マンション管理会社との間でトラブルが発生した場合、管理が適切におこなわれずにマンションの資産価値が下がるリスクがあります。
トラブルが発生した場合は解決に向けた迅速な対応が必要です。
本記事では、マンション管理会社とのトラブルが解決しない場合の対処法や相談先をまとめています。
マンション管理会社の役割と業務
マンション管理会社の役割や業務は下記の通りです。
・事務管理
・管理員管理
・清掃
・建物・設備管理
事務管理
マンション管理会社は下記のような事務をおこなっています。
・管理費や修繕費の徴収
・マンションの維持、修繕に関する計画、実施の調整
・入出金の管理
これらの事務管理は基幹事務と呼ばれており、管理会社が委託する業務において特に重要な役割となります。
【参考】国土交通省関東地方整備局
管理員管理
マンション管理会社は管理員管理の業務をおこなっています。
管理員とは、管理会社に雇われて下記のような業務をおこなう者です。
・受付業務:来訪者の窓口業務をおこなう
・点検業務:マンション内の管球類の交換や目視による巡回点検をおこなう
・立会業務:消防設備や点検業者の立ち合いをおこなう
・報告連絡業務:日常業務を管理会社に報告する
マンション管理会社は、実際にマンションで働く管理員のシフト管理やサポートなどもおこないます。
清掃
マンション管理会社は下記のような共用部分の清掃も業務の一つです。
・エントランス
・廊下
・階段
・共有スペース
各箇所の掃き掃除や拭き掃除をはじめ、日常生活では実施できない部位については専用機材を用いた洗浄も定期的におこないます。
また、高所ガラスや外壁の汚れなどは特別清掃業務として、大規模修繕工事の時や必要に応じておこなうケースもあります。
建物・設備管理
建物・設備管理とは、マンションの建物・設備の異常やトラブルを未然に防ぐためにおこなう定期点検です。
マンション管理会社が点検スケジュールを作成し、点検業者への発注や実施日の調整、改善点の提案などの管理をおこないます。
建物・設備管理には、「報告義務が必要である国の定めた法定点検」と「報告義務のない保守点検」があり、どちらもマンション管理会社の業務です。
マンション管理会社との間で起こるトラブル事例
マンション管理会社との間で起こるトラブル事例として下記が挙げられます。
どのような理由でトラブルに発展するか確認しましょう。
・クレームや要望における対応スピードが遅い
・共有部の清掃が不十分
・管理会社からの報連相がない
・入居者同士のトラブルに対応しない
クレームや要望への対応スピードが遅い
「ゴミ出しのルールが守られていない」や「設備不良」など、入居者から届いたクレームや要望をマンション管理会社に伝えた際、対応スピードが遅いことでトラブルに発展するケースがあります。
対応が遅れて入居者の不満が募ると退去につながるケースもあるため、早急な対応が必要となります。
共有部の清掃が不十分
共有部の清掃は入居者が快適に暮らすうえで重要な業務であり、委託された管理会社が定期的に清掃をおこなって清潔に保たなければなりません。
管理会社や管理員によっては清掃が十分に行き届いていなかったり、場合によっては清掃を怠っているケースもあります。
マンション管理会社との契約で決められている清掃ルールを確認し、契約通りの業務ができていない場合はマンション管理会社の責任です。
しかし、契約でこまかい取り決めがないと、マンション管理会社の責任とはいえないケースもあるため、先に契約内容や清掃のルールを確認しておきましょう。
管理会社からの報連相がない
建物や設備に破損や故障がある場合、管理費の会計収支に問題がある場合などには、マンション管理会社は状況や問題を改善するための計画、提案などをおこなう必要があります。
マンション管理会社や管理員の怠慢で報連相がないとマンションの不具合に気づけず、住人の生活に影響が生じます。
対応が遅れてしまうと入居者からは「管理ができていないマンション」と思われてしまい、退去につながる可能性があるでしょう。
入居者同士のトラブルに対応しない
入居者同士のトラブルが発生したときに、マンション管理会社がトラブルを解決しようとしない姿勢をとっていると、入居者が不満を感じて、マンション管理会社と入居者の間でトラブルになるケースがあります。
マンション管理会社は管理組合の規約・規制に基づき、共有部の使用に関することや、他の住人の生活に影響を及ぼす場合は住人同士のトラブルでも対応が必要です。
