マンション投資における「繰り上げ返済」とは?
繰り上げ返済とは、月々のローン返済とは別に、金融機関からの借入金の一部あるいは全部を返済することです。ローンの返済期間や月々の返済額を減らしたいマンション投資を運用している投資家にとって、繰り上げ返済 は有効な経営施策になります。
通常のローン返済と繰り上げ返済の大きな違いは、前者は返済金に利息も含まれますが、後者は全額が元金の返済になることです。
この点を踏まえ、繰り上げ返済の2つの方法について、その違いをみておきましょう。
期間短縮型
期間短縮型は、毎月のローン返済額はそのままに、ローンの返済期間を短縮する方法です。
返済期間が短くなれば、その期間分に発生する利息の支払いが無くなるため、全体の利息額を減らすことができます。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間を変えることなく、毎月のローン返済額を減らす方法です。
返済期間が変わることはないため、期間短縮型ほどの利息軽減効果は見込めません。しかし、返済による負担が減るため、毎月の収支を改善することに役立つとされます。
繰り上げ返済を行うメリット
状況やタイミングに応じて繰り上げ返済を活用すれば、マンション投資で大きな恩恵を受けられます。
ここでは、マンション投資における繰り上げ返済で、想定されるメリットを3つ紹介します。
ローンの利息額を減らせる
繰り上げ返済をする最大のメリットは、支払い利息を軽減し、ローンの返済総額を抑えられることです。
一般的に、金融機関からローンを借入れると、借入金の元本と借入れ時に決められた利息を毎月返済することになります。
※金融機関によっては、元本・利息・保証料の内訳があることもあります。
このうち、利息は金融機関に対して支払う借入金の対価なので、ローン残高には影響しません。ローンを完済するには元本の支払いを終わらせる必要があるのです。
先述の通り、繰り上げ返済は通常の返済とは異なり、返済額の全てが元金の支払いに充てられます。つまり、繰り上げ返済をすることで大きく元本を減らすことができるのです。そのため、繰り上げ返済の支払い額を高く設定するとローンの総支払額、すなわち総支払い利息を減らせるということになります。
金利上昇リスクに対応できる
ローンの金利は、経済状況などによって変動します。近年の日本では低金利が続いていますが、今後この状況がいつまで続くかは誰にもわかりません。
契約中の金利が変わらない固定金利ではなく、変動金利でローンを契約している場合は、数%の金利上昇が返済額に影響を与えます。場合によっては大幅に増額してしまうこともあるでしょう。
この金利上昇リスクに備え、元金の返済を少しでも進めておくことが重要です。金利は元金をもとに計算されるため、繰り上げ返済 をすることで元金を低減して支払い額を抑えることができます。
投資物件を効果的に増やせる
繰り上げ返済は、マンション投資を軌道に乗せ、事業として拡大するのにも役立ちます。
マンション投資で物件数を増やすときには、1つ目の物件をローンの担保として2つ目、2つ目を担保として3つ目、というように増やしていく手法があります。複数の物件を所有すると、空室リスクなどマンション投資の様々なリスクを分散できるため、より安定した収益が期待できます。
ただし、最初の物件の残債があまりに多ければ、担保としての役割を果たさず、2つ目の物件のローンを契約できないということもありえます。賃料収入が安定しているなら、繰り上げ返済を積極的に行うことで効率的にマンション投資を進めることができるでしょう。
繰り上げ返済を行うデメリット
繰り上げ返済は、マンション投資を安定させ、さらに事業として拡大させるための有効的な施策です。しかし一方で、状況やタイミングによって、致命的な損失が発生する可能性も考えられます。
次に、繰り上げ返済で想定されるデメリットを3つ紹介します。
手数料が発生することがある
繰り上げ返済の扱いは、金融機関によって異なります。中でも注意したいのが1回の繰り上げ返済ごとに一定の手数料を請求されるケースです。
残債の一括繰り上げ以外は無料という金融機関が多いですが、有料の場合は数千円から1万円ほどの手数料が必要となることもあります 。また、期間短縮型と返済額軽減型のそれぞれに異なる手数料が設定されている場合があるため、都度確認が必要です。
