【完全版】投資用マンション売却のすべて!売り時とかかる費用も解説

東京五輪の開催が2021年に延期されましたが、開催後の不動産価格の下落を見込んで投資マンションの売却を検討している人も多いでしょう。しかし、いつ売却するべきか分からないと、悩んでいるうちに最適なタイミングを逃してしまうおそれがあります。 そこで今回は、投資用マンションを売却するべきタイミングと、売却までの流れについて解説します。


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投資用マンションのベストな売り時とは

投資用マンションを売るべきタイミングは、オーナーの資産状況や収益状況、マンションの所有期間によって大きく変わります。単純に「高ければ売っていい」というものではありません。

まずは、投資用マンションの売り時を判断する基準を知っておきましょう。

マンションの保有期間が5年を超えたとき

家賃収入は不動産所得なので「総合課税」の対象ですが、売却によって得られる譲渡所得は「分離課税」となり、不動産を保有した期間によって税率が変わるのが特徴です。

長期譲渡所得、短期譲渡所得それぞれの、税率の違いは以下のとおりです。

・短期譲渡所得:不動産の保有期間5年以下
課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

・長期譲渡所得:不動産の所有期間が5年を超える
課税譲渡所得金額×15%(住民税5%)

保有してから5年を超えた時期が、利益を出せる境目のひとつといえるでしょう。なお、5年を数えるタイミングですが、「譲渡した年の1月1日時点で5年を超えているか」である点に注意が必要です。

大規模修繕が行われる前後

マンションを長い期間所有していると、いずれ外壁など大規模な修繕が必要です。大規模修繕の費用は修繕積立金でまかないますが、管理組合によっては修繕積立金が不足している場合があります。

不足の場合は足りない分の修繕積立金を一括徴収するほか、その後の修繕積立金が引き上げられることもあります。値上げがキャッシュフローの悪化を招き、赤字転落することもあるのです。
修繕積立金の状況は、管理組合に問い合わせればすぐに回答してくれます。不足している場合は、売却を検討する絶好のタイミングだといえるでしょう。

反対に、修繕積立金に不足がなく、大規模修繕に対する追加の支払いが不要であれば、終わってから売却したほうがメリットは多くなります。
大規模修繕を終わらせることでマンション価値の下落の要因がひとつなくなり、相場より高値で売却できる可能性があるためです。

築年数が20年になる前

マンションは、築20年を超えると価格の下落幅が大きくなります。さらに、排水設備などの交換時期が訪れるため、大規模修繕でさらなる費用負担が発生します。
そのため、築20年に近いマンションを所有している場合、20年を超えないうちに売却するのが良いでしょう。

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マンション売却までの4つのステップ

マンション売却までのステップを理解しておくことで、売却までの手続きがスムーズに進みます。売却すると決定したら、その後どのような手順を踏むべきか確認しましょう。

この項では、マンション売却までの手続きの流れと注意点について解説します。

1.事前準備

スムーズに投資マンションを売却するためには、売却前の準備が大切です。必要書類の収集や手続きが終わっていないと契約が思うように進まず、売り時を逃す可能性もあるからです。

■希望条件の明確化
売却を決めたあとにしておくべきことは、「自分自身の希望条件を明確にしておく」です。

とくに、希望する「希望金額」は必ず決めておきましょう。

商談の流れによっては思いどおりに進まないこともあります。万が一希望の売却額にならないときは、売却を中断するのか値下げするのか、自分なりの基準点を作っておくことも大切です。
また、売却完了日は買い手の都合により決定するので、相談業者との相談を通して最適な日数を決めると良いでしょう。

■マンションの現状確認
マンションの売却には、ローンの残額を返済して抵当権の抹消登記を行うことが必要です。希望金額や売却時期が明確になったら、住宅ローンの残債がいくら残っているかを確認しましょう。

マンションの売却価格が住宅ローンの残債と売却にかかる諸費用を上回ることが、物件を売却する際の必須条件です。

もしも売却額が残債と諸費用を下回る場合は、自身の預貯金や株式などの資産で不足分を充当することになります。

■必要書類の準備
残債の確認と同時に、売却に関する必要書類をできるだけ早い段階で揃えておきましょう。

【投資マンションの売却で必要な書類一覧】

・物件概要(パンフレット)

・管理規制
・登記済権利証
・賃貸借契約書
・長期修繕計画書
・議事録議案書

登記済権利証とは、マンションの引き渡し時に司法書士から届く書類のことです。再発行には手間と時間がかかるため、絶対に紛失しないように注意しましょう。
この権利書の準備は必須にはなりますが、委任状を仲介会社に提出すれば取得可能ですので、覚えておくと良いでしょう。

そのほか、売買契約書やパンフレットが手元にあるとスムーズな商談ができます。

2.不動産会社選び

投資マンションを売りに出す前に重要なのが「不動産会社選び」です。ここで失敗すると、最悪の場合「いつまでたってもマンションが売れない……」という事態に陥りかねません。

■不動産会社の選定
不動産会社を決める際の鉄則は、「見積もりは1社だけで決めてしまわない」です。不動産会社が変われば、100万円以上の査定額の差が出ることもあります。

