マンションのエレベーター修繕費は経費で落とせる?補助金も解説

マンションのエレベーター修繕費は経費で落とせる?補助金も解説

目次1 エレベーターの修繕費とは?2 エレベーターの修繕費は経費計上できる3 エレベーターの修繕内容によっては一括で経費 … 続きを読む マンションのエレベーター修繕費は経費で落とせる?補助金も解説


この記事は約8分で読み終わります。

マンションのエレベーター修繕費は経費計上できます。
しかし、条件によっては一括で計上できるケースと毎年分割して計上するケースに分かれます。
この記事では、エレベーターの修繕費や補助金、税金の計算方法などを解説します。

本記事は以下のような方におすすめです。
  • エレベーター修繕費は経費で落とせるのか知りたい
  • そもそも修繕費とはなにかを知りたい
  • エレベーターの修繕で補助金は貰えるのか知りたい
  • 税金がいくらかかるのかを知りたい

修繕費について理解して、上手に節税しましょう。

エレベーターの修繕費とは?

マンション売却時に積み立ててきた修繕費は返金される?滞納時の注意点も

エレベーターの修繕費とは具体的にどのような費用のことなのでしょうか。
修繕費と資本的支出の違いについても理解しておきましょう。

原状回復に使った費用のこと

修繕費とは原状回復に使った費用のことです。
エレベーターは使用する度に、または時間の経過とともに劣化していき、原状回復または維持管理のための修繕が必要となります。
修繕費とは、これらの修繕に伴う費用のことを指します。
よく間違いやすいこととして、エレベーターの入れ替えも修繕費に含まれると認識してしまうことがあります。
リニューアルや入れ替えは原状回復ではなく、資産価値を高めるものなので「資本的支出」となります。

エレベーターの修繕費は経費計上できる

エレベーターの修繕費は経費計上できます。
前述のとおり、エレベーターの原状回復や維持管理における支出は修繕費として扱われます。
修繕費として認められるケースは以下のとおりです。

・修繕費用が20万円未満
・通常の維持管理
・原状回復
・修繕の周期が3年以内

これらの修繕であれば修繕費として認められるので一括での経費計上ができます。
所有しているマンションでエレベーターの修繕があった場合は、修繕費に含まれるかを確認しておきましょう。

エレベーターの修繕内容によっては一括で経費計上できない

経費申請できない

エレベーターの修繕内容によっては修繕費と資本的支出に分かれ、修繕費であれば一括で経費計上できるとお伝えしました。
ここでは、一括で経費計上できないケースをご紹介します。

資本的支出なら一括で経費計上できない

資本的支出の場合は一括で経費計上できません。
資本的支出にあたるケースは以下のとおりです。

・エレベーターの入れ替え
・エレベーターのリニューアル
・その他、使用可能期間を延長したり資産価値を高めたりする支出

これらに該当する場合は修繕費ではなく資本的支出になることを理解しておきましょう。
資本的支出の場合でも経費計上できますが、一括計上ができず分割で計上することとなります。
資本的支出は、修繕したエレベーターの耐用年数に応じて減価償却率を掛けて算出し、毎年分割して経費計上しなければなりません。

しかし、資本的支出にかかった費用が20万円未満の場合は、一括または3年間で均等に割った金額を修繕費として経費で落とせる「一括償却資産特例」を使える場合もあります。
さらに、確定申告を青色申告しているのであれば、1件30万円未満の修繕であれば「少額減価償却資産」として計上できることもあります。

これらのことから、修繕があった際の費用は修繕費なのか資本的支出なのかを理解して、一括経費計上できるのかも理解しておくようにしましょう。

エレベーターの修繕で補助金が貰えるケース

保証が貰える

エレベーターの修繕費は高額になる場合もあります。
ここでは補助金が貰えるケースをご紹介します。
以下は令和4年度東京都区市町村「住宅助成(融資)制度の概要」による各自治体ごとの補助金が貰えるケースです。

【中央区】
・中央区内の分譲マンションであること
・建築時において、建築基準法その他関係法令に適合しているものであること
・現に住宅として使用されていること
・建築後20年以上経過したものであること
・助成は10年間に限度額の範囲内で2回

【千代田区】
・管理組合等は、管理規約が整備され、総会・理事会でマンション安全・安心設備について議決され、費用について予備措置がされていること
・建築基準法その他の関係法令に適合していること
・半数以上若しくは10戸以上が住宅として使用されていること
・専門業者による工事であること
・防災計画を策定している、または防災計画を策定していないが、申請時において、(公財)まちみらい千代田で実施している防災アドバイザー派遣制度を活用し、1年以内に策定することが確約できること
・管理組合総会若しくは理事会において、感染症患者が発生した際に実施するマンション感染症対策について、管理組合の負担で実施することが議決されていること、または、事後報告し承認が得られること
【引用】令和4年度東京都区市町村住宅助成(融資)制度の概要

