マンション売却を検討しているが、詐欺があると聞いて怖くなってしまった…という方もいるでしょう。確かに不動産業界にはマンションや土地売却に関する詐欺はあります。
この記事では、マンション売却詐欺の具体的な事例や悪徳不動産会社の手口、詐欺に騙されないための対処法を解説しています。最後まで読めば、マンション売却詐欺を回避して、安全にマンション売却ができるでしょう。
マンション売却詐欺とは?事例を含めて紹介
マンション売却詐欺とは一体どのようなものか事例を含めて紹介します。
- 勝手に登記移転・転売される
- 媒介契約の強要
- 不当な価格での不動産売却の強要(押し買い)
- 不当な手数料請求
- 両手仲介目的のために強引な売買契約を締結
- 偽造小切手での支払い
- 相場を上回る査定額の提示
悪徳不動産会社に騙されないために、具体的な不動産売却詐欺事例の知識をつけておきましょう。
勝手に登記移転・転売される
マンションの登記を勝手に移転されてしまう詐欺もあります。
売主から先に権利証を受け取り、所有権移転登記をしたうえで、先に転売するため、売主が気づいた時には物件を取り戻せない状態になっているケースが多いです。
マンションの所有権を主張するためには、登記が必要とされます。これにより、不当な書き換えをされていても、売主は不動産の所有権を主張できません。
媒介契約の強要
不動産会社から媒介契約を強要されるケースもあります。媒介契約を締結していれば、成約時に売り上げの一部を仲介手数料として請求できるためです。
特に売りに出す物件が好条件の場合は、不動産会社の営業活動に関係なく物件が勝手に売れることもあります。不動産会社としては努力することなく不動産が売れ、手数料が受け取れるため、非常に楽な仕事です。
不当な価格での不動産売却の強要(押し買い)
不当に低い金額で、マンションの売却を進める不動産会社もあります。不動産会社がグループ会社と共謀し、売主に対して低価格でマンションを売らせ、その後グループ会社が購入する手口です。
相場より安価で物件を入手し、転売などで利益を出すことが目的の詐欺です。
不当な手数料請求
不動産売買における媒介契約の手数料は、宅建業法第四十六条によって法定上限が定められています。
媒介契約の仲介手数料は以下の計算式で算出できます。
マンションの売却価格が400万円を超える場合
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)×10%(消費税)(2023年4月13日時点)
つまり、売買価格が1,000万円の場合は、39.6万円を超える仲介手数料は請求できません。
しかし、何かと理由をつけて不動産会社が売主に対して手数料を請求するケースがあります。例えば、宣伝のための広告費用、雑費などを請求することは違法です。
両手仲介目的のために強引な売買契約を締結
売主・買主双方から仲介手数料を受け取るために、強引に売買契約を締結させる不動産会社もあります。
同一の仲介会社が売主・買主を担当する仲介形態のことです。
双方から仲介手数料が入るため、不動産会社としては美味しい契約形態といえるでしょう。稀にこの状態を実現するために、強引に売り手と買い手を囲い込んで売買契約を締結させようとする不動産会社があります。
例えば、良い買い手が既に見つかっているにも関わらず、自社で紹介した買い手とだけ契約させようとするケースです。売却時期が伸びたり、成約金額が下がるリスクがあるなど、売主に対して誠実な対応とはいえません。
偽造小切手での支払い
偽造小切手で売買金額を支払う詐欺も起きています。マンションの売買金額を使えない偽造小切手で支払い、換金前に登記を移転するケースです。
偽造小切手のため当然換金はできず、売主は無償で物件を渡すことになります。また、不渡の小切手を利用して、売り手にお金を渡さないようにする詐欺もあるため注意しましょう。
相場を上回る査定額の提示
マンションの査定時に相場以上の金額をつけて、売主に媒介契約を促す不動産会社もあります。
査定額が良ければ、売主は「この不動産会社と媒介契約を結びたい」と思うでしょう。
しかしこれが落とし穴で、実際のマンションの価値は相場程度しかありません。
不動産会社は自社との媒介契約のために査定額を高めに提示し、契約後に相場程度に価格を落として売却します。不動産会社は成約さえすれば手数料が入るため、損をしないというカラクリです。
