マンションを売却する際にも、登記と呼ばれる手続きが発生し、登記費用がかかることをご存じでしょうか?
登記とは、マンションを売却する際に国が管理する帳簿にマンションに関する権利関係などを記載することです。
登記にはさまざまな費用が発生するため、ある程度売主の知識も必要です。
今回の記事を読むと、登記費用に対して以下の知識を得られます。
登記について理解し、トラブルを避けられるよう備えましょう。
マンション売却に必要な登記費用とは
マンションを売却する際「登記」と呼ばれる手続きをおこなう必要があります。登記には「登記費用」と呼ばれる諸費用がかかり、1つのマンション売却に必要な登記費用は一般的に約12,000〜20,000円です。
登記費用の内訳は3つに分けられます。
・登録免許税
・司法書士への報酬
・実費(書類費用等)
登記手続きの必要性
登記とは、第三者に権利を主張して、所有する不動産が自分の持ち物であることを示すための手続きです。
登記によって、国が管理する帳簿にマンションに関する権利関係を記載し、第三者に対して所有権の主張が可能です。登記を行っていないとマンション売却ができません。
特に注意すべきは相続したマンションを売るケースです。不動産売却は、相続人への名義変更が前提となっているため相続登記を怠っていると、スムーズに売却できない可能性もあります。
現在所有するマンションを売却する際には、「抵当権抹消登記」や「所有権移転登記」をおこないます。
抵当権抹消登記とは、不動産に設定されている抵当権を抹消する手続きのことです。
抵当権抹消登記の費用は、多くのケースで売主が負担します。
売主が、不動産のローンを返済することで抵当権の抹消が可能になります。
不動産の所有権を売主から買主に移転する手続きのことです。
所有権移転登記の費用は、多くのケースで買主が負担します。
登録免許税
マンション売却に必要な登記費用の1つ目が、登録免許税です。
税額は不動産1個につき1,000円です。複数の物件を売却する場合は「不動産数×1,000円」が支払うべき登録免許税になります。
登録免許税とは、登記手続きの際に国に納める税金です。マンション売却の場合、売主は抵当権抹消の登記手続きに対して登録免許税を支払う必要があります。
司法書士報酬
マンション売却に必要な登記費用の2つ目が司法書士に対する報酬です。
登記手続きを素人が一人でおこなうのは困難で、多くのケースでは司法書士に依頼します。
司法書士に対する報酬は、一般的に約10,000〜20,000円です。
ただし実際の価格は司法書士により異なるため、詳しくは依頼する司法書士に確認しましょう。
書類費用等
マンション売却に必要な登記費用の3つ目が、書類費用などの実費です。
例えば、登記手続きをおこなう際には、登記の情報が記された証明書である登記事項証明書を取得します。
登記事項証明書の受け取りは、登記所の窓口またはオンラインで受け取り可能です。
受け取り方によって手数料には下記の違いがあります。
登記事項証明書の受け取り方 | 料金 |
登記所の窓口で受け取る | 600円 |
オンラインで請求し、郵送で受け取る | 500円 |
オンラインで請求し、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る | 480円 |
【参考】登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です-法務局(2023年2月20日時点)
マンション売却時に必要な登記費用はいつ・誰が払う?
