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マンション売却で譲渡損失が出たら確定申告不要か|特例も解説

目次1 マンション売却の損益推移2 マンション売却後の確定申告の必要性・方法3 譲渡損失が発生した場合に利用できる特例4 … 続きを読む マンション売却で譲渡損失が出たら確定申告不要か|特例も解説


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マンション売却で損失が発生した場合は確定申告が必須ではありません。しかし確定申告をおこなうことで一部の特例を受けることが可能です。

本記事は下記のような方におすすめです
  • マンションの売却を検討しているけど損をしない方法が知りたい
  • 万が一損をした時の対処法を確認しておきたい

本記事では、マンション売却における譲渡損失の対処法やマンション売却で損を回避するポイントを解説します。

マンション売却の損益推移

マンションを売却する際はなるべく高く売りたいと考える人が多いでしょう。しかし、ほとんどの不動産売却で損失が出ているのが現状です。

住み替え前の住宅を売却した世帯の売却損益を調べると、戸建て住宅で1,284万円、集合住宅で1,028万円の売却損が発生(令和2年度)しています。

以下に集合住宅の取得価格と売却価格、売却損益を年度ごとに表しました。

年度取得価格売却価格売却損益
平成28年度3,387万円2,747万円-640万円
平成29年度2,975万円2,695万円-280万円
平成30年度4,304万円3,180万円-1,123万円
令和元年度3,724万円3,213万円-511万円
令和2年度3,732万円2,704万円-1,028万円

【参考】国土交通省令和2年度住宅市場動向調査報告書(2023年3月30日時点)

上記の表より、どの年度でも取得価格と比べて売却価格が低く、譲渡損失が出ているのが分かります。マンションを売却して赤字になることは珍しいことではなく、むしろ売却益が出ることの方が稀です。また、損失額は年度によって差がありますが、平成28年度から令和2年度を平均すると約716万円の損失です。

マンション売却の多くの場合で譲渡損失となるのには、マンションの築年数が関係します。下記は公益社団法人 東日本不動産流通機構の築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)です。マンション価格は建物の築年数が増えるほど下がっています。

【引用】公益社団法人 東日本不動産流通機構(2023年3月30日時点)

譲渡損失の計算

マンション売却における譲渡損失は以下の計算式で表します。

譲渡損失=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

譲渡価額は、マンションの売却代金のことです。取得費は土地は購入額ですが、建物は購入額から減価償却費を差し引いたものを指します。譲渡費用はマンション売却に係った経費です。

売却代金から取得代金を引くだけでは、譲渡損失の正確な数値が出ないため気をつけましょう。

譲渡所得がなく、譲渡損失となった場合は、税金は発生しません。

減価償却とは、マンションの価値が時間の経過によって低下することを想定し、その価値の減少分を毎年一定額計上する会計上の仕組みです。

国税庁によると鉄筋コンクリート造の住宅の場合、耐用年数47年、償却率0.022としています。

減価償却費の計算式は以下の通りです。

減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

マンション売却後の確定申告の必要性・方法

マンション売却後の確定申告の必要性・方法

マンション売却後は、売却益が出た場合には確定申告をおこない、税金を納める義務があります。一方、マンション売却で損失が出た場合は確定申告は必ずしもおこなう必要はありません。

マンション売却で損失が出ても確定申告するメリット

譲渡損失が生じた場合は、いくつかの特例が利用可能です。
しかし、特例を活用するためには確定申告が必要なため、利用できる特例や確定申告手順について確認しておきましょう。

マンション売却後におこなう確定申告の手順

マンション売却後におこなう確定申告では、以下のものを用意しましょう。

・マンション売却時の売買契約書
・マンション売却時にかかった費用の領収書
・売却したマンション購入時の売買契約書
・売却したマンション購入時にかかった費用の領収書
・マイナンバーカード
・本人確認書類(運転免許証など)

確定申告をおこなう時期はマンションを売却したの翌年の2月16日~3月15日です。期限を過ぎてしまうと状況によっては延滞税や無申告加算税をが状況によっては納付することとなります。

