目次
エレベーターの基盤交換は補助金が出る場合や修繕費として計上できる場合があります。
本記事ではエレベーターの基盤交換のタイミングやかかった費用が修繕費になるケースを紹介しています。
エレベーターの基盤交換を検討している方はぜひ参考にしてください。
エレベーターの基盤交換の必要性
エレベーターの基盤交換は定期的におこなう必要があります。
エレベーターの基盤や交換の必要性を下記の順番で解説します。
・エレベーターの基盤とは
・基盤を交換しないと事故のリスクが高まる
エレベーターの基盤とは
エレベーターの基盤とはエレベーターの運転動作や速度を制御する制御盤のことです。
エレベーターの巻上機、ドアの開閉、リミットスイッチなど、さまざまな機器に電気を供給しています。
制御盤は機械室に設置されており、エレベーターの頭脳に該当するため非常に重要なパーツです。
年数の経過にともない劣化が早く出やすいパーツでもあります。
エレベーターを正常に稼働させるためにも制御盤の定期的な交換が必要です。
基盤を交換しないと事故のリスクが高まる
エレベーターの基盤を交換しないと経年劣化によって制御装置が正常に稼働しなくなるリスクが高まります。
下記は基盤の交換を怠ると発生しやすいトラブルです。
・昇降機のかごが動かなくなる
・操作スイッチが動かなくなる
・安全装置が稼働しなくなる
エレベーターの稼働中に上記のようなトラブルが発生すると、大きな事故につながる可能性があります。
マンション住人の安全を守るためにも基盤交換が必要です。
エレベーターの基盤交換をおこなうタイミング
エレベーターの基盤交換をおこなうタイミングは下記の3つです。
・エレベーターの耐用年数が経過
・生産中止や部品供給終了
・経年劣化にともなうリニューアル
エレベーターの耐用年数が経過
エレベーターの基盤交換のタイミングは耐用年数が経過するタイミングです。
・国税庁が示しているエレベーターの法定償却耐用年数:17年
【参考】法定耐用年数-国税庁(2023/04/11時点)
・メーカー(三菱電機)が示している耐用年数:20年~25年
国税庁とメーカーが示している耐用年数には違いがあるため、設置しているエレベーターのメーカーの耐用年数を確認しましょう。
耐用年数を過ぎたあとも基盤交換をおこなわずに使い続けると故障やトラブルのリスクが高まります。
生産中止や部品供給終了
エレベーターの基盤が生産中止・部品供給終了の発表も基盤交換のタイミングです。
エレベーターの耐用年数を過ぎていなくても、すぐに基盤が手に入るかわからないため早めに基盤交換をおこなって対応します。
生産中止や部品供給終了になった場合はメーカーから連絡が届くため、メーカーと相談して交換の有無や時期を決めましょう。
経年劣化にともなうリニューアル
エレベーターの稼働年数が長くなってくると、耐用年数を過ぎていなくてもトラブルや不具合が発生するケースがあります。
経年劣化によるトラブルが頻発する場合、大きなトラブルに備えるためにも早めの基盤交換が必要です。
エレベーターの基盤交換にかかわる費用や補助金・節税方法を紹介
エレベーターの基盤交換にかかわる費用や補助金・節税方法を下記の順番で解説します。
・基盤交換にかかる費用の相場
・エレベーターリニューアルで補助金が受けられる場合がある
・エレベーターの基盤交換費用は修繕費にして節税できる
基盤交換にかかる費用の相場
制御盤の基盤交換にかかる費用の相場は50万円~80万円です。
基盤交換には基盤の部品代と交換費用がかかります。
そのため、エレベーターの種類や依頼する業者によって費用が異なります。
基盤交換にかかる正確な費用が知りたい場合はメーカーに確認しましょう。
部品が足りていない場合や他に修理が必要になる場合は、さらに費用がかかる場合もあるため注意が必要です。
エレベーターリニューアルで補助金が受けられる場合がある
エレベーターの基盤交換をおこなう場合は、補助金を受けられる場合があります。
たとえば、国土交通省ではエレベーターに戸開走行保護装置を設置することで、1台につき最大950万円までの補助をおこなうとしています。
【参考】既存エレベーターの防災対策改修事業-国土交通省(2023/04/12時点)
戸開走行保護装置とは、エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、出入口が閉じる前にかごが昇降した場合に自動でかごを制止する装置です。