マンション売却時の登記費用は、買主と連帯して支払います。
・売主:マンションの決済時に「抵当権抹消登記」に関する登記費用
・買主:「所有権移転登記」に関する登記費用
売主がおこなう抵当権抹消登記
マンションの売却時、売主は「抵当権抹消登記」をおこないます。
抵当権とは、住宅ローンの返済が滞ったときに備え、住宅ローンを組んでいる金融機関がその不動産を差し押さえて競売にかけられる権利です。
マンションを売却するためには、ローンを完済した上で不動産に設定されている抵当権を抹消する手続きとして「抵当権抹消登記」をおこなう必要があります。
抵当権抹消登記に関わる費用は、前項で示した通り登録免許税と司法書士への報酬、実費(書類費用等)の3つで、約12,000〜20,000円です。
注意点として、売却前に住宅ローンを完済しても自動で抵当権が抹消されません。早めに自分で手続きしておくことをおすすめします。
手続きの方法は2通りです。
・自分で必要書類を揃えて不動産を管轄する法務局に提出する
・司法書士に依頼する
買主がおこなう所有権移転登記
マンションの売却時、買主は「所有権移転登記」をおこないます。
原則として売主・買主どちらが行っても構いません。
ただ、所有権移転登記によって利益を得るのは買主という理由から、買主の費用負担となるのが一般的です。
所有権移転登記にかかる費用は、売主の場合と同様、登録免許税と司法書士への報酬、実費(書類費用等)の3つです。
登録免許税は土地と建物でそれぞれの税率が適用され、「固定資産税評価額×税率」によって算出されます。
司法書士への報酬は、抵当権抹消登記よりも高額になる傾向があり、約10,000〜50,000円です。
それぞれの支払いのタイミング
「抵当権抹消登記」に関する費用は、売主がマンションの決済時に支払います。
抵当権の抹消にはローンの完済が必要不可欠です。ローンの完済のために買主から受け取るお金を充当するケースが多いです。
そのため抵当権の抹消は、マンションの決済時に同時におこなわれます。
登記費用の支払い方法は2通りです。
・依頼した司法書士に事前に報酬と費用を支払う
・決済当日に立合う司法書士にその場で支払う
上記のタイミングまでに司法書士への報酬を支払えないと、登記手続きが止まり、マンションの引き渡しができません。
最悪のケースでは、予定日に引っ越せなくなった買主とトラブルになることもあります。
登記費用の支払いのタイミングについては、事前に把握しましょう。
次に「所有権移転登記」に関する費用は、買主がマンションの引き渡しの際に司法書士に支払うことが一般的です。
売主と異なり、買主には登記費用の支払い期限などは定められていません。しかし登記費用を支払わないと、いつまでたっても買主は購入したマンションの所有権を得られません。
そのため「所有権移転登記」は、売買契約後速やかにおこなうケースがほとんどです。
マンション売却の登記費用を安く抑える2つの方法
マンション売却の登記費用を少しでも安く抑えたいと考える方もいらっしゃると思います。
最も簡単に登記費用を安く抑える方法は、司法書士への報酬を抑えることです。
内訳に含まれる登録免許税と司法書士への報酬、実費(書類費用等)の3つのうち、登録免許税と実費(書類費用等)は節約できません。そのため司法書士への報酬を抑えるしかありません。
また極限まで登記費用を抑えたい方は、自分で登記をおこないましょう。
低額な司法書士を探す
低額な司法書士を探すことで登記費用を安く抑えられます。
司法書士に支払う報酬は、依頼する事務所によって大きく異なるからです。
不動産会社が紹介する司法書士は値段設定が高いケースも多いため、インターネットでいくつかの事務所を比較しましょう。
自分で登記をおこなう
自分で登記をおこなうと、登記費用を安く抑えられます。
煩雑な登記手続きを素人が自分でおこなうのは困難です。司法書士に依頼するケースがほとんどです。ただし必ずしも司法書士に依頼する必要はありません。
自分で手続きをおこなえば司法書士への報酬分が節約できます。
しかし自分で登記をおこなう場合、登記上のミスがあると関係者に迷惑がかかるため注意しましょう。
売主側の登記上にミスがあった場合、抵当権を抹消できません。買主からすれば差し押さえられるリスクのある物件を買うことになり、トラブルに発展する可能性が高いです。
他にも、金融機関や仲介の不動産会社にも迷惑がかかってしまうため、十分注意しましょう。
まとめ
今回の記事では、マンション売却時の登記費⽤について詳しく解説しました。
売主が支払うべき登記費用は「抵当権抹消登記」に関する費用で、一般的に約12,000〜20,000円です。
内訳は登録免許税と司法書士への報酬、実費(書類費用等)の3つです。
このうち登録免許税と実費(書類費用等)は節約できません。価格を抑える場合には司法書士への報酬を安くするか、自分で登記をおこなう必要があります。
とはいえ、自分で登記をおこなうにはデメリットも多いです。最悪の場合買主との大きなトラブルに発展してしまう可能性もあるため、低額で引き受けてくれる司法書士を探しましょう。
スムーズにマンションを売却するためには、登記費用をしっかりと把握して、余裕を持った準備が大切です。