家賃の値上げは相場の把握が重要!適正金額を知ってトラブルを回避

家賃の値上げは相場の把握が重要!適正金額を知ってトラブルを回避

物件のオーナー向けに家賃の値上げや相場、注意点などをまとめています。家賃の値上げでトラブルを避けるためには、家賃の相場を把握して適正価格に近づけることが大切です。相場を知る方法や家賃の値上げでうまくいかないときの対処法もまとめています。


この記事は約8分で読み終わります。

家賃の値上げをおこなうことは、正当な理由があれば法律的に認められています。
しかし、無計画な家賃の値上げはトラブルの原因となり、場合によっては大きな損失を被る可能性もあるため注意が必要です。
トラブルを回避するためにも相場や対処法を知っておきましょう。

本記事は下記のような方におすすめです。
  • 家賃の値上げをしたいけどトラブルが気になる
  • 家賃の値上げで注意することを知りたい
  • 家賃の値上げ相場を知りたい

本記事では、家賃の値上げに関する相場やトラブル例、対処法などをまとめています。
家賃の値上げを検討しているオーナーさんは必見です。

家賃の値上げについて

家賃の値上げについて下記の順番で詳しく解説します。

・家賃の値上げは可能
・家賃の値上げには正当な理由と入居者の同意が必要
・家賃の値上げができないケース

家賃の値上げは可能

家賃の値上げをおこなうことは、借地借家法32条1項において認められている行為です。
ただし、家賃の値上げができる場合は下記のような条件が必要となります。

・物件に対する租税その他の負担の増加
・物件の価格の上昇、その他の経済事情の変動
・近傍同種の物件の家賃と比較して不相当
【参考】国土交通省-賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 の解釈・運用の考え方

つまり、法律的に家賃の値上げはできるものの、理由もなく値上げすることはできないということです。

家賃の値上げには正当な理由と入居者の同意が必要

家賃の値上げをおこなうためには正当な理由と入居者の同意が必要です。
正当な理由として認められるケースは下記のような場合となります。

・周辺の家賃が上がった
・リノベーションや設備投資に費用がかかった
・物件の資産価値が上がって固定資産税が増えた

物価高や土地評価額が上がって周辺の家賃が上昇した場合は、家賃の値上げの正当な理由となります。
また、リノベーションや設備投資にお金が多くかかった場合も物件の資産価値を高めることになるため、家賃の値上げの正当な理由です。

入居者の同意を得るためには、正当な理由を記載した家賃値上げの同意書を作成して入居者に送付することをおすすめします。
いきなり同意書を送付すると拒否される可能性もあるため、事前に家賃の値上げについて口頭で説明をおこない、同意書を送付することを伝えておきましょう。

家賃の値上げができないケース

家賃の値上げができないケースとして下記が挙げられます。

・オーナーの個人的な経済事情による値上げ
・賃貸借契約に家賃増額は禁止と記載している
・入居者の合意が得られない

家賃の値上げをおこなうためには相応の理由が必要になるため、単純に賃貸収入を増やす目的のために家賃を上げることはできません。
また、家賃を値上げする正当な理由があっても、入居者の合意が得られなければ勝手に家賃を上げることはできません。

家賃の値上げに法律上の上限はない

家賃の値上げに法律上の上限はない

家賃の値上げ幅について法律上の上限はなく、家賃の値上げはオーナーに与えられている権利です。
しかし、上限がないからといって極端な値上げをおこなうことはできません。
極端な値上げをおこなうことは、賃貸契約における入居者の経済安定性に影響を与えるためです。

たとえば、家賃が7万円のところを20万円や30万円に上げたとします。
7万円の家賃で契約していた入居者にとって10万円以上の負担増となり、生活を維持することが難しくなってしまいます。

法律上の上限はなくても、正当な理由の範囲内における対応が必要です。
仮に周辺の家賃相場が1万円上がったのであれば、家賃の値上げ幅も1万円以内に抑えるようにしましょう。

家賃の値上げで発生するトラブル例

やってはいけない空室対策の事例

家賃の値上げにはさまざまなトラブルが発生するリスクがあります。
どのようなトラブル事例があるかを把握しておきましょう。

・入居者の退去が増える
・入居者に拒否される
・入居者に訴えられる

入居者の退去が増える

家賃を値上げすると入居者の退去が増えて、家賃収入が減るリスクがあります。(経営している物件が1件の場合は家賃収入が0円になります。)
退去が増える理由は、家賃の値上がりに対する金銭的な負担を減らすために同じような条件で家賃が安い物件に引越しをおこなうためです。

家賃の値上げができても、退去者が増えて家賃収入が大幅に減るとトータルはマイナスとなります。
値上げをしても周囲の物件相場以下の家賃であれば入居者が退去する可能性は低くなるため、周辺の相場を考慮しながら値上げ幅を考えることが大切です。

