マンション売却までの7つのステップ
マンションは、手放すと決めたからといってすぐに売却できるわけではありません。ここでは、大まかな流れとして、次の7つのステップを解説しましょう。
1. 必要書類の準備
マンションを含む不動産を売却するには、以下の書類が必要です。
取得できる場所は役所や都道府県税事務所など書類によって異なるため、準備に時間がかかることがあります。スムーズに売却するために、早めに準備しておきましょう。
登記済権利書・登記識別情報
不動産の権利書は契約時に提示し、決済時に買主に渡します。2005年3月の法改正によって名称が変わり、改正以前に購入した不動産では「登記済権利書」、それ以降は「登記識別情報」と呼ばれています。
固定資産税納税通知書・都市計画税納税通知書
売却のタイミングで固定資産税や都市計画税を清算するために必要です。通知書は毎年5月頃に税務署より送付されます。
管理規約・総会の議事録・長期修繕計画書
マンション売却で必要な書類です。区分所有マンションは、購入と同時に管理組合に加入しなければいけません。そのため、マンションのルールや現状を把握できる書類を買主に渡しておけば、受け渡しがスムーズになるでしょう。
建築確認済証・検査済証
売却する不動産が建築基準を満たしていることを証明します。
間取り図・測量図・設備の仕様書
不動産の詳細を確認するための書類です。
固定資産税評価証明書
不動産の所有権の移転登記に必要です。土地と建物のそれぞれで取得しなければなりません。有効期限は取得から3ヶ月です。
そのほかの必要書類
このほかに印鑑証明書や、登記上の住所と現住所が異なる場合は住民票も取得しなければいけません。
2. 相場を調べる
物件を売却するなら、だれもが少しでも高値で売りたいと考えるでしょう。しかし、あまりに高価な売却価格を設定してしまっては、買い手はなかなか見つかりません。そこで、事前にマンションの相場を調べておくことが大切です。
相場を調べるなら、不動産会社のポータルサイトを活用することをおすすめします。売却予定のマンションと似た条件の物件を検索すれば、売り出し価格の目安が分かるでしょう。
ただし、売り出し価格はあくまでも売り手が希望する販売価格です。長い間売れていない物件なら、需要に対して売り出し価格が見合っていないと判断しましょう。
3. 不動産会社選び・契約
マンションの相場が分かったら、不動産会社で査定をしてもらい売買の媒介契約を結びましょう。ポイントは、複数の会社に依頼することです。
査定額は会社によってバラつきが出ます。A・B・C社、それぞれの査定額が、2,200万円、2,500万円、2,400万円だったとしましょう。このとき、もしA社のみに査定を依頼していれば2,200万円が売り出し価格になりますが、3社に査定していれば最も高額な2,500万円で売り出す決断ができるのです。
ただし、必ずしも「売り出し価格=売却価格」となるわけではないので、査定額だけで不動産会社を選ぶのは避けましょう。相場からかけ離れた査定額では売却までに時間がかかることも考えられます。
また、不動産の売却は大きな取引なので、会社の信頼性や営業担当者との相性も確認して決めましょう。
4. 売却活動
不動産会社と契約を交わせば、いよいよマンションの売却に向けて具体的な活動が始まります。不動産は売却に時間がかかります。早くても2~3ヶ月ほど、長ければ1年以上かかることも珍しくありません。
1日でも早い売却を目指すなら、買い手に好印象を与えられるようにすることが大切です。築年数に関わらず清潔であることはもちろん、設備や備品などのメンテナンスが行き届いているかを点検してください。特に玄関や水回り、バルコニーは、手入れの差が出やすいところなので注意しましょう。また、部屋の明るさ、ニオイなどにも気を配るようにして下さい。
不動産会社のポータルサイトには、できるだけたくさんの写真を掲載することをおすすめします。写真の有無で、買い手の反応が大きく変わるためです。
さらに、早期の売却には積極的な内覧対応も欠かせません。土日の内覧が多いでしょう。
5. 売買契約の締結
マンションの買い手が見つかれば、不動産会社を通じて買主から買付証明書(購入申込書)を受け取ります。ただし、この証明書は購入の条件確認や意思表示をするもので、この時点で売買契約が成立するわけではありません。売却手続きに進むときは、1週間後を目安に売買契約を交わします。
