投資用マンションの売却にかかる消費税をわかりやすく解説

マンションへの投資は、毎月の賃料収入だけではなく、物件を手放すときにも大きな収益を生む可能性があります。できるだけ高く売却したいと考える一方で、高額な取引になることから消費税が気になる方も多いでしょう。 この記事では、投資用マンションを売却するときにかかる消費税について、わかりやすく解説していきます。


この記事は約7分で読み終わります。

マンションの売却には消費税がかかる?

マンションの売却には、どのような場合に消費税が課税されるのでしょうか。まずは、マンション売却で消費税がかかる仕組みについてお伝えします。

個人の住居用マンションは非課税

そもそも消費税は、

「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取り(輸入取引)」

に対して課されるものです(国税庁「消費税のしくみ」より)。

つまり、個人で所有する居住用マンションを個人へ売却する場合、納税の義務はありません。この非課税の原則は、個人の取引にまで消費税を課すことで、不動産取引が低調になるのを避ける意図もあるといわれています。

第三者への賃貸で納税義務が生じることも

個人が所有する住居用マンションでシェアハウスと評して、賃貸経営を行うケースが増えています。居住用の区分であっても、第三者への賃貸が事業とみなされると、消費税の納税義務が生じることがあります。

個人が所有している住居用マンションは原則として消費税はかかりませんが、事業用と判断された場合は、納税義務を課せられるので注意しましょう。

投資用マンションであれば課税対象

先ほど伝えたように、マンションの売却時に消費税がかからないのは、個人の所有する居住用マンションであることが前提です。

一方、投資目的で所有しているマンションは、事業として「入居者から家賃を得る対価として賃貸物件を提供」しているため、消費税の課税要件を満たすことになります。

ただし、課税されるのはマンションの建物部分のみです。建物と土地をまとめて売り出したとしても、建物部分にしか消費税はかかりません。たとえば、建物が3,000万円、土地が1,500万円の値段で売却した場合、課せられる消費税は建物費の3,000万円にかかります。

免税事業者に認定されると非課税になる

免税事業者とは、国税庁が定めた適用対象にあてはまれば、消費税の納税義務が免除されることです。

適用対象は以下の通りです。

・基準期間(個人事業は前々年度。法人は前々事業年度)または特定期間の売上げが1,000万円以下であること。
・事業開始から2年以内であること。

この2点のいずれかを満たせば、免税事業者として適用されます。

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マンション売却時に建物以外で消費税がかかるもの

投資用マンションを売却する際にかかる消費税は、建物以外にも複数あります。建物にかかる高額な消費税だけではなく、それ以外にかかるコストもしっかり把握しておきましょう。

不動産会社への仲介手数料

マンションの売買には、不動産会社に手数料を支払い、仲介(媒介)してもらうのが一般的です。そして、不動産会社が行う仲介業務は国の定める消費税の適用要件を満たすため、課税対象となります。

不動産会社に支払う仲介手数料は監督省庁によって上限が決められており、金額はマンションの売却代金により異なります。条件は以下のとおりです。

マンションの売却価格(消費税を含まない金額) 仲介手数料
400万円を超える金額部分 3% + 消費税
200万円から400万円以下の金額部分 4% + 消費税
200万円以下の金額部分 5% + 消費税

たとえば、4,000万円のマンションを売却する場合の仲介手数料は、【(200万円×5%+200万円×4%+3,600万円×3%)×消費税=(10万円+8万円+108万円)×1.1=138.6万円】となります。

上記の計算式は【(200万円×3%+200万円×3%+200万円×3%+3,600万円×3%)×消費税=(200万円×3%+4,000万円×3%)×消費税】とも置き換えられます。

そのため、仲介手数料の速算式として【マンションの売却代金+6万円×消費税】と覚えておきましょう。また、計算で求められる手数料はあくまでも上限のため、交渉によっては引下げることも可能です。