確定申告は余裕を持って作成しましょう。

作成は税務署で作成する方法のほか、自宅で作成して郵送する方法、e-taxで自宅のパソコンで作成する方法があります。確定申告の時期は税務署がは非常に混雑し、提出するだけでも長い行列に並ばなければならないことも珍しくありません。パソコンやスマホの操作に慣れている人で日中忙しい場合は、空き時間を利用して自宅で作成できるe-taxの利用も検討してみてください。

譲渡損失が発生した場合に利用できる特例

譲渡損失が発生した場合に利用できる特例

譲渡損失が発生した場合でも確定申告をおこなえば、いくつかの特例が受けられます。確定申告をおこない特例を受けましょう。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例はマンション住み替え時に利用できる特例です。この特例を受けるためには以下のような要件を満たす必要があります。

・住んでいる家を売却すること
・住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに家を売却すること
・所有期間が5年を超えていること
・新居を取得した翌年の12月31日までに住むこと
・新居の購入には返済期間10年以上のローンを組むこと

【参考】No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例) 国税庁

損益通算とは

譲渡損失した金額を給与などほかの所得から控除することです。サラリーマンがマンションを売却し譲渡損失が生じた場合、給与から損失を差し引くことで課税所得が減額され所得税が減らせます。

繰越控除とは

損益通算で控除しきれなかった損失分を翌年に繰り越せる仕組みです。最長3年間繰り越せるため合計4回の損益通算が可能です。なお、繰越控除は確定申告をおこなわなければ適応しないため、繰り越す回数に応じてマンション売却の翌年以降も確定申告をおこなう必要があります。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、住宅ローンが残った状態でマンションを売却する時に利用できる特例です。以下のような要件を満たす必要があります。

・住んでるマイホーム、または住まなくなってから3年までに売却すること
・所有期間が5年を超えていること
・償還期間10年以上の住宅ローン残高があること
・売却金額が住宅ローン残高を下回ること

マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは違い、新居を購入していない場合でも適用できます。

【参考】No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)国税庁

マンション売却で損しないポイント

マンション売却で損しないポイント

マンションを売却する際になるべく損をしたくないと考えることは当たり前です。ここでは、マンション売却前に知っておきたい損をしない売却術を解説します。

高く売却できる不動産会社を見つける

マンション売却では不動産会社選びも重要なポイントです。何も検討せずに近所の不動産会社を選ぶと損をしてしまうかもしれません。

少なくとも以下2つの不動産会社に査定を依頼することが大切です。

・大手の不動産会社
・地元密着型の不動産会社

マンション購入を検討している人は「地元の人」と「ほかの地域からくる人」に分かれます。

地元の人は地元の不動産会社に「マンションが売りに出たら連絡してほしい」と打診しているケースがあり、需要がある場合には高く売れる可能性が高いです。

大手不動産会社の場合は、知名度の高さからほかの地域からのマンション購入を検討している人から信頼されやすい特徴があります。

慌てて売らない

マンション売却には時間に余裕を持つことが大切です。マンション売却を決めて不動産会社に依頼してからすぐ買主が見つかるとは限りません。一般的には3カ月かかります。準備期間なども含めると少なくとも半年は見込んでおくとよいでしょう。

売却を決めたら早く売ってしまいたいという気持ちも分かりますが、焦る気持ちがあると安く売りがちです。

マンション売却で損をしないためには、スケジュールと気持ちにゆとりを持ちましょう。

購入と売却時期を考える

マンション売却で損をしないために考えておきたいのが、購入と売却のタイミングです。一般的には年数が経つ毎にマンションの売却価格は下がりますが例外もあります。例えば、日銀の異次元金融緩和により住宅ローンの金利が下がったことで住宅需要が増え、中古マンションの価格が上昇し続けています。(2023年3月30日時点)

金利が上がる前がマンションの売り時といえるでしょう。

まとめ

マンション売却はただ売却益が出れば得であるといった訳ではありません。また、マンション売却では譲渡損失が発生することが多いです。マンション売却時に譲渡損失が発生した場合でも、特例を受けるために確定申告をおこない、還付を受けるなど、対策をおこなうことが大切です。

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