マンションが地震で倒壊する可能性は?所有者がすべき大地震対策

マンションが地震で倒壊する可能性は?所有者がすべき大地震対策

マンションが地震で倒壊するリスクはないとはいえません。耐震基準上では、震度7では崩壊しないとされていますが、地盤やマンション形状によっては崩壊するリスクもあります。本記事ではマンションオーナーが知っておくべき倒壊リスクや所有者が負う責任、地震対策を解説します。


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マンションの地震倒壊リスクは全くないとはいえません。
耐震基準上では震度7程度の地震では倒壊しないといわれていますが、マンションの形状や地盤によっては倒壊の危険はあります。

本記事は下記のような方におすすめです。
  • 地震でマンションが倒壊する可能性を心配している
  • 万が一マンションが倒壊したら、所有者が責任を取る必要があるのか知りたい
  • 大地震に備えてオーナーができる対策を知りたい

本記事では、マンションの地震倒壊リスクや所有者が負う可能性がある責任とリスク、大地震への備えを解説します。
最後まで読めば、耐震性能に不安があるマンションの対処法や倒壊リスク対策がわかるでしょう。

マンションは地震で倒壊する可能性がある?

マンションの形状や地盤の強さによっては、マンションが地震で倒壊する可能性はゼロではありません。

  1. 耐震基準によって強度が異なる
  2. マンションの形状・地盤によって倒壊リスクは変わる

現在の耐震基準は、震度7程度の大地震でも倒壊しないように設定されています。
まずはマンション倒壊の可能性について、詳しく説明していきます。

耐震基準によって強度が異なる

マンションが地震により倒壊するリスクは、建築年月日によって変わります。
耐震基準は1981年6月1日より新基準となっており、それ以前の建物とは基準にされた震度が異なるためです。

旧耐震基準(1981年5月31日まで)では、震度5程度の地震で倒壊・崩壊しないように基準が定められていました。

新耐震基準では、震度5の地震では損傷がなく、震度7程度の大地震でも損壊・崩壊しない程度の耐震基準(建築基準法施行令 | e-Gov法令検索第三章第八節 81〜106条)
が定められています。

そのため、旧耐震基準で建築された住居は震度5以上の大地震によって崩壊するリスクがあります。

 マンションの形状・地盤によって倒壊リスクは変わる

新耐震基準で建築された住居・マンションであっても、マンション自体の形状や地盤によっては、崩壊リスクがあります。

たとえば、埋立地は地盤が弱く地震が起きた際に液状化が起きる可能性があります。
また、高層ビルは上層階の揺れが非常に激しく、倒壊しないまでも損害が大きくなる点が問題です。

耐震基準上では、マンションは地震によって倒壊に至るケースは少ないと想定されています。しかし、地震は自然災害であり、想定以上の規模の地震が起きる可能性も否定できません。
マンションオーナーは、地震倒壊のリスクに備えた対策が必要です。

マンションが地震で倒壊した際に生じる責任・リスク

万が一マンションが地震で倒壊した場合、所有者にどのような責任・リスクが生じるか解説します。

  1. 違法建築など建物に瑕疵があった場合
  2. 適切なメンテナンスが行われていなかった場合

地震は自然災害であるため、倒壊時の責任を必ずしもオーナーが背負うわけではありません。
しかし、オーナー側に過失があると認められた場合は、責任が生じる可能性もあります。

違法建築など建物に瑕疵があった場合

倒壊したマンションに手抜き工事があるなど、瑕疵がある場合はオーナーが責任を問われます。
民法717条「所有者等の管理責任等について」では、物件所有者は土地の工作物の設置・保存に瑕疵があった場合に、その責任を負う旨が記載されています。

入居者の損害を賠償する責任を問われる可能性もあるでしょう。

阪神淡路大震災の事例では、賃貸マンションオーナーが4名の入居者死亡の責任を問われています。
マンションの1階部分が倒壊した原因が、マンション設置の瑕疵にあると認められたためです。
本事例でマンションオーナーは、1億2,900万円の損害賠償命令を下されました。(神戸地方裁判所 平成11年9月20日判決)