入居者に拒否される

家賃の値上げはオーナーの権利ですが、入居者にも家賃の値上げを拒否する権利があります。
値上げの正当な理由や証拠を提示しても、入居者が合意しなければ値上げはできません。
また、家賃の値上げを拒否する入居者を強制的に退去させることもできず、法定更新(当初の条件で契約が自動更新されること)をすぎると、入居者はこれまでの家賃で住み続けることができます。

入居者に拒否された場合は納得してもらうように交渉を続け、それでも解決しない場合は調停や裁判で家賃の値上げをおこなう必要があります。

入居者に訴えられる

借地借家法では、入居者はオーナーに対する家賃の減額請求を認めています。
そのため、家賃の値上げ交渉に失敗した場合は入居者に訴えられる可能性がある点に注意が必要です。
たとえば、家賃の値上げをおこなうためにオーナーが訴訟を起こした場合、逆に入居者が家賃の減額を求めて訴訟を起こすケースもあります。

訴訟に発展すると時間・お金がかかり、場合によっては相手の訴えが正しいと判決される可能性もあります。

家賃の値上げ相場で注意するポイント

家賃の値上げ相場で注意するポイントを下記の順番で紹介します。

・値上げ後の家賃が相場に合っていればトラブルは少ない
・周辺の家賃相場を調べる方法

値上げ後の家賃が相場に合っていればトラブルは少ない

家賃の値上げ幅の相場は、人によってもともとの家賃や周辺の物件相場が異なるため、一律に「〇万円の値上げがいい」といった基準はありません。
家賃の値上げでトラブルを減らすためには、値上げ後の家賃を周辺の相場にあわせることが重要です。

家賃の値上げで入居者が退去する理由の多くは、周辺の安い物件を探すためです。
家賃を値上げしても、周辺の物件に比べて家賃が高くなければ退去する可能性は低くなります。

入居者も新しい物件を探すとなると、引越しや手続き、敷金礼金などでまとまったお金が必要です。
引越しはできるだけ避けたいと思う入居者も多いため、周辺の相場よりも高くならないように値上げ幅を検討しましょう。

周辺の家賃相場を調べる方法

周辺の家賃相場は下記の方法で調べられます。

・賃貸ポータルサイトで調べる
・近隣の不動産会社に相談する
・不動産情報サイトで調べる

家賃相場を調べる場合は、間取りや築年数、設備なども確認しましょう。
所有している物件とできるだけ同じ条件の物件で比較することが大切です。
周辺の家賃相場を把握したあとは、所有する物件の家賃と比較して家賃の値上げ幅を決めます。

イエリーチでは、無料で周辺の賃貸参考相場価格を知ることが出来ます。
周辺の家賃相場を調べる場合はイエリーチの活用がおすすめです。

家賃の値上げ交渉でうまくいかない場合の対処法

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家賃の値上げ交渉でうまくいかない場合の対処法として下記の3つを紹介します。

・入居者にメリットがある別条件を提示する
・空き部屋から値上げする
・収益性が低い場合は売却を検討する

入居者にメリットがある別条件を提示する

家賃の値上げ交渉をおこなう際、入居者にメリットがある別条件を提示するとうまくいくケースもあります。
たとえば、下記のような条件です。

・次回の更新料を無料にする
・宅配ボックスを設置する
・無料Wi-Fiを導入する

家賃の値上げは入居者の経済的な負担につながります。
少しでも負担を軽減するような条件を提示すると、値上げに対して真摯に対応している印象をもたれて交渉がしやすくなります。

空き部屋から値上げする

家賃の値上げ交渉がうまくいかない場合は、空き部屋から値上げをおこなうこともよいでしょう。
募集をおこなって応募が多かった場合、値上げ後の家賃が妥当と判断できます。
応募がまったくない場合は家賃が妥当ではないため、値上げの見直しが必要です。

このように空き部屋を値上げすることで家賃の妥当性がわかるため、先に空き部屋から値上げをして様子をみるとよいでしょう。

収益性が低い場合は売却を検討する

家賃の値上げをおこなっても収益性が低い場合は、売却を検討することもよいでしょう。
収益性が低い物件を所有していても赤字が膨らむばかりです。
また、物件は経年劣化するため、資産価値が低下して収益性がさらに低下する可能性もあります。

物件を売却して、収益性が高い物件を探して運用する方が損失を抑えられることもあります。

まとめ

家賃の値上げをおこなう場合は、入居者とのトラブルに注意する必要があります。
トラブルを避けるためには、周辺物件の相場を把握して値上げ後の家賃が相場以下になるように設定することがコツです。
家賃の値上げでうまくいかないときは、売却を検討してみることもよいでしょう。

本記事に記載されている家賃の値上げや相場、リスクなどを参考に、家賃の値上げについて考えてみてください。