マンションのエレベーター改修工事修繕費はいくら?修繕時期も解説

マンションのエレベーター改修工事修繕費はいくら?修繕時期も解説

目次1 エレベーターの改修工事修繕費用はどれくらい?2 エレベーターの耐用年数3 エレベーターの改修工事のタイミング4 … 続きを読む マンションのエレベーター改修工事修繕費はいくら?修繕時期も解説


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マンションのエレベーター修繕費用は工事の規模によって異なり、小規模な工事であれば400万円〜700万円前後、大規模な工事であれば1,200万円〜1,500万円前後が相場です。
エレベーターの劣化状況や修繕にかけられる予算などを考慮したうえで、どの規模の改修工事をおこなうか決めましょう。

本記事は以下のような方におすすめです。
  • エレベーターの改修工事修繕費はどれくらいか知りたい
  • 改修工事は具体的になにをするのか知りたい
  • 改修工事をするタイミングを知りたい
  • どこに依頼すればよいかを知りたい

エレベーターの改修工事修繕費用はどれくらい?

エレベーターの改修工事にかかる費用はリニューアルの種類によって異なります。
・全撤去新設リニューアルの費用
・準撤去リニューアルの費用
・制御部品リニューアルの費用
それぞれ解説します。

全撤去新設リニューアルの費用

全撤去新設リニューアルとは、既存のすべてのエレベーター部品を撤去して最新のエレベーターに入れ替える方法です。
費用は約1,200万円〜1,500万円で工事の期間は約25日〜40日かかり、新しいエレベーターを製作する期間は約50日〜120日必要とされています。
費用は高額ですが、最新のエレベーターにリニューアルできるのが最大のメリットです。
しかし、製作期間や工事の期間が長期のため、その間使用できなくなる点がデメリットといえます。
また、マンションに一基しかエレベーターがない場合は住民が不便になるため、状況によってはリニューアルできない場合もあります。

準撤去リニューアルの費用

準撤去リニューアルとは建物に固定されている一部は残したまま、ロープやカゴ、巻上機、制御基板などを最新機器に入れ替える方法です。
費用は約700万円〜1,000万円で工事の期間は約15日〜25日かかり、新しいエレベーターを製作する期間は約50日〜120日必要とされています。
全撤去新設リニューアルより費用を抑えたリニューアルが可能です。
製作期間は変わらないですが、工事の期間が短縮できる点がメリットです。
ただし、各箇所の部品を交換することになるため、古いエレベーターの場合はパーツの取り寄せに時間がかかることがあります。

制御部品リニューアルの費用

制御部品リニューアルとは、制御部分のみをリニューアルする方法です。
主に、インバーター制御や操作基盤、配線などの入れ替えを行います。
費用は約400万円〜700万円で工事の期間は約3日〜15日程度かかります。
メリットとしては、新たに製作する必要がないため、費用を安く抑えられる点です。
ただし、交換しなかった部品に関しては改めてリニューアルや修繕計画を立てる必要があります。

エレベーターの耐用年数

エレベーターの耐用年数

エレベーターのリニューアル方法をお伝えしましたが、「そもそもエレベーターって何年使えるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
ここではエレベーターの耐用年数をご紹介します。
エレベーターの法定耐用年数は17年です。
法定耐用年数とはエレベーターの資産価値のことであり、17年経過すると資産価値がなくなるということです。
ただし、保守点検を定期的に行っていれば25年〜30年ほど使用できます。法定耐用年数を過ぎたからといって使えなくなるわけではありませんので注意しましょう。

エレベーターの改修工事のタイミング

エレベーターの耐用年数をお伝えしました。
ここでは改修工事のタイミングをご紹介します。
「改修工事っていつやればいいの?」とお悩みの方は参考にしてください。

耐用年数を迎えたタイミング

前述しているとおり、エレベーターには耐用年数があり、保守点検を定期的にしていれば25年〜30年程度使えます。
改修工事をするタイミングとしては、この耐用年数を目安にしましょう。
一般的なマンションであれば大規模修繕は12年に一度行われ、2回目にあたる24年目に改修工事をすることが多いです。
耐用年数と現在の使用している年数を把握して計画しましょう。