自然災害による損壊であっても、そもそも建物に瑕疵があった場合の責任は、所有者にあることを忘れないようにし、物件の瑕疵点検なども実行しましょう。

適切なメンテナンスが行われていなかった場合

マンションでメンテナンスがおこなわれていないことが、倒壊の原因となったと判定された場合、所有者はその責任を負わなければなりません。

法的根拠は民法606条(賃貸人の修繕等)に規定されています。

第六百六条

賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

【引用】民法606条

築古物件を購入し、メンテナンスもせずに賃貸していた場合が、これにあたります。万が一地震で被害が出た場合は、阪神淡路大震災の事例のように所有者の瑕疵と判断され、損害賠償しなければならない可能性があります。

マンションが倒壊してもローンの支払いは残る

地震でマンションが倒壊しても、ローンが免除されるわけではありません。
マンションが倒壊すれば、それ以上賃貸に出すこともできず、収益がなくなります。

売却するマンション自体がないため、解体して更地に戻して土地を売却するなどして、資金を作らなければなりません。

最悪の場合は債務整理に追い込まれる可能性もあります。
自然災害による被災者の債務整理にはガイドラインが策定され、法的倒産手続きが免除されます。しかし、債務整理後は借入が難しくなり信用情報に傷がつくなど、さまざまなデメリットがある点に注意してください。

大地震によるマンション倒壊リスクに備えるようにし、被害や損害を抑制しましょう。

大地震による倒壊に備えてマンションオーナーがすべき対策

マンションが地震により倒壊するリスクに備え、オーナーが取るべき対策をまとめました。

  1. 地震保険への加入
  2. リフォームで耐震性能を向上
  3. 耐震性に不安があるマンションを売却

南海トラフ地震や首都直下型地震の脅威も考え、大地震への対策はしておきましょう。

地震保険への加入

マンション経営をおこなうなら、地震保険に加入しておきましょう。
地震保険は、損害保険会社と政府が共同運営している保険で、地震による損害を補償してくれます。
地震だけでなく、地震に伴う火災や津波、噴火による被害も補償範囲内です。

損害額すべてを補えるわけではありませんが、建物は5,000万円、家財は1,000万円まで補償されます。
地震保険の概要や必要性、補償内容について知りたい方は、詳しく解説している記事を参考にしてください。

リフォームで耐震性能を向上

所有マンションをリフォーム、メンテナンスし、耐震性能を向上させましょう。
旧耐震基準で建築された築古物件を所有している場合は、耐震診断を受けた後に適切なリフォームを施してください。
新耐震基準で建てられている建物も、老朽化によって性能が低下している可能性はあるため、メンテナンスは必要です。
リフォーム費用はかかりますが、マンションが倒壊して物件や物件から得られる賃貸収入など、すべて失うよりは良いでしょう。

耐震性に不安があるマンションを売却

マンションの耐震性能に不安がある方は、売却も検討してみてください。
所有し続けてマンションが倒壊し、結果的に大損害を受けるリスクを抱えるよりは、早めに売却して資金に変えてしまった方が良いためです。

物件の築年数が古くても、最寄り駅までの距離や商業施設の近さ、利便性によっては高値で売却できる可能性もあります。
まずはマンション売却に先駆けて無料査定を受けたい方は、「イエリーチ」のサービスをおすすめします。
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まとめ

耐震基準が見直されたとはいえ、マンションが地震で倒壊するリスクはあります。
地震でマンションが倒壊すれば、資産を失うのみならず、オーナー側に過失が認められて損害賠償責任が発生することもあります。

大地震に備えて、地震保険の加入や定期的なメンテナンス、耐震性に不安がある場合は売却を検討してみても良いでしょう。
「イエリーチ」では、無料でいつでも何度でも不動産会社への査定依頼が可能です。
耐震性能に不安がある物件を売却したい方は、査定を受けてみてください。