詳しくは仲介手数料の上限や安く抑えるコツ解説している記事をご覧ください。

ローンの繰り上げ返済時の手数料

マンションの購入にローンを利用している場合、売却する時点でローンの残債があるようなら、売却益などから一括で繰上げ返済する必要があります。

この繰上げ返済には手数料が発生し、その手数料にも消費税が課せられます。

繰上げ返済手数料は金融機関によって変動しますが、一括繰上げ返済の場合は5,000~20,000円ほどです。(オンラインや窓口など手続き方法により異なる)

一部の返済やネット銀行では手数料無料という金融機関も存在するため、利用している金融機関に確認してみましょう。

司法書士への報酬

マンションの購入時に各種ローンを利用していると、対象物件を担保に、金融機関が抵当権を設定します。抵当権がつくのは、ローンの返済が滞ったときに、金融機関が物件を差し押さえて売却することで、残債を回収するためです。

抵当権はローンを完済した後も登記が自動で抹消されるわけではないので、法務局で抹消の手続きを行わなければなりません。

自分自身で行うこともできますが、書類作成や申請の手間などから、通常は司法書士に依頼します。そのため、抵当権抹消の申請では、登記に必要となる登録免許税と司法書士報酬を支払うことになり、司法書士報酬には消費税も加わります。

この司法書士報酬は依頼先によって異なるので、依頼時には確認しておきましょう、

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マンション売却時の消費税に関する注意点

最後に、消費税に関する注意点を紹介します。

投資用マンションの売買は高額になることが予想される、それだけ消費税の影響が大きくなります。支払うときには、迷いや不安が生じないように準備をしておきましょう。

不動産価格は税込で表示される

消費税が課されるマンションの場合、不動産会社のパンフレットなどに記される不動産価格は税込で表示されることがほとんどです。

ただし、先ほど伝えた通り、土地には消費税がかかりません。表示されている価格は【(建物価格×消費税)+土地価格】となっています。土地は非課税であることを忘れないように注意して下さい。

仲介手数料は税抜価格に対してかかる

仲介手数料の計算に使われる「マンションの売却価格」は、税抜価格です。税込価格か税抜価格かによって計算結果に大きな違いが出るため、誤りがないように気を付けて下さい。

納税義務が発生するのは2年後

投資用マンションの売却に際して消費税が発生しても、実際に納付するのは2年後になります。そのため、後々の消費税の支払い時に失念してしまうこともあるようです。

消費税の納付に向けて資金を準備しておく、関連書類を保存しておくなど、納税に向けての準備を忘れてはいけません。

消費税は物件の引き渡し時に算定される

無事に売却が決まっても、売買契約書の締結から引き渡しまでに数カ月の開きがあることは珍しくありません。

マンション売却にかかる消費税は、物件を引き渡すタイミングで課税されます。そのため、消費税増税によってかかるコストが変わる可能性もあるのです。

実際、2019年に消費税が8%から10%に増税されたときには、マンション売却にかかる消費税の負担が大きくなっています。

税に関する法律は改定が多い

税制に関する法律は、新たな課税ルールや優遇税制が設けられるなどして、年々少しずつ改定されています。

マンションの売却コストに大きな影響を受けないように、不動産に関わる法改正をこまめにチェックしておくことが大切です。

因みに、マンションの売却には消費税以外にも税金がかかります。
投資用マンション売却時にかかる税金を理解したうえで、売却をすすめましょう。
詳しくはワンルームマンションの売却にかかる税金の種類やシミュレーション方法を解説している記事をご参考ください。

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まとめ

不動産投資でマンションを所有すると、将来的な売却益について期待する方も多いでしょう。

しかし、建物部分の売却価格や各種手数料に消費税がかかることを忘れていると、思わぬ出費で資金繰りが悪化する可能性もあります。また、支払う消費税を誤って認識してしまい、不動産会社とトラブルになることも考えられます。

投資用マンションの売却を検討するときには、税制面の知識やルールもしっかりと把握しておくことが大切です。

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