ワンルームマンションの売却には、ローン残債を把握することや信頼できる不動産会社への依頼が重要です。
本記事では、ワンルームマンションの売りどきと売却時の注意点や売れないときの対応策について解説します。
記事を一読すると、ワンルームマンションの最適な売りどきがわかります。
ワンルームマンションの最適な売りどきとは?
ワンルームマンションの最適な売りどきを下記3つ解説します。
・不動産市況が良いとき
・所有期間が5年を超えてから
・入居者がいるとき
不動産市況が良いとき
不動産市況が良いときに売却しましょう。不動産市況が良ければ、需要の高いエリア以外の物件も、値上がりする可能性が高いためです。
例えばここ10年は、あらゆる物件が値上がりしていました。特に区分所有のマンションは、2022年には2010年のおよそ1.8倍にまで値上がりしています。
【引用】不動産価格指数(令和4年4月・令和4年第1四半期分)-国土交通省
ワンルームマンションを高値で売却したい方は、不動産市況が良いときを狙って売却しましょう。
所有期間が5年を超えてから
ワンルームマンションの所有期間が、5年を超えてからの売却もおすすめです。物件を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると、売却益にかかる税率が軽減されます。
売却した年の1月1日時点での所有期間 | 税率の合計 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 |
5年超 | 20.315% | 15% | 0.315% | 5% |
5年以下 | 39.63% | 30% | 0.63% | 9% |
【参考】No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算-国税庁
上記の表でわかるように、所有期間が5年を超えてから売却すると売却益にかかる税金が約半分となります。売却益が500万円発生したケースで税金額をシミュレーションしましょう。
所有期間が5年超で売却したケース
500万円×20.315%=101万5,750円
所有期間が5年以下で売却したケース
500万円×39.63%=198万1,500円
税金額の差は「96万5,750円(198万1,500円-101万5,750円)」です。売却益によっては、納める税金が100万円近くも異なります。
都心エリアなど、需要が高く値上がりしている可能性が高い物件を所有している方は、所有期間が5年を超えてから売却するのがおすすめです。
入居者がいるとき
入居者がいるときも売却におすすめのタイミングです。
既に入居者がいると、買主は購入後すぐに家賃収入を得られるメリットがあります。また入居者募集にかかる広告費の削減できるため、余分な経費がかかりません。
エリアが悪い、不便な場所に物件を所有しており、値上がり益が見込めない場所に物件を所有している方は、入居者がいる状態で売却するのがおすすめです。
ワンルームマンションを売るときの5つの注意点
ワンルームマンションを売るときの注意点を下記5つ解説します。
・ローンの残債を把握する
・売却に強い不動産会社に依頼する
・媒介契約の種類
・安易にリフォームをおこなわない
・売却にかかる費用や税金を把握する
ローンの残債を把握する
ワンルームマンションを金融機関から融資を受けて購入している場合、基本的に借入金を完済できないと売却が認められません。
これは、金融機関が融資時に設定した抵当権を外すことができないためです。そのため、ワンルームマンションを売却する前には、ローンの残債を確認するようにしましょう。
ローンの返済が滞った場合に備えて設定されます。抵当権を設定している物件を売却すると、金融機関は売却額から優先して弁済を受け取ることができます。
金融機関は、融資した金額を確実に回収できると判断するまで抵当権を外しません。そのためワンルームマンションを売却するときは、ローン残高を確認し、物件の売却額で返済することができるかどうかを調べましょう。
売却に強い不動産会社に依頼する
不動産会社によって得意な事業領域が異なるため、売却に強い不動産会社に依頼しましょう。
不動産会社によって抱えている顧客が異なるため、同じ物件であっても査定額が大幅に変わることは珍しくありません。高値でかつスムーズに売却したい方は、売却を得意としている不動産会社に依頼するのがおすすめです。
売却に強い不動産会社を見つけるためには、下記をおこないましょう。
・査定額の根拠を聞く
・販売戦略を確認する
査定額の根拠がはっきりしていたり、販売戦略に妥当性があれば、売却に強い不動産会社の可能性が高いです。一方で査定額の根拠・販売戦略に納得がいかなければ、他の不動産会社に依頼した方が良いでしょう。
媒介契約の種類
媒介契約の種類にも注意が必要です。不動産会社に物件の売却を依頼する際は媒介契約を結びます。媒介契約には以下の3種類があり、それぞれメリットデメリットがあります。
契約を結ぶ際は、どの媒介契約になっているのか十分に確認しましょう。
一般媒介契約 | 専属媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
特徴 | ・複数の不動産会社と同時契約が可能 ・売主が直接買主を見つけられる ・契約の有効期限:なし ・不動産会社の報告義務:なし ・レインズへの登録義務:なし | ・契約できる不動産会社は1社のみ ・売主が直接買主を見つけられる ・契約の有効期限:3か月以内 ・不動産会社の報告義務:2週間に1度以上 ・レインズへの登録義務:7日以内 | ・契約できる不動産会社は1社のみ ・売主は直接買主を見つけられない ・契約の有効期限:3か月以内 ・不動産会社の報告義務:1週間に1度以上 ・レインズへの登録義務:5日以内 |
