不動産投資ローンの借り換えとは
不動産投資を始めるとき、投資用物件の購入費用として金融機関からローンを借入れるのが一般的です。こうしたローンは返済を終える前に、他の金融機関へ乗り換えることが可能です。
そのため、より有利な条件で借入れられるローンと出会ったときや、現在のローンで返済に苦労しているときなどに、新しい金融機関へ乗り換える方は珍しくありません。これを不動産投資ローンの借り換えといいます。
借り換えを実行するには、まず別の金融機関へローンを申し込むことから始まります。無事に審査がおりて融資を受けられたら、その借入金を使って利用中のローンを完済し、新たなローンを返済していくのです。
つまり、不動産投資ローンの借り換えをしても、これまでと同様にローンの返済は続いていきます。ただし、これまでより低金利であるなど、ローンの条件によっては、借り換えを実施することで毎月の返済額や支払い金利による負担を減らすといった効果が期待されます。
不動産投資ローン借り換えのメリット
不動産投資ローンは借り換えが自由にできますが、借り換えることなくローンを完済するほうが手間もかからずスムーズでしょう。ただし、場合によっては借り換えを行ったほうがメリットをもたらしてくれることがあるため、状況に応じた適切な判断が求められます。
では、そのメリットとは何でしょうか。ここでは、不動産投資ローン借り換えがもたらすメリットについて紹介します。
金利を下げて収支の改善に役立てる
ローンの借り換えをする最大のメリットは、以前の金融機関よりも金利の低い融資条件であれば、返済総額を低く抑えられることでしょう。不動産投資ローンの借入れ金額は高額になりがちですから、金利がほんの少し低くなるだけでもその恩恵は大きいものとなります。
例えば、借入れ金額が3,000万円で借入期間30年のローンを契約しているケースでシミュレーションしてみましょう。現在の金利が3%で10年払い済み、残り20年をローン金利1.5%のローンに借り換えたとします。いずれのローンも元利均等、金利固定とします。
この場合、最初のローンでの毎月の返済額は約12万6千円、10年間支払った時点での支払い残高は約2,280万円です。この時点でローンを借り換え、金利1.5%のローンで2,300万円の融資を受けます。すると、毎月の返済額は約11万円に抑えられるのです。
毎月のランニングコストを下げられるわけですから、不動産投資においてこれほどのメリットはないでしょう。さらに、20年間にわたって毎月1万6千円ほど返済額を軽減できるということは、総返済額を約384万円も抑えられることも意味しており、収益アップも見込めます。
しかし、金利の低さにばかり目を奪われて金融機関を変えると、思うような結果を得られないどころか、かえって総支払額が膨れあがる恐れもあります。
低金利をうたう金融機関の多くが変動金利を採用しています。当初は超低金利であっても数年後には大幅な金利上昇の可能性がある融資条件のローンも珍しくないため、長期的な視点で借り換えにメリットがあるかどうかを見極めることが肝心です。
残債のある不動産を売却できる
ローンの残債があっても、所有する投資用物件を売却することが可能です。ただし、原則として売却時点でローンが完済されていることが条件となります。なぜなら、金融機関は融資を行う際、返済が滞ったときのリスクを回避するために、対象物件に抵当権をつけるためです。
ローンを完済して抵当権を抹消しなければマンションの名義を変更することができず、買い手が現れたとしても物件の売買ができない状況に陥ってしまいます。とはいえ、残債を手持ちの資金で完済するのは難しいという方も多いでしょう。
このとき、借り換えによってローンを一括返済すれば、物件売却を可能にできるというわけです。
ローンを完済するために、手持ち資金に足りない金額を別の金融機関から融資してもらい、残債を支払います。買い手との契約までに済ませて無事に売買が成立すれば、物件の売却金額からローンを返済できます。
不動産投資ローン借り換えのデメリット
メリットも大きい不動産投資ローンの借り換えですが、デメリットも存在します。借り換えで成功するためには、メリットだけではなく、デメリットを押さえておくと良いでしょう。
そこで、ローンを乗り換えるときに懸念されるデメリットを解説します。
手数料や費用がかかる
金融機関から融資を受けるときには、手数料など、借入金以外にも様々な出費が必要になります。
ひと口に手数料といっても、借り換え元に対する一括繰上げ返済手数料、借り換え先に対する融資手数料と、新旧のローン先のいずれにも支払わなければなりません。
また、借り換え時には手数料だけではなく、融資を受けるための保証料、抵当権抹消や新たな抵当権設定にかかる登記にかかる費用、印紙代などが必要です。