査定額を確認する際の注意点は、査定額=売れる金額、ではないことです。あくまで参考価格のため、不動産会社から相場より高い金額が提示されたときは「査定額の根拠」を必ず確認してください。

■媒介契約
媒介契約とは、売却を依頼する不動産会社と結ぶ契約のことです。

「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類に分かれており、それぞれ契約期間や販売状況の報告義務の有無に違いがあります。

専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
契約会社数 1社のみ 1社のみ 複数契約可能
自分で買い手を見つけた場合 仲介必須 仲介なしで販売可 仲介なしで販売可
契約期間 最長3ヶ月 最長3ヶ月 規制なし
不動産流通機構への登録義務 契約から5日以内 契約から7日以内 登録義務なし
販売状況報告 7日に1回以上 14日に1回以上 規定なし

3.売却活動

不動産業者と媒介契約が締結されると、実際の売却に向けて売却活動が始まります。

■売り出し価格の決定
まず、所有する投資マンションを売りに出す金額を決めます。あまり強気の価格設定ではなく、相場より少し高め(5%くらい)の上乗せする程度に留めるのがポイントです。

あまりに高く設定すると買い手が付きにくくなります。しかし、その解決策として少しずつ値引きをしてしまうと、買い手に「待っていればまだ下がる」と誤ったメッセージを送ることになるでしょう。

4.契約・決済

購入申込書から1週間をめどに、希望者と正式な売買契約を締結します。

■売買契約の締結
希望者と売買契約を締結します。契約日の3日前くらいには不動産会社から売買契約書が届くため、必ず事前に内容を確認します。同時に、必要書類についても手配を進めましょう。

売買契約を進めるための必要書類は以下のとおりです。

・本人確認書類
・実印
・印鑑証明
・登記済証

売買契約の当日は重要事項証明書、売買契約書、物件情報報告書の読み合わせを行います。署名・捺印を行った後、手付金の授受に進みます。

受け取った手付金は、物件の引き渡しが終わるまで決して手を付けてはなりません。売買契約が何らかの理由で解除された場合、全額の返金が必要になるためです。

■引き渡し日の決定・引き渡し
売買契約の締結と買主の住宅ローン審査が終われば、仲介業者を通じて引き渡し日の調整を行います。

引き渡し日を設定する際は「平日の午前中」にしましょう。なぜなら、買主からの売買代金の振り込みを受けるには、平日しか決済できないためです。また、その日のうちに登記を済ませるために、引き渡しは午前中に行います。

売却予定のマンションに抵当権が設定されている場合は、引き渡し日の確定後に抵当権抹消の手続きを銀行に依頼します。抵当権抹消書類の作成には2週間程度かかるため、前もって相談しておきましょう。

現地での最終確認が終われば、いよいよ引き渡しです。引き渡しの手続きは買主側が利用する住宅ローンの銀行で行われます。

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マンション売却にかかる費用

マンションの売却にかかる費用は、ローンの残債だけではありません。以下のような手数料・税金の支払いが必要です。

・仲介手数料
・印紙税
・課税所得税
・抵当権抹消登記の費用
・一括手数料

この項では、マンション売却にかかる費用について詳しく解説します。

仲介手数料

不動産の売却を仲介した不動産会社に支払う費用のことです。仲介手数料は宅地建物取引業法によって以下のとおりに決められています。

仲介手数料=(売却額×3%)+6万円+所費税

印紙税

売主と買主との間で交わす不動産売買契約書に、売買価格に応じた印紙を貼って納める税金のことです。売買契約書は2通必要なため、売主と買主の間で1通ずつ負担して作成します。

印紙税の税率は以下のとおりです。

契約金額 本則税率 軽減後税率(令和4年3月31日まで)
100万円超500万円以下 2,000円 1,000
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000
1億円超5億円以下 100,000円 60,000

出典:『「不動産譲渡契約書」および「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について』(国税庁)

印紙税は、令和4年3月31日までは軽減税率の対象になります。

また、手続きを怠るとペナルティが発生する点には注意してください。印紙を貼るべき書類に貼っていない場合は「過怠税」として3倍の金額が課されるほか、消印されていない場合は印紙の額と同額の税金を納めることになります。

譲渡所得税

記事冒頭でも紹介したように、マンションが購入時よりも高い価格で売却できた場合に発生する税金です。
所有期間が5年を超えるかどうかで課税額が大きく変わります。

抵当権抹消登記の費用

売却するマンションのローンが残っている場合は、抵当権抹消登記が必要になります。また、費用は売主の負担です。
抵当権の抹消には登録免許税のほか、司法書士に依頼した場合は報酬費用が必要になります。

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まとめ

今回は、投資マンションの売却のタイミングと、実際に売却するまでの流れについて解説しました。いつ売却すれば利益が出るかは、マンションの状況や所有年数によって変わります。

いつでも売却できるように、売買契約の締結や引き渡しの流れをしっかりと理解しておきましょう。

とはいえ、タイミングがわからず売却できないこともありますよね。もしも投資マンションの運用がうまくいっていないようであればイエリーチをご利用ください。

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