不具合の発生頻度が増えたタイミング

エレベーターは機械であるため、突発的な不具合が発生することがあります。
耐用年数を迎えていなくても不具合や故障が頻発していれば改修工事のタイミングといえます。
しかし、突発的な改修工事の場合は修繕費用が用意されていないこともあり得ます。
エレベーターを使えないと住民にとって非常に不便となるため、急な修理になっても対応できるように事前に資金計画を立てておきましょう。

現在使用しているパーツの生産が終了したタイミング

使用しているエレベーターが古い場合は、部品の生産が終了していることがあります。
この場合は部品の交換ができないため、新たにリニューアルするタイミングといえます。
メーカーは、そのエレベーターの生産が中止しても20年間は保守パーツの供給が義務付けられています。
そのため、すぐにリニューアルする必要はありませんが、リニューアルの準備は始めておいた方がよいでしょう。

定期メンテナンスの種類

エレベーターは定期的にメンテナンスすれば長く使用できます。
ここでは定期メンテナンスの種類についてご紹介します。

・フルメンテナンス契約
・POG契約

フルメンテナンス契約

フルメンテナンス契約では、点検や修理、調整、部品取替など全般的にメンテナンスしてくれます。
少額の消耗品や経年劣化した機械などもメンテナンス対象であり、高額な部品の交換が必要になった際も対応してくれる点がメリットです。

POG契約

POG契約とは、「パーツ・オイル・グリース」の略であり、保守に必要な消耗品の交換をしてくれます。主な交換部品としては、オイルや電球、ヒューズ、リード線などです。
フルメンテナンス契約よりも費用を抑えられますが、故障や劣化した部品の交換は含まれていません。

エレベーター改修工事の依頼先

エレベーターのメンテナンスの種類についてお伝えしました。
ここでは実際に改修工事の依頼先についてご紹介します。
エレベーター会社といっても大きく2種類に分かれます。

・独立系施工会社
・メーカー系施工会社

独立系施工会社

独立系施工会社は、エレベーターのメーカーに関係なく修理や点検を行ってくれる会社のことです。
メリットはエレベーターの種類に関わらず依頼できる点と、メーカー系施工会社に比べて費用を抑えられる点です。
ただし、パーツはメーカーから取り寄せるため、工事開始までに時間がかかることが多いです。

メーカー系施工会社

メーカー系施工会社とは、自社エレベーター専門の施工会社です。
代表的なメーカーとしては、三菱電機や東芝エレベーターなどがあります。
独立系施工会社と比べて専門知識や経験が豊富であり、パーツもすぐに用意できるのがメリットです。
デメリットとしては、自社製品以外のエレベーターの対応ができない点です。
状況に合わせて独立系かメーカー系かを選びましょう。

エレベーター改修工事における補助金

エレベーターの改修工事は高額になる場合が多いため、補助金が欲しいと思う方は多いのではないでしょうか。
ここでは補助金が貰えるケースをご紹介します。

各地域ごとの補助金を受け取る条件

以下は令和4年度東京都市区町村「住宅助成(融資)制度の概要」による各自治体ごとの補助金が貰えるケースです。

【港区】
【マンションの場合】
・延べ面積の2/3以上が住宅の用に供されていること
・エレベーター改修工事で戸開走行保護装置を設置すること

【特定建築物の場合】
・申請者が法人の場合は中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者に限る
・延べ面積が1,000㎡(幼稚園又は保育所にあっては500㎡)以上であって、地階を除く階数が3以上の建築物であること
・長期修繕計画又は維持保全計画が作成され、かつ、当該計画において エレベーターを修繕項目として設定している建築物であること
・構造く体が、地震に対して安全な構造となっている建築物であること
・特定建築物の利用者が使用するエレベーターが設置されている建築物であること
・エレベーター改修工事で戸開走行保護装置を設置すること