売買契約の2~3日前に不動産会社から売買契約書が届くので、しっかり目を通しておきましょう。付帯設備などの状態が契約時と引き渡し時で異なる場合は、売主の負担で修復する必要があります。また、契約までに買主が住宅ローン事前審査を通過していることも確認しておいてください。
契約時には本人確認書類と実印を持参しましょう。また、仲介手数料を契約時と引き渡し時に2回に分けて支払う場合は、代金を用意しておく必要があります。
6. 引き渡し
売買契約を結んだ後、買主は住宅ローンの本審査を申し込みます。約2週間から1ヶ月後に審査結果がわかるので、通っていればマンションの引き渡し日を決定しましょう。
引き渡しは平日の午前中に行います。買主からの売買代金の振込と、マンションの登記手続きを行わなければならないためです。契約の関係上、引き渡し日は安易に変更できないので注意しましょう。
引き渡し当日は、本人確認書類や登記済権利書(登記識別情報)、実印と印鑑証明書、住民票のほか、マンションのカギ類や設備に関する説明書類、購入時のパンフレットなども忘れないようにしてください。
マンションの引き渡しを無事に終えれば、仲介手数料を不動産会社に支払います。
7. 確定申告も忘れずに
マンションの売却で売却益が出たときは譲渡所得として申告のうえ、所得税と住民税を納税する義務があります。反対に、売却損が出たときは税金の還付が受けられます。
不動産は所有期間に応じて税率が異なります。短期譲渡所得(5年未満の所有)なら39%(所得税30%、住民税9%)、長期譲渡所得(5年以上の所有)なら20%(所得税15%、住民税5%)です。
また、2037年までは東日本大震災の復興財源として、所得税に復興特別税2.1%が上乗せされています。そのため、現在の短期譲渡所得の所得税は30.63%、長期譲渡所得は15.315%です。
確定申告は、売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に行わなければなりません。納税義務が生じる場合、現金での納付は3月15日までに行い、口座振替なら4月下旬頃に引き落とされます。
知らないと損するマンション売却の注意点
マンション売却は大きな金額が動く取引です。トラブルが発生すると自身の生活に多大な影響を与える恐れがあるため、あらかじめ知識をつけておくことが大切です。
それでは、マンション売却における注意点について解説します。
ローン残債があるなら要注意
マンションオーナーの多くは、ローンを利用して購入しているでしょう。ローンが残っていてもマンションを売却できますが、いくつかの注意が必要です。
ローン残債は、引き渡し日当日に買主から支払われる売買代金で一括返済します。売却代金だけで完済できない場合は抵当権が抹消できないので、自己資金や新たなローンを組んで返済しなければいけません。本当に売却しなければいけないのか、より慎重に考えましょう。
また、不動産会社に査定を依頼する時点でローンの残債を把握し、売却代金で一括返済できるのかを確認することも大切です。
売却にも費用がかかる
マンションの売却では、手続きなどで発生する費用も考慮しなくてはいけません。マンションを売却するときに発生する費用には、次のようなものがあります。
不動産会社に支払う仲介手数料
仲介手数料の報酬上限である「売買価格×3%+6万円」が目安です。
印紙税
売買契約書に貼る印紙税は、売買価格が3,000万円なら2万円となります。
住宅ローンの一括返済手数料
一部繰上返済の場合は無料でも、一括返済をすると5万円前後の手数料を請求されることが多いようです。
抵当権抹消の登録免許税
不動産1件につき1,000円かかります。マンションの場合、土地と建物で計2,000円必要です。
司法書士手数料
一般的に、抵当権抹消は司法書士に依頼します。支払う手数料の相場は15,000円前後です。
そのほか、売却益が出た場合には、先述の通り、譲渡所得を申告することによって所得税と住民税が課されます。また、ハウスクリーニングや設備の修理といった費用がかかる可能性もあります。
まとめ
マンションの売却活動は、価格を決めて売り出すだけではありません。事前のリサーチや書類の準備などを含めると、時間や手間がかかることがあります。少しでもスムーズに売却するためにも、必要な手順をしっかりと把握しておきましょう。
すぐに売却したいけど知識や経験に自信がないという方は、不動産の売買実績を積んだプロに相談するのもおすすめです。
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