手数料や諸費用の費用が高くつけば、借り換えによる総支払額の軽減分を上回ることもありえます。そうなると、借り換えによるメリットを受けるどころか、かえって総支払額を増やすことになり、オーナーにとってデメリットになってしまうのです。
不動産投資ローン借り換えを検討するときには、手数料や諸費用を含めた入念なシミュレーションを行っておくことをおすすめします。
返済額が高くなるおそれがある
借り換えのデメリットとして、毎月の返済額、つまりランニングコストが増えるリスクもあげられます。
不動産投資ローンのほとんどは、対象物件の法定耐用年数に基づいて借入れの上限期間を設けています。ローンの借り換えをするときには、物件の築年数は当初ローンを組んだときより確実に進んでいるため、借入期間も短くなりがちです。
そのため、物件の法定耐用年数や築年数によっては、想定よりもローンの返済期間を短くされてしまうことも珍しくありません。返済期間が短ければ、それだけ毎月の返済額が高くなり、キャッシュフローの悪化につながることも予想されます。
他にも、気を付けたいのが変動金利のローンに借り換える場合です。
不動産投資ローンのほとんどが変動金利もしくは短期の固定金利を採用しています。低金利が長く続く日本ですが、最近の社会情勢は見通しを立てにくく、金利動向を読み解くのは困難です。思わぬ金利上昇により、想定よりも多額の支払いを迫られる可能性はゼロではありません。
10年、20年と返済が長く続く予定なら、金利上昇リスクを考慮して、借り換えを検討して下さい。
不動産投資ローンの借り換えを検討するタイミング
不動産投資ローン借り換えの検討を始めるタイミングには、大きく2つに分かれるといわれます。このタイミングを逃さず適切なローンへ乗り換えることで、不動産投資の収益を大きく改善する可能性もあるのです。
それでは最後に、ローンの借り換えを検討すべきタイミングを説明します。
金利の固定期間が終了するとき
不動産投資ローンを含めて金融関連の知識に自信がない場合でも、ぜひ覚えておきたいタイミングが金利の固定期間が終了するときです。
固定金利タイプのローンには3年や5年、10年といった期間限定で金利を固定しているケースが多いでしょう。その期間を終了した途端、金利が急上昇する融資条件となっていることもあるため、固定期間の終了が迫ってきたらローンの借り換え先を検討し始めて下さい。
たとえば、日本では今なお低金利が続いているため、変動金利タイプのローンへ借り換えるのもおすすめです。通常、変動金利は固定金利より契約時の金利がかなり低く設定されているので、収支の改善にプラスとなるでしょう。
ただし、変動金利は一定期間ごとに金利の見直しが行われるため、社会情勢の変化によっては思わぬ上昇をみせる可能性もあります。変動金利を選んだときには、金利の動向を注視することが大切です。
マイナス収支が続いているとき
立地の良い築浅物件は空室リスクが低く、不動産投資には最適です。一方で、人気の投資用物件は購入費用が高いため、毎月のローン返済額や維持費といったランニングコストが収益を圧迫し、マイナス収支から抜け出せなくなるリスクもあります。
不動産投資は毎月の賃料収入による安定した収益が魅力です。赤字が続くようなら、ローンの借り換えで残債を一括返済して、売却益を手にすることを考えるタイミングかもしれません。
また、どんなに優良な物件であっても資産価値は年々下がり続けるため、賃料は少しずつ下落します。毎月のローン返済額は変わらないのに賃料収入が下がれば、現時点での赤字がたいした金額ではなくても、長期的な視点でみると巨額な赤字に膨らむこともありえるのです。
売却までは考えられないという方も、賃料が高いうちに金利の低いローンに借り換えておくのがおすすめです。さらに、毎月の返済額を増やすことになっても、繰上げ返済を活用するなどしてローンの総支払額をできるだけ圧縮し、総体的な黒字化を目指しましょう。
いずれにせよ、不動産投資ローン借り換え(あるいは借り増し)の判断は難しいため、オーナーひとりで抱え込まず、プロの手を借りて収支状況を確認してもらうのがおすすめです。
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まとめ
不動産投資をするときには、物件の購入費用としてローンを利用するのが一般的です。こうしたローンは返済途中に別の金融機関のローンへ借り換えが可能ですが、借り換えには収支の改善などのメリットだけではなく、デメリットも存在します。
ローンの借り換えが今後の投資にどのような影響を与えるのか、オーナーとして適切な判断をするためにも、投資の現状を把握することが不可欠です。
客観的な収支の判断をお考えなら、ぜひ「イエリーチ」を活用して現状の確認をしてみましょう。ローンの借り換えをすべきか、あるいは売却に動くべきかなど、今後の不動産投資の見通しが立てやすくなるはずです。