マンション売却詐欺に遭わないための対処法
マンション売却で詐欺に遭わないために、以下の対処法を頭に入れておきましょう。
- 宅地建物取引業免許番号を確認
- 媒介契約手数料上限を把握
- 不動産売却価格相場の把握
- 複数の不動産会社での査定
- 詐欺かもと思ったら警察へ電話相談
マンション売買は多額の金額が動く契約であり、詐欺被害に遭うと被害額も甚大です。しっかり詐欺の対策を取り、安全にマンションを売却しましょう。
宅地建物取引業免許番号を確認
媒介契約を持ちかけてきた不動産会社に不信感がある場合はまず、宅地建物取引業免許番号を確認しましょう。悪徳な不動産会社は詐欺まがいの行為を繰り返しては会社を一旦解散し、再度新たに登記をして会社を立ち上げる傾向にあります。
宅地建物取引業免許番号は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確認できます。
上記システムで不動産会社を確認すると、免許証番号と更新回数が表示されます。不自然に更新回数が短い場合は業歴が浅く、過去に悪事を働いて新たに事業を立ち上げた不動産会社の可能性があります。
媒介契約手数料上限を把握
マンション売買の媒介契約手数料は、法定上限額が決まっています。国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」によると、手数料は以下の通り定められています。
200万円以下の金額 | 100分の5.5(5.5%) |
200万円を超え400万円以下の金額 | 100分の4.4(4.4%) |
400万円を超える金額 | 100分の3.3(3.3%) |
【参考】宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(2023年4月13日時点)
上記の計算式が煩雑なため、一般的には以下の計算式で算出される場合が多いです。
マンションの売却価格が400万円を超える場合
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)×10%(消費税)
上限を超える請求は不当であるため、万が一請求された場合は宅建業法を持ち出して請求の根拠を追及しましょう。
不動産売却価格相場の把握
自分が所有するマンションの売却価格相場を把握しておきましょう。不動産会社が契約のために虚偽の査定を出した時に、いち早く気づけます。
不動産売却相場は、レインズが提供する「REINSMarket Information」で検索できます。
事前に相場を把握しておき、査定より高い金額を提示されても、冷静に判断できるようにしておきましょう。
複数の不動産会社での査定
マンション売却前の査定は複数の不動産会社でおこないましょう。1社だけに絞ると、マンションの正しい査定額が見極められず、また悪質な不動産会社に引っかかる可能性もあります。
複数の不動産会社で査定を受けることで、適正な売却額の目安がわかるだけでなく、媒介契約を結ぶ不動産会社候補の営業活動における対応を見極められるでしょう。
「イエリーチ」では、無料でいつでも何度でも不動産会社への査定依頼が可能です。
詐欺かもと思ったら警察へ電話相談
万が一マンション売却で詐欺に遭ったかもと思ったら、警察へ電話相談しましょう。
警察のほかに、以下のような相談窓口があります。
問い合わせ先 | 電話番号 |
警察 | 110 |
国民生活センター | 188(03-3446-1623) |
法テラス | 0570-078374 |
紛争解決センター(ADR) | 地区による |
即座に専門家に相談して適切な対処をとり、被害の拡大を防ぎましょう。
まとめ
不動産会社の中には、マンションを売却したい売主の気持ちを逆手に取り、騙して利益を得ようとする悪徳不動産会社があります。
詐欺に引っかからないためには、マンション売却の基礎知識をつけることが大切です。また、信頼できる不動産会社を選び、力を合わせて営業活動を進めていく必要があります。
しかし、どのような不動産会社に査定を依頼すれば良いか、媒介契約を結べば良いかわからず困っている方もいるでしょう。
「イエリーチ」では、無料でいつでも何度でも不動産会社への査定依頼が可能です。物件探しや資産管理のご相談も受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。