自分でできる収支シミュレーション
不動産投資における収支シミュレーションは、個人で行うことが可能です。ここでは、自分でできる収支シミュレーションの方法について見ていきましょう。
必要な情報を集める
不動産投資の収支シミュレーションを行うためには、最初に必要な情報を集める必要があります。
シミュレーションに必要な情報とは、物件の情報、家賃収入と支出、融資に関する情報などです。
たとえば、次のような情報が挙げられます。
【物件の情報】
土地や建物面積や建物の構造など
【収入の情報】
・想定される家賃収入
・物件の利回り(表面・実質)
【支出の情報】
・物件や土地の購入費用
・仲介手数料などの購入に関する諸経費
・入居者募集のための費用や修繕費、固定資産税など不動産経営をしていくためにかかる費用
【融資に関する情報】
・借入額
・返済期間や金利
シミュレーションに必要な利回りの計算方法
不動産投資を考える場合に重要となるのが利回りです。利回りとは、不動産の投資額に対する家賃収入の割合を示したものです。一般的に利回りが高いほど収益性が良いといえます。
実は、利回りには「表面利回り」「実質利回り」のふたつがあり、それぞれ意味は異なります。表面利回りと実質利回りの計算方法は、次のとおりです。
表面利回り
表面利回りは、利回りを簡単に表したものです。グロス利回りともいわれ、大まかな利回りの目安を確認するために重宝するものです。表面利回りは、次の計算式で求められます。
表面利回り = 1年間の想定家賃収入 ÷ 不動産の購入価格 × 100
たとえば、年間の家賃収入が240万円、不動産の購入価格が3,200万円の場合の表面利回りは、240万円÷3,200万円×100=7.5%になります。
実質利回り
実質利回りは、より確実な利回りを表したものです。細かい収益性などを把握したいときに使います。不動産の購入価格だけでなく、購入後に必要なさまざまな費用も組み込んで計算する指標で、最終的な収益性を確認するのに使います。実質利回りは、次の計算式で求められます。
実質利回り=(年間の家賃収入-年間の経費)÷(不動産の購入価格 + 購入時諸経費)× 100
年間の家賃収入が240万円、年間の経費が40万円、不動産の購入価格が3,200万円、購入時の諸経費が400万円の場合は、(240万円-30万円)÷(3,200万円+400万円)× 100=6%になります。
保有している不動産の収益性を計算する場合には、実質利回りを参考にすることが多いです。
シミュレーションツールを活用する
不動産投資の収益性をシミュレーションするには、必要な情報を集めたり、利回りを計算したりしなければならず煩雑です。とくに、保有している不動産の収益性をしっかりと確認するためには、より複雑な計算をする必要があります。
そこで活用できるのが、シミュレーションツールです。ツールを活用することで、簡単に保有している不動産の収益性を確認することができます。
シミュレーションツールのひとつであるイエリーチは、シミュレーション機能に特化した資産管理サービスを提供しています。
物件の保有状況を見える化し、物件の登録/削除申請、修正も簡単に行えます。そのため、いつでもタイムリーな不動産の収益性を確認することが便利です。
保有している不動産の正確な収益性を確認したい場合は、ぜひ一度「イエリーチ」を使ってみてはいかがでしょうか。アカウントは無料で作成できます。
保有する不動産の収支シミュレーションする重要性
ここまでは、投資不動産の収支シミュレーションの方法について見てきました。
投資不動産の収支シミュレーションというと、購入時に行うものと考える場合も多いですが、購入後に保有している不動産の収支シミュレーションすることこそ、重要です。
そこでここでは、保有する不動産の収支シミュレーションする重要性について見ていきましょう。
不動産は長期的に保有する投資商品である
不動産の収支シミュレーションが重要な理由のひとつが、長期的に保有する投資商品であることです。
不動産投資は、一般的に5年以上長期的に保有する投資商品です。長期的に保有するからこそ、常に新しい情報にアップデートされた収支シミュレーションをする必要があります。
