マンションの売却検討している方の中には、以下のような疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。
今回の記事を読むと、ローンの残ったマンション売却の流れがわかります。さらにローンの完済が難しい時の対処法も解説しています。
マンションの売却を考えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
ローンの残ったマンションの売却は可能?
結論から言えばローンの残ったマンションを売却することは可能ですが、下記の2つを行うことが必要です。
・ローンの完済
・抵当権の抹消
ローンの完済
ローンの残ったマンションを売却するには、ローンの完済が必要です。
ローンを完済しないと、マンションの抵当権を抹消できないからです。
ローン残債が残っているときのマンション売却に知っておきたいことが、アンダーローンとオーバーローン。
・アンダーローン:ローンの残債が売却代金よりも小さい状態
・オーバーローン:ローンの残債が売却代金よりも大きい状態
「アンダーローン」の状態とは、例えばローン残債が1,000万円、売却代金が4,000万円のケースです。
アンダーローンの場合、売却代金でローンを完済できるため、後述する抵当権の抹消がスムーズに進みます。
一方でオーバーローンの場合は、売却代金に加え貯金などの手持ち資金の持ち出しをおこなわないと、ローンを一括返済できません。そのため、のちに紹介する対策をおこなわないと抵当権の抹消は難しいです。
予想外の持ち出しを避けるためにも、売却する際にはローン残債を確認しましょう。
抵当権の抹消とは
ローンの残ったマンションを売却するには、抵当権の抹消が必要です。
抵当権とは、ローンの支払いが滞った場合に金融機関が不動産を売却できる権利です。そのためローン完済できる見込みがないと、抵当権を抹消できません。
もし抵当権の抹消が済んでいないマンションを売却すると、売却後に返済が滞れば買主が住んでいたとしても、マンションが差し押さえられるケースもあります。
そのため、抵当権が抹消できていないマンションはなかなか買い手が見つかりません。
ローンの残ったマンション売却の流れ
ローンの残ったマンション売却の流れは大きく7つに分けられます。
・ローン残債の確認
・物件の査定
・売却にかかる各種コストの確認
・買主の購入希望価格の確認
・売買契約の締結
・金融機関にローン返済
・抵当権抹消登記をおこなう
事前に流れを把握しておくことで、売却時のトラブルを避けられます。
ローン残債の確認
ローンの残ったマンション売却において1つ目におこなうことは、ローン残債の確認です。
ローン残債を確認する方法は3通りあります。
・返済予定表
・残高証明書
・金融機関の公式サイト
返済予定表
返済予定表とは、ローンを契約した金融機関から郵送される書類です。返済が始まる前後に届きます。
記載されている項目は主に下記の通りです。
・借入日
・返済方法
・最終返済日
・当初借入金額
・利率
・毎月の返済日
・毎月の返済金額(元本・利息の内訳)
・借入金の残高
残高証明書
残高証明書とは、確定申告用に金融機関から毎年10月下旬頃に郵送される書類です。
(住宅ローンの控除を受けることができる期間が終了している場合や、借入期間が10年未満の場合などを除く)
記載されている項目は主に下記の通りです。
・住宅借入金等の内訳
・住宅借入金等の金額(年末残高・当初金額)
・償還期間
残高証明書の再発行にはほとんどの金融機関で手数料がかかるため、失くさずに保管しましょう。
金融機関の公式サイト
金融機関によっては、公式サイトからもローン残債の確認が可能です。
ローン契約した金融機関がインターネットバンキングのサービスを提供している場合は、Web上で残債を確認できます。
ただし、金融機関によってはWebでローン残債の確認ができないケースもあるため、詳しくは、担当の金融機関へ確認してください。
物件の査定
ローンの残ったマンション売却において2つ目におこなうことは、物件の査定です。
確認したローン残債に対し、物件の査定額、つまり売却予想価格を知るとアンダーローンかオーバーローンか判断できます。
オーバーローンとわかれば、判明時点で売却を中止することも可能です。
一方で、アンダーローンの可能性が高い場合は、複数の不動産会社に査定を依頼して、どの程度売却益が生じるか確認しましょう。
「イエリーチ」では、無料でいつでも何度でも不動産会社への査定依頼が可能です。
売却にかかる各種コストの確認
ローンの残ったマンション売却において3つ目におこなうことは、売却にかかる各種コストの確認です。
売却にかかる一般的なコストは下表の通りです。(2023年3月22日時点)
仲介手数料 | 仲介手数料は上限の金額が定められており、その範囲内で不動産会社が自由に金額を決められます。 ▼売却額別上限 ・売却額が400万円超なら「売買金額の3%+60,000円」+消費税 ・売却額が200万円超400万円以下なら「売買金額の4%+20,000円」+消費税 ・売却額が200万円以下なら「売買金額の5%」+消費税 |