今回は東京都の一部のみをご紹介しましたが、各自治体ごとで補助金を受け取れる条件が異なりますので確認してみましょう。

エレベーターの修繕による補助金を受け取る流れ

経費申請の流れ

補助金を受け取る流れについても各自治体ごとに異なるので確認しておきましょう。
ここでは、新宿区での実際の受け取り方をご紹介します。

  1. 区に必要書類を提出して申請
  2. 区による書類審査
  3. 審査が通ったら補助金交付決定通知書が来る
  4. 区に所定の補助金請求書を提出
  5. 区が申請者の指定する口座へ入金
    ※千代田区ホームページ「産業財産権取得支援事業」を参照

エレベーター修繕における税金への影響・計算方法

税金の計算方法

ここでは、修繕費となるエレベーター修繕における納税額への影響、計算方法について解説します。
前述しているとおり、修繕費は経費計上できるのでしっかり理解して節税につなげましょう。

税率は所得金額により異なる

計算方法の前に、まずは年間の課税所得金額に応じて税率が異なることを理解する必要があります。
以下は年間の課税所得額とそれに掛かる税率です。

年間の課税所得額税率
195万円以下5%
330万円以下10%
695万円以下20%
900万円以下23%
1,800万円以下33%
4,000万円以下40%
4,000万円超45%

例えば、年間課税所得が400万円とすると、400万円×20%=80万円8となり、年間80万円の税金を払う必要があります。
自分の年間課税所得を確認して、年間に掛かっている税金がどれくらいなのかを把握しましょう。

エレベーター修繕における納税額の計算方法

課税所得に応じて税率が異なることをお伝えしました。
ここでは、実際にエレベーター修繕費を経費計上した際の税金の求め方をご紹介します。

例:年間の課税所得が家賃収入の400万円で、20万円の修繕をした場合
「(400万円(課税所得)-20万円(修繕費))×20%(税率)=76万円」
経費計上しなかった場合は以下のとおりです。
「400万円(課税所得)×20%(税率)=80万円」

経費計上した場合は納税額が4万円安くなりました。
上記の例では修繕費として扱うため修繕にかかった費用を20万円としました。
仮に修繕に100万円が掛かっていれば資本的支出となり一括計上はできなくなりますが、さらに大きな節税につながります。

マンション売却は大規模修繕前がおすすめ

売却

マンション売却を検討しており、どのタイミングで売ればいいのか疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
結論からいうと売却のタイミングは、大規模修繕前がおすすめです。
その理由を解説します。

工事費が高騰している場合が多い

大規模修繕をするにあたって事前に修繕計画を立てることになっていますが、計画していた予算より工事を実施するタイミングで費用が増額する場合があります。
その結果、修繕積立金を追加で支払うこととなります。
「平成30年度マンション総合調査結果」によれば、修繕計画で設定した修繕積立金が不足していると判明したマンションは34.8%にも及んでいます。
このことからも売却は大規模修繕前が良いといえます。

長期修繕計画が立てられていない場合がある

大規模修繕をするためには、事前に修繕計画を立てていることが一般的です。
しかし、なかには修繕計画を立てていないマンションもあります。
修繕計画を立てていないということは、工事にかかる費用や期間などが把握できていないということです。
仮に大規模修繕をおこなうことになった場合、急に修繕積立金を徴収されることも考えられます。
国土交通省の調査によれば、マンション全体の約9%が修繕計画を立てていませんでした。
※国土交通省 平成30年度マンション総合調査結果
このことからも、修繕計画を立てていないマンションを所有しているのであれば大規模修繕がいつ行われるのかを管理組合などに確認しておく必要があります。
また、売却を検討しているのであれば大規模修繕前に売却できるように計画を立てましょう。

まとめ

マンションのエレベーター修繕費について解説しました。
エレベーターの修繕費は、原状回復や維持管理、修繕費用が20万円未満であれば修繕費として一括で経費計上できます。
しかし、エレベーターのリニューアルなどによる資産価値の向上が目的であれば資本的支出となり、一括での経費計上はできず分割で毎年計上することとなります。
また、エレベーターを修繕したら補助金を貰えるケースがあります。
各自治体によって補助金を貰える条件や手順が異なるので確認しておきましょう。
経費計上は基本的に自分でおこなう必要があるので、どれだけ経費で落とせるのかを把握していないと必要以上に税金を支払うことになるので注意しましょう。