手数料がかかる場合は、毎月繰り上げ返済を行うことでキャッシュフローが悪化する可能性があります。ある程度まとまった資金ができてから返済するなど、手数料の支払いが負担にならないように気を付けて下さい。
必要な資金が不足することがある
少しでも早くローンを完済したい、毎月の返済額を減らしたいという考えから、繰り上げ返済を積極的に活用する投資家は多いでしょう。しかし、あまりに資金を投入しすぎると、マンション投資が行き詰まる恐れもあります。
繰り上げ返済の原資となるのは家賃収入です。投資を始めた当初は、ローン返済以外の出費がほとんどかからないため、つい繰り上げ返済に多くの現金を回しがちです。
しかし、マンションは日々老朽化していくため、一定期間ごとに物件の大規模修繕が必要になります。また、水回りや入居者の退去時のハウスクリーニング代など想定外のコストが発生することもあります。
こうした出費に対応できなければ、住民からの信頼を損ない、空室リスクを招くことにもなるでしょう。繰り上げ返済を行うときには、マンションのメンテナンス費用を考慮した現実的な返済額にしておくことが重要です。
確定申告の額に影響する
不動産投資で得た利益は「不動産所得」として確定申告し、その申告額に応じて納付する所得税や住民税が決定されます。
確定申告における不動産所得額は、家賃収入からマンション投資にかかる経費を差し引いた金額です。家賃収入から差し引く経費にはローン返済額の利息部分も含まれます。そのため、利息への返済を含まない繰り上げ返済が多いと、確定申告で計上できる経費が減ってしまうのです。
繰り上げ返済をすることで経費が少なくなれば、それだけ申告する不動産所得が増えるので、所得税や住民税の負担が大きくなります。
繰り上げ返済したときの利息の軽減額や納税額の違いをシミュレーションするなど、事前に損益分岐点を確認しておくと安心です。
マンション投資で効果的に繰り上げ返済を行うポイント
メリットとデメリットがわかったところで、実際に繰り上げ返済を行うときに知っておくべきポイントをお伝えします。
金利の高い物件から返済する
いくつかの物件に投資する場合、それぞれの購入資金にローンを充てるのが一般的です。しかし、当然ながらローンの契約数が増えるほど金融機関の審査は厳しくなります。そのため、新しく購入した物件ほど、ローン金利が高くなる傾向にあります。
そこで、繰り上げ返済は最後に購入した物件から、つまりもっとも金利の高いローンから完済を目指すのがおすすめです。
利息の支払いは繰り上げ返済によって抑えられる経費です。計画的かつムリのない範囲で運用しましょう。
多額の繰り上げ返済ができるときに行う
繰り上げ返済のもっとも効果的な方法は、ローン契約後より早いタイミングで、できるだけ多額の返済を行うことです。
返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。特徴は以下になります。
・元利均等返済…毎月支払う返済額(元金と利息)が一定です。
・元金均等返済…毎月支払う返済額(元金と利息)の元金部分が一定金額です。
繰り上げ返済によって元金を減らすタイミングが早いほど支払い利息は減り、ローンの総返済額を少なくできます。
また返済する金額が多いほど元金も大幅に減少しますから、まとまった金額を返済するほど効果を実感しやすいでしょう。
とはいえ、繰り上げ返済でマンション投資を成功に導くには、キャッシュフローを把握することも重要です。長期的な視点で考えなければ、せっかく繰り上げ返済をしても、後々の資金不足でマンション投資の継続が困難になることもあります。
キャッシュフローの確認や適切な繰り上げ返済の時期を見定めるのが難しいと感じたら、ぜひ利用いただきたいのが「イエリーチ」です。
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まとめ
マンション投資を始めると、ほとんどの方が多額のローンを契約することになります。多額のローンは精神的負担やリスクにつながるため、繰り上げ返済を活用して計画的に返済していくことが大切です。
ただし、繰り上げ返済にはデメリットもあります。繰上げ返済でマンション投資を成功させるには、長期的な視点でキャッシュフローを見通す力が求められます。
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