収支シミュレーションは、一度行うだけでは長期的な収益までは把握できません。なぜなら、家賃収入や必要経費は一律ではなく、変動するからです。
物件の購入当時の収支シミュレーションでは、経営戦略などを誤る可能性が高くなります。常に新しい情報でのシミュレーションを行うことは欠かせません。
リスクに備えられる
リスクに備えられることも、保有する不動産の収支シミュレーションをする重要な理由のひとつです。ここでいうリスクは短期的なものはいうまでもなく、長期的なものも含みます。
不動産投資において大きなリスクとなるものが、空室の発生や経年劣化による修繕です。
空室が発生して新たな入居者が現れなければ、その間家賃収入が得られなくなってしまいます。
また、物件の設備の経年劣化は避けられません。設備の交換やリフォームなどで、修繕費がかかることもあるでしょう。保有する不動産の収支シミュレーションでは、これらの出費リスクも含んだ計算を行った方が良いでしょう。
どのような出費があっても保有する不動産が収益を生めるようにするため、複数のリスクを想定したパターンの利回り計算を行うことが必要です。そうすることで、支出の変動があっても、キャッシュを確実に残すための手段をとることができるようになります。
売却タイミングを予測できる
不動産投資において、不動産経営とともに重要なのが「いつ売却するのか」ということです。投資用不動産は、上手に売却すると売却益を得ることができます。
しかし、一般的に時間の経過とともに不動産(建物)の価値は減少することが多いため、売却時に得られる利益は低くなります。そこで、不動産の収支シミュレーションでは、売却益を含めて収支計算することも重要です。
また、マンション売却自体にお金がかかるため、売却費用も想定しておこないましょう。中古マンション売却にかかる手数料や税金についてはこちらの記事をご覧ください。
シミュレーション時の注意点
不動産投資において、収支シミュレーションをすることは重要です。しかし、収支シミュレーションをする上で注意しなければならない点もあります。収支シミュレーション時の主な注意点には、次のようなものがあります。
さまざまなケースを想定してシミュレーションを行う
収支シミュレーションでは、さまざまなケースを想定してシミュレーションを行う必要があります。
さまざまな諸経費率や金利などを用いて収支シミュレーションをすることで、いくらの利益が残るかを知ることができます。
入居率は下がるものとしてシミュレーションをする
収支シミュレーションを上手に行うためには、入居率は下がるものとしてシミュレーションを行います。
たとえ、新築時の入居率が100%であったとしても、一般的に物件は時間の経過とともに、入居率が下がっていきます。入居率が下がってから対策を考えていたのでは、対策の効果が出るまで、キャッシュフローのマイナスが続く可能性がでてきます。
そこで、あらかじめ空室は発生することを想定したうえでシミュレーションをし、その場合の対策を常に考えておく必要があります。
周辺相場と比較して家賃が適正か調査する
周辺相場と比較して家賃が適正か調査することは、不動産経営を成功させるための条件のひとつです。
設定している家賃が周辺相場と比べて高い場合は、入居者が減少しやすくなります。また、設定している家賃が周辺相場と比べて低い場合、入居者は増えますが、赤字になる可能性もあります。
そこで、周辺相場と比較して、家賃をいくらに設定するのか(低めに設定しても利益が出るか)、シミュレーションで確認する必要があります。
家賃は下落していくものとしてシミュレーションをする
入居率と同じように、家賃も下落していくものとしてシミュレーションをしたほうが良いでしょう。地域によって差はありますが、一般的に家賃は築年数の経過とともに下落していきます。
そのため、不動産投資のシミュレーションをする際には、その地域の家賃の下落率などを参考に、家賃が下がることを前提にシミュレーションしましょう。
まとめ
不動産投資において、収支シミュレーションをすることは重要です。それは、収支の安定性を確認することなどが、不動産投資を成功させるために必要だからです。しかし、収支シミュレーションを手計算で行うことは難しいです。しっかりとしたシミュレーションツールを使い、正しい収支シミュレーションを行いましょう。