印紙税 | 売却額が1,000万円超5,000万円以下なら10,000円売却額が5,000万円超1億円以下なら30,000円 |
登録免許税 | 不動産数×1,000円 |
譲渡所得税 | ・長期譲渡所得(所有期間5年超) 課税長期譲渡所得金額×20.315% ・短期譲渡所得(所有期間5年以下) 課税短期譲渡所得金額×39.63% |
書類費用(登記事項証明書) | ・登記所の窓口で受け取る:600円 ・オンライン請求し郵送で受け取る:500円 ・オンライン請求し最寄りの登記所で受け取る:480円 ・印鑑証明書 登記所の窓口で受け取る:450円 ・オンライン請求し郵送で受け取る:410円 ・オンライン請求し最寄りの登記所で受け取る:390円 |
司法書士への報酬 | 10,000~20,000円 |
繰上げ返済手数料 | 10,000~30,000円 |
引っ越し代 | 時期に応じて変動あり |
印紙税や登録免許税も売却額や売却物件数から概算可能です。
思わぬ出費になることもあるため、事前に概算しておきましょう。
買主の購入希望価格の確認
ローンの残ったマンション売却において4つ目におこなうことは、買主の購入希望価格の確認です。
買主の購入希望価格は、買主の購入意思を示す「買付証明書」で確認できます。
売主の提示する売り出し価格よりも低く設定されている、つまり値引き交渉されていることもあるため、事前の確認が重要です。
売買契約の締結
ローンの残ったマンション売却において5つ目におこなうことは、売買契約の締結です。
売主の希望する売却代金と買主の購入希望価格がマッチすれば、買主と売買契約を締結します。
売買契約の締結時に買主から手付金(一般的に売却代金の10%)を受け取り、マンション引渡時に残金(売却代金から手付金を引いた金額)が支払われます。
金融機関にローン返済
ローンの残ったマンション売却において6つ目におこなうことは、金融機関へのローン返済です。
買主から残金を受け取ったら、金融機関の担当者に連絡してローンの一括返済の旨を伝えましょう。
抵当権抹消登記をおこなう
ローンの残ったマンション売却において7つ目におこなうことは、抵当権抹消登記です。
ローン返済後、司法書士に依頼して抵当権抹消登記をおこないましょう。
マンション売却時にローン完済が難しい場合の対処法
オーバーローンなどにより、マンション売却代金を充当してもローン完済が難しい場合、3つの対処法があります。
・自己資金で補充
・住み替えローンの利用
・任意売却する
自己資金を充当
マンションの売却額よりもローン残債が多いときは、ローン返済の不足額を自己資金で補充しましょう。
両親や親族に借入をおこない、不足分を補う方法も考えられます。
自己資金で充当する場合、新たな借り入れが不要なため、利息分を抑えられることがメリットです。
一方で、不動産仲介料などの諸経費は現金で支払う必要があるため、ある程度手持ち資金を残しておく必要があります。また、親族や友人からの借入は金額によって贈与税を課される可能性があるため、借用書を残しておくようにしましょう。
住み替えローンの利用
自己資金で返済額の不足分を補えない方は住み替えローンの利用を検討しましょう。
住み替えローンとは、マンション売却時に返済しきれなかったローン残債を、新たに購入するマンションのローンに上乗せするローンです。
住み替えローンのメリット・デメリットは下表の通りです。
メリット | 自己資金が不要オーバーローンでも売却可能 |
デメリット | 取り扱っている金融機関が少ない二重ローンであり審査が厳しい売却と購入の引渡日を同日にしなければならない |
任意売却する
先述した2つの方法が使えない方は任意売却する方法があります。
任意売却とは、ローンを返す金融機関の合意を得ておこなう売却方法です。
任意売却が成立すればマンションの抵当権は外れますが、売主は売却後も残債を返済する義務があります。
任意売却のメリット・デメリットは下表の通りです。
メリット | 残債の返済方法について金融機関と相談できるオーバーローンでも売却可能 |
デメリット | 売却後にも残債の返済義務があるブラックリスト(信用情報機関の事故情報名簿)に載るクレジットカード・ローンの審査に影響が出ることもある |
任意売却最大のデメリットは「ローンを返済できなかった」、つまり債務不履行として扱われ、個人の信用情報に傷がつくことです。
まとめ
今回の記事では、ローンの残ったマンション売却の流れについて詳しく解説しました。
一般的に、ローンの残ったマンションを売却する場合はローンを一括返済し、抵当権の抹消が必要です。
そのため、売却前にローンの残債や物件の売却代金を確認しておく必要があります。
マンションの売却代金だけではローンの完済が難しい場合でも、自己資金で補充できれば売却が可能です。
また、住み替えローンの利用や任意売却によって売却する方法もあり、それぞれのメリット・デメリットを比較して、慎重に判断しましょう。
スムーズにマンションを売却するためにも、流れをしっかりと把握して、余裕を持った準備が大切です。