一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼できる点がメリットです。一方で業務処理状況の報告義務がないなどサポートが手薄となっています。
専属媒介契約と専属専任媒介契約は、契約できる不動産会社は1社のみです。サポートが手厚いため、信頼できる不動産会社を見つけた方におすすめの契約です。
安易にリフォームをおこなわない
ワンルームマンションの売却を検討している方の中には、以下のような理由でリフォームを実施する方がいますが、安易にリフォームをおこなわないようにしましょう。
・少しでも見栄えを良くしたい
・流行りの設備を入れて高値で売却したい
リフォームをおこなう際は、費用対効果をしっかりと検証しましょう。最低限リフォーム費用分、売却額が高くならないと、リフォームをおこなう意味はありません。
また、購入希望者が売主によるリフォームを望んでいない可能性もあります。
・リフォームを実施していない物件の方が安値で買える
・自分好みにリフォームしたい
購入希望者によっては上記の要望があるため、安易なリフォームはおすすめしません。不動産会社などに需要を確認し、費用対効果が高いと判断されるケースに限りリフォームをおこなうようにしましょう。
売却にかかる費用や税金を把握する
売却にかかる費用・税金を把握しましょう。費用・税金を把握していないと、物件の売却益を使い込んでしまい、費用・税金を支払えないといった事態になりかねません。
売却時にかかる主な費用や税金は以下の通りです。
費用や税金の名称 | 概要 |
仲介手数料 | 仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料。 宅建業法により上限が設定されています。 |
抵当権抹消費用 | 金融機関により設定されている抵当権を抹消するための費用。 一般的な相場は、1〜3万円です。 |
ローン一括返済費用 | 金融機関ごとに費用が異なるため、 詳しくは融資を受けている金融機関にご確認ください。 |
所得税・住民税 | 売却益が生じたときに課せられます。 |
印紙税 | マンションの売買契約時に生じる税金です。 詳しくは、国税庁のサイトをご確認ください。 【参考】不動産売買契約書の印紙税の軽減措置-国税庁 |
詳しくは、マンションの売却費用について解説している記事をご確認ください。
ワンルームマンションが売れないときの対応策
ワンルームマンションが売れないときの対応策を下記3つ解説します。
・不動産会社を変更する
・仲介手数料を満額支払う
・競合物件よりも値段を下げる
不動産会社を変更する
売却活動が芳しくないときは、不動産会社の変更を検討しましょう。不動産会社によっては悪質な会社もあり、適当に販売活動をおこなっているケースも珍しくありません。
実際にある不動産会社に売却を依頼して3か月決まらなかった物件が、不動産会社を変えると3日で売却できたという例もあります。
不動産会社の良し悪しは、売却期間に与える影響が大きいです。売却期間が長引いている方や現在の不動産会社に不信感を抱いている方は、不動産会社の変更を検討してください。
仲介手数料を満額支払う
仲介手数料を満額支払うことも、おすすめの対応策です。先述したように仲介手数料は、法律によって上限額が決められています。仲介手数料の上限額の計算式は、以下を参照してください。
売買価格 | 報酬の限度額 |
200万円以下 | 売買価格×5% |
200万円超〜400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円 |
【参考】不動産取引における仲介手数料の上限額-大阪府
※消費税は含まず。
例えば売買価格が1,000万円時の報酬の限度額は、「36万円(1,000万円×3%+6万円)」です。定められているのは報酬の限度額のため、不動産会社によっては値引きも可能です。
ただし「物件が売れない」と悩んでいる方は、仲介手数料の値引きは避けた方が良いでしょう。不動産会社は、複数の案件を抱えており、あなたの物件を優先して売却活動をおこなう保証はありません。基本的に不動産会社は、仲介手数料を多く受け取れる案件を優先することが多いためです。
上記の理由から早期に物件を売却したい方は、不動産会社に支払う仲介手数料は満額支払うことをおすすめします。
競合物件よりも値段を下げる
先述した2つの対応策を実施しても物件が売れないときは、競合物件よりも売却価格を下げましょう。特にワンルームマンションは、家賃収入に対して売りに出される価格が高いケースが多いです。価格が高いと利回りが低くなります。
ワンルームマンションは投資対象として購入されることも多いです。売り出し価格を下げて、競合の物件よりも高利回りなことをアピールすれば、スムーズに売却できる可能性が高いです。
まとめ
本記事では、ワンルームマンションの売りどきと売却時の注意点や売れないときの対応策について解説しました。
ワンルームマンションは、副業や老後対策のために購入を検討する方が多いです。マンション価格が上昇し続けており、現在はワンルームマンションの売却におすすめの時期です。
ただし何の知識も持たずに売却すると、思わぬ損を被る可能性があります。ワンルームマンションの売却を検討している方は、本記事を参考に正しい知識を身につけてください。