、または競合物件が少ない時期に売りに出すことで、現時点よりも高値で物件が売れる可能性があります。
詳しくはマンションの売却時期について解説している記事をご参照ください。ワンルームマンション以外の投資用マンションにも共通する内容であるため、ぜひ参考にしてください。
競売にかける
どうしてもローン完済が難しい場合は、物件を競売にかけることとなります。
債権者(金融機関)が申し立て、地方裁判所によっておこなわれる入札形式の不動産売買の形式です。売値を決めずに売りに出し、入札価格が最も高い人が物件を落札します。
身近なところでいうオークションのようなもので、ローン完済が難しい場合は競売を検討しなければなりません。
一般的に競売は通常の相場よりも物件が安く売れるケースが多い点に注意してください。
任意売却する
競売は一般的に、相場よりも2〜3割程度安い価格で売却されます。一般的な価格で売買を希望する場合は、任意売却を検討しましょう。
金融機関の許可を得て、所有者の意思で物件を売買することです。一般市場で売買できるため、価格は相場程度で設定できます。
任意売却のためには、金融機関の許可が必要です。また、物件の資産価値や税金の滞納がないことなど条件がある点に注意してください。
ただし、任意売却でもローン完済が難しい場合は、不足額を自己弁済しなければなりません。
まとめ
ローン残債が残っていても、投資用マンションの売却は可能です。原則ローンの完済が条件となりますが、売却金額で完済が十分な場合、また不足額を自己弁済できる場合は売却を検討しましょう。
問題は、ローン残債の返済が難しいケースです。競売や任意売却する選択肢はありますが、最もおすすめの方法は売り時を見直すことです。
適切なタイミングで投資用マンションを売却すれば、想定以上の価格で物件を売却できるため、売却の際は余裕をもって売却準備をおこなうようにしましょう。