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不動産投資ローンの借り換えを検討した方が良い人・しない方が良い人
返済がきついからといって、ローンの借り換えが必ずしも適切な手段とは限りません。まずは、不動産投資ローンの借り換えを検討するべきかどうか、その判断基準について解説します。
借り換えた方が良い人
不動産投資ローンの借り換えにおける比較基準ですが、基本的には金利を軸に比較するのが一般的だといえるでしょう。その際に注意しておくべきは、借り換えによってどのくらい金利が下がるかです。
借り換え後の金利が1%以上下がること、返済期間が10年以上残っているなどが、ひとつの目安です。また、借り換えによる効果を期待する意味で、一般的には500万円以上のローン残債が目安とされています。
いずれも該当する場合は、ローンの借り換えを積極的に検討するべきでしょう。
借り換えない方が良い人
ローンの借り換えでは、手数料や保証料などの費用がかかります。
諸費用を差し引くと、借り換え前とほとんど差がない、あるいはマイナスになる場合は、ローンの借り換えで思うような効果は期待できないでしょう。具体的には、ローンの残債が少ない場合や残りの返済期間が短いケースです。
シミュレーション方法
不動産投資ローンの借り換えは、あくまでも目安です。さまざまケースがあるので、一度シミュレーションして借り換え前と借り入れ後を比較するのが良いでしょう。
具体的な計算は複雑ですが、以下の計算式であれば簡易的に「借り換えによる差額」を出すことができます。
(ローンの残高×借り換え前と後の金利差×返済期間の残り)÷2
(例)ローン残高600万円、金利差1%、返済期間残り20年の場合
(1,000万円×1%×20年)÷2=100万円
※簡易計算の結果はあくまで目安です。詳しくは専門家に相談するのがおすすめです。
不動産投資ローンを借り換える時機を見極めよう
ここまでは不動産投資ローンの借り換えの見極めについて解説しましたが、借り換えにもベストなタイミングがあります。ここで紹介する3つの時機を参考に、不動産投資ローンの借り換えを考えてみましょう。
金利が低いとき
ローンの金利は、経済状況などで変動します。金利が低い時機は、既存ローンとの金利差が大きくなることで、金利の圧縮効果が期待できますので、金利の低いタイミングでの借り換えが候補として考えられるでしょう。
金利が低い時機を見逃さないためには、世の中の状況も把握しておくことが大切です。近年の傾向としてはマイナス金利政策がとられていますので、全体として不動産投資ローンの金利水準は低くなっていると考えることができます。
固定金利の固定期間が終了するとき
不動産投資ローンでは、全期間固定金利型ではなく、一定の期間だけ固定金利に対応したものがあります。固定金利は一般的に変動金利よりも高い金利が設定されていますが、固定金利対応期間中は市中金利に変動があっても金利が一定にできるというメリットがあります。
しかし、固定金利終了後は変動金利に移行してしまううえ、変動金利に移行することで金利が上がる可能性もあります。この固定期間終了のタイミングで金利の低い変動金利型に借り換えるのも方法のひとつです。
転職や収入減が予想されるとき
不動産投資ローンの審査では、現在の収入や仕事内容が加味されます。そのため、転職したばかり、あるいは収入が減ってしまったときの借り換えは難しいです。転職の予定がある場合、収入減が予想される場合は、実際に発生する前に申し込みを終えた方が良いでしょう。
健康状態が良いとき
不動産投資ローンの借り換えでは、団体信用生命保険も加入しなおさなくてはなりません。団体信用生命保険は住宅ローン返済のための生命保険ですが、一般的な生命保険と同様に健康状態が良好でないと加入できないことがあります。
団体信用生命保険は契約者が死亡または高度障害となったとき実際に効果を発揮するものですが、加入していないと万が一の場合に備えられません。未加入の場合、家族が支払いの義務を負うことになりますので、健康状態が良いうちに借り換えを実行するのが良いでしょう。
不動産投資ローンを借り換えるデメリット
不動産投資ローンの借り換えがうまくいけば、利息を含めた返済額を抑えられるメリットがあります。しかし、ローンの借り換えはメリットばかりではありません。不動産投資ローンにおける3つの注意点を確認していきましょう。
手数料などの費用がかかる
ローンの借り換えにはさまざまな費用がかかります。新たに借り入れるローンにかかる費用だけでなく、借り換え前のローンにも費用がかかる点に注意が必要です。
■借り換え前のローンに関わる費用
不動産投資ローンを解約する場合、一括繰り上げ返済手数料がかかります。手数料と名前は付きますが、実質は違約金だといえるでしょう。ローンの契約が続くことで金融機関は安定して金利分の利益が得られますが、借り換えによって一定の利益が得られなくなります。利益のストップに対する手数料です。
借り換えにあたっては古いローンの抵当権も抹消する必要があるため、抹消のための登録免許税と司法書士報酬もかかります。
■借り換え後のローンに関わる費用
借り換えでは、新規にローンを契約することになりますので、既存のローンの契約を行ったときと同じような費用が新たに発生することになります。たとえば以下のような費用です。
・融資手数料
・抵当権設定のための登録免許税
・印紙代
・司法書士報酬
・保証料や保証会社手数料(保証料はないこともあります。)
毎月の返済額が上がることがある
ローンの借り換えで全体の返済額は減少しても、毎月の返済額が上ることがあります。返済期間を延長する目的での借り換えができないため、長くても借り換え前のローンの返済期間までの借り入れとなるためです。
完済時の年齢制限など、場合によっては返済期間が借り換え前よりも短くなることもありますので、これにより毎月の負担が重くなることも考えられます。特に借り換え時の年齢が高いなど、借り換えによって最長返済期間が短くなる可能性がある場合は注意が必要だといえるでしょう。
今借りている金融機関と金利引き下げ交渉をする
他行で借り換える以外にも、現在利用している不動産投資ローンの金融機関で直接金利引き下げの交渉をするという手もあります。
必ずしも応じてもらえるわけではありませんが、金融機関との関係悪化を避けられるほか、諸費用の負担も基本的にありませんので、交渉がまとまれば借り換えよりも良い方法かもしれません。ここでは、交渉を有利にするためのポイントを紹介します。
交渉前にまずは経営改善
金利引き下げ交渉がうまくいくか分からない以上、優先すべきは経営改善です。経営改善のための施策を実行し、それでもローン返済に不安が残る場合の手段として交渉を実行しましょう。
最終的に借り換えを選択することになっても、経営状態の良さは審査に関係してきますので、経営状態を改善するに越したことはありません。
交渉材料を集める
金利の引き下げをお願いしたところで、金融機関側が首を縦にふってくれるとは限りません。有利に交渉を進めるには入念な準備が必要です。
経営についてしっかり考えていることを態度で示すためにも、少なくとも現在の金利と希望金利で計算したキャッシュフロー表、確定申告書は用意しておくと良いでしょう。
他行と比べて金利が高い場合は、他行の金利情報、不動産会社の情報、長期金利の動向など、金利引き下げの根拠となる資料も集めておきます。
交渉が成立しない可能性も考えて、借り換え先に目星をつけ、事前審査を申し込んでおくと、交渉決裂後の対応もスムーズにでき安心です。
まとめ
不動産投資ローンは、借り換えにより返済額を減少できる可能性がありますが、諸費用の発生などデメリットもあります。借り換えの際は、専門家に相談するのが良いでしょう。
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