しかし、「子どもが飛び跳ねる音で揉めた」のように、管理とは直接関係のない区分所有者間のトラブルだと、管理組合が解決しなければならない問題とは限りません。
そのため、入居者同士のトラブルをマンション管理会社に相談した際に「業務外」といわれ、責任や対応の所在を巡ってトラブルに発展することがあります。
トラブルが発生したときの相談先
マンション管理会社とトラブルが発生したときの相談先として下記の機関が挙げられます。
話し合いが進まず、解決が難しい場合は相談を検討しましょう。
・マンション管理業協会
・公益財団法人マンション管理センター
・マンション管理士事務所
マンション管理業協会
マンション管理業協会は、マンションの管理業務をおこなう法人・個人で組織された業界団体です。
マンションの管理に関する相談を電話・面談で受け付けており、相談費用は無料です。
公平な立場からオーナーと管理会社の主張を整理し、問題解決に向けた話し合いのアドバイスや提案をおこないます。
ただし、対象はトラブルの相手が協会に加盟しているマンション管理会社だった場合のみです。
まずは、マンション管理業協会の公式サイトにある協会会員一覧に相手のマンション管理会社の名前があるかを確認しましょう。
公益財団法人マンション管理センター
公益財団法人マンション管理センターは、管理組合や管理関係者の支援をおこなうために国から指定を受けた公益財団法人です。
国の指定を受けた相談窓口として、公平・中立的な立場で相談を受け付けています。
トラブルを解決するために、当事者間の仲裁にはいることはなく、特定の弁護士や企業を紹介されることはありません。あくまで相談のみであり、アドバイスを基に自分たちで解決に向けて動くことが必要です。
相談料は無料で、面談・メールに対応しています。
マンション管理士事務所
マンション管理士事務所とは、国家資格のマンション管理士を取得している専門家が開設している事務所です。
マンション管理会社とトラブルが発生した場合、多くの事務所で無料相談を受けられます。
具体的なアドバイスや対策などを教えてもらえる可能性がありますが、公的な団体ではないため、トラブル解決を含めた仕事受注を前提とした相談になりやすい点には注意しましょう。
マンション管理会社とのトラブルが解消しない場合の対処法
マンション管理会社とのトラブルが解消しない場合の対処法として下記の方法が挙げられます。
・管理員を変更してもらう
・管理会社の変更を視野に入れる
管理員を変更してもらう
マンション管理会社とのトラブル原因が、「フロント対応が悪い」、「清掃をしっかりしない」のように管理員に問題がある場合は、管理員を変更してもらうこともトラブルを解決するために有効な方法の一つです。
まずは、マンション管理会社に連絡を入れて、管理員の上司や窓口に相談しましょう。その際には、下記のような管理員を変更したい具体的な理由を明示することが大切です。
・契約通りに清掃をおこなわない
・受付対応が悪くて住人からクレームが来ている
・点検を怠ったことで設備が故障した
管理会社の変更を視野に入れる
マンション管理会社とのトラブルの原因が「積極的な提案やアドバイスがない」、「管理員の管理や教育が不十分」のように、体制や運営に原因がある場合はマンション管理会社の変更も視野に入れましょう。
変更する場合は、現在契約しているマンション管理会社との管理委託を解消し、新しい管理会社を見つける必要があります。
そのため、下記のような流れで変更することが望ましいです。
- マンション管理会社の問題点を整理する
- 新しいマンション管理会社を複数選定する
- 見積もりと提案内容を比較する
- 理事会で選定したマンション管理会社のプレゼンテーションをおこなう
- マンション管理会社変更の総会をおこなう
- 現行のマンション管理会社と管理委託契約を解約
- 新マンション管理会社と管理委託契約を結ぶ
なお、引継ぎについてはマンション管理会社同士でおこないます。
引継ぎに漏れがないかを確認するために、こまめに引継ぎの進捗状況を確認しましょう。
まとめ
マンション経営をおこなっているとマンション管理会社との間でトラブルが発生するケースがあります。
まずは、マンション管理会社との間で話し合い、進展しない場合は専門機関に相談しましょう。
それでも解決しない場合は、管理員やマンション管理会社の変更も視野に入れる必要があります。
トラブルが発生した場合は居住者に迷惑をかけないためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。