対応していないエレベーターの場合については、国土交通省が制御盤改修や交換時に戸開走行保護装置を検討するように促しています。
また、下記のようにエレベーターのリニューアルで補助金を受けられる自治体もあります。
・大阪市エレベーター防災対策改修補助事業
・新宿区エレベーター防災対策改修支援事業
・港区エレベーター安全装置等設置助成事業
基盤交換をリニューアルの一環でおこなう場合は補助金を受けられる場合があります。
お住まいの自治体の補助金情報を確認しておきましょう。
エレベーターの基盤交換費用は修繕費にして節税できる
エレベーターの基盤交換にかかる費用は修繕費として計上できる場合があります。
修繕費として計上することで、翌年の税金を減らせます。
下記の順番で基盤交換費用の修繕費についてさらに詳しく解説します。
・修繕費とは
・節税に必要な書類
・節税のシミュレーション
修繕費とは
修繕費とは経営しているマンションを修理・改修するためにかかった費用です。
修繕費は経費として計上できます。
翌年の税金を減らす効果があるため確定申告時に修繕費を計上しましょう。
ただし、品質や性能を向上するためだけに基盤交換する場合は、修繕費として認められない可能性があるため注意が必要です。
【参考】修繕費とならないものの判定-国税庁(2023/04/12時点)
たとえば、制御盤が経年劣化していないにもかかわらず、性能向上や補助金目的で制御盤を交換した場合にかかった費用は修繕費として認められません。
上記のケースだと資本的支出に分類され、かかった費用は減価償却によって各年分の必要経費に算入します。
かかった費用をまとめて確定申告できるのが修繕費、かかった費用を各年に分散して確定申告するのが資本的支出です。
まとめて計上できる修繕費の方が翌年の税負担は小さくなります。
節税に必要な書類
修繕費で節税するためには、基盤交換の費用を修繕費と裏付けできる契約書・完了報告書などを用意しておきましょう。
確定申告で書類を提出する必要はありません。
しかし、税務署のチェックが入ったときに書類がないと修繕費として認められない場合があります。
また、修繕費として計上できるタイミングは工事が終了した時点です。
エレベーターの基盤交換を今年依頼して工事が始まっても、来年に工事が終了する場合は来年の支出になるため注意しましょう。
節税のシミュレーション
エレベーターの基盤交換を修繕費にするとどれくらいの節税効果が得られるか下記を条件にシミュレーションしてみましょう。
・基盤交換にかかった費用:80万円
・マンション経営の年間所得:500万円
年間所得が330万円以上~650万円未満の所得税は下記の計算式で求められます。
「年間所得×20%-42万7,500円」
【参考】No.2260 所得税の税率-国税庁(2023/04/12時点)
基盤交換をしない場合の税金は下記の通りです。
「500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円」
基盤交換をした場合の税金は下記の通りです。
「(500万円-80万円)×20%-42万7,500円=41万2,500円」
基盤交換を修繕費に計上することで、約16万円の節税効果を得られたこととなります。
エレベーターの基盤交換はマンション売却に有利?
マンションを売却する際に、エレベーターの基盤交換をする場合としない場合を比べると、基盤交換をしない方が手元に残るお金は高くなりやすいです。
これは、基盤交換にかかった費用をすべて売却価格に上乗せすることは難しいためです。
たとえば、基盤交換に80万円かかった場合、売却価格に80万円を上乗せできるとは限りません。
しかし、エレベーターの基盤交換をしている方がマンションを探しているオーナーは安心します。
買い手が見つかりやすくなるという点では、事前に基盤交換をしてからマンションを売却するメリットもあります。
まとめ
エレベーターの基盤交換は、トラブル防止のためにも耐用年数が経過する前におこないましょう。
トラブルや不具合がある場合は住民の安全を守るためにも早めに点検をおこない、必要に応じて基盤交換をおすすめします。
またエレベーターの基盤交換にかかる費用は修繕費として計上できるため節税にもなります。
ぜひ本記事を参考に基盤交換を検討してみてください。