【新宿区】
・高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第18号に規定する特定建築物
・耐火建築物又は準耐火建築物であって、延べ面積が1,000㎡以上であり、かつ、地階を除く階数が3階以上の建築物
・長期修繕計画又は維持保全計画を作成された建築物であり、かつ、その計画においてエレベーターを修繕項目として設定している建築物
・構造躯体が地震に対して安全な構造である建築物
・区から違反建築に係る是正指導等を受けていない建築物
【引用】令和4年度東京都区市町村住宅助成(融資)制度の概要

今回は東京都の一部のみをご紹介しましたが、各自治体ごとで補助金を受け取れる条件が異なるため、自分の地域の条件を確認してみましょう。

補助金の申請から受け取るまでの流れ

補助金を受け取る流れについても各自治体ごとに異なるため、確認しておきましょう。
ここでは、新宿区での実際の受け取り方をご紹介します。

  1. 区の窓口に事前相談
  2. 助成金の交付申請
  3. 区による書類審査
  4. 審査が通ったら工事施工者と契約
  5. 工事の実施
  6. 工事の完了
  7. 区による書類の審査、施工状況の確認
  8. 区の確認後、助成金額確定通知書が送付される
  9. 【第14号様式(助成金交付請求書)】を提出
  10. 区から助成金が交付される
    【参考】新宿区【新宿区エレベーター防災対策改修支援事業のご案内】

エレベーター改修工事を修繕費として節税する方法

エレベーター改修工事を修繕費として節税する方法

エレベーターの改修工事は修繕費として節税ができます。
改修工事には、修繕費と資本的支出の2種類の費用に分かれるため、理解しておきましょう。

修繕費と資本的支出

改修工事の内容によって、修繕費と資本的支出のどちらかに分かれます。
修繕費とは、原状回復や維持管理によってかかる費用のことです。
修繕費であれば経費を一括計上できるため、節税効果が大きくなる特徴があります。
修繕費として認められる条件は以下のとおりです。

・原状回復にかかった費用
・維持管理にかかった費用
・修繕費は20万円未満
・修繕の周期が3年以内

これらの場合は修繕費として認められます。
対して資本的支出とは、リニューアルなどにより、資産価値を高める修繕にかかる費用のことです。
資本的支出でも経費の計上はできますが、一括計上はなく毎年分割しての計上となるため、節税効果が薄いです。
「費用が20万円超」「エレベーターの全面入れ替え」などは資本的支出のため、理解しておきましょう。

修繕費の節税方法

修繕費の節税方法に大きく関わるのが「不動産所得」です。
不動産所得に該当するものとして以下のようなケースがあります。

・建物、土地などの貸付け
・地上権などの不動産の上に存する権利の設定や貸付け

自分が所有しているマンションの一室や駐車場を貸して得た所得を不動産所得といいます。
マンション所有者はこの不動産所得から必要経費を差し引いた額に税率を掛けて、税金を納めなければなりません。
計算式は以下のとおりです。
「納税額=(不動産所得ー必要経費)×税率」
計算式から分かるとおり、税率は不動産所得と必要経費を差し引いた額に対して掛かります。
そのため、「必要経費」としてどれだけ多く経費計上できるかが節税のポイントです。
修繕費は一括で経費計上できるため、修繕があった年の確定申告の際は確実に修繕費を申請するようにしましょう。
また、20万円以上の場合は修繕費ではなく資本的支出となり、一括計上できませんが分割して計上できるため、忘れずにおこなうようにしましょう。

まとめ

マンションのエレベーター改修工事修繕費について解説しました。
リニューアルにはいくつか種類があり、全撤去新設リニューアルや準撤去リニューアル、制御部品リニューアルなどがあります。
費用は高いもので約1,200万円〜1,500万円で安いもので約400万円〜700万円でリニューアルできます。
エレベーターの法定耐用年数は17年ですが、定期的に保守点検をしていれば25年〜30年使用できます。
「リニューアルも時期がわからない」という場合は、この耐用年数を目安にしましょう。
また、定期メンテナンスの種類にはフルメンテナンス契約やPOG契約などがあり、依頼先には独立系やメーカー系などがあることも理解しておきましょう。
エレベーターの修繕費はしっかり経費計上すれば大きな節税につながるため、1年間での修繕費を把握しておくことが大事です。