中古マンション経営は老後の不労所得や相続税対策、副業収入を目的とする方から注目を集めています。しかし、中古マンション経営に興味はあるが、踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、中古マンション経営のメリット・デメリット、中古マンション経営に向いているオーナーの特徴について解説します。
本記事を読むと、中古マンション経営のリスクがわかるため、中古マンション経営を始めたい方は参考にしてください。
中古マンション経営とは
中古マンション経営とは、中古で売られているマンションを購入し、第三者に貸し出して家賃収入を得る方法です。中古マンション経営には、以下の2種類があります。
- 一棟マンション経営
- 区分マンション経営
中古マンションは新築マンションよりも安価に購入できるため、不労所得や相続税対策として購入する方が増えています。
また金融機関からの借入れにより、自己資金が少ないサラリーマンの方でも参入できるのが人気のポイントです。
中古マンション経営のメリット
中古マンション経営のメリットを新築マンション経営と比較して以下3つ紹介します。
- 新築よりも安価に購入できる
- 新築よりも高利回りになりやすい
- 築26年以降の築古中古マンションは資産価値が落ちにくい
新築よりも安価に購入できる
中古マンションは、新築マンションよりも安価に購入可能です。購入費が低いと、不動産取得税・登録免許税などの付帯費用も抑えられます。
必要な費用が少ないため、自己資金が少ない方でも参入しやすいです。また価格が安いため、複数の物件を購入して空室になるリスクを分散させることもできます。
例えば自己資金1,000万円の方が、1,000万円の区分マンションを1室購入したケースと、100万円の区分マンションを10室購入したケースで比較してみましょう。
1室しか購入していないケースだと、1回入居者が出ると空室率が100%となり家賃が一切入ってきません。
しかし10室購入したケースでは、10室のうち1室だけ空室になったとしても空室率は10%で、9割の家賃が入ってきます。
新築よりも高利回りになりやすい
中古マンションは新築マンションよりも高利回りになりやすいです。マンション経営における利回りとは、購入費に対する年間家賃収入の割合を指します。
つまり利回りが高ければ高いほど、投資資金を短期間で回収が可能です。
また、利回りには以下の2つがあります。
表面利回り:年間家賃収入÷投資総額×100
純利回り(NOI利回り・実質利回り):(年間家賃収入-諸経費)÷投資総額×100
表面利回りの計算は単純のため、簡単な投資判断をおこなう際に用いられます。ただし諸経費が計算に含まれていないため、表面利回りだけを見て投資するのは危険です。
純利回りは、より現実的な投資判断をおこなう際に用いられます。諸経費の考え方は、ベテラン投資家の間でも判断が分かれるため、精度の高い純利回りを求めるためには経験や知識が必要です。
年間家賃収入が50万円のケースで、購入価格が500万円の中古マンションと、購入価格が1,000万円の新築マンションの表面利回りを比較してみましょう。
・中古マンション:50万円÷500万円×100=10%
・新築マンション:50万円÷1,000万円×100=5%
つまり中古マンションの表面利回りは10%のため、投資資金は10年で回収できます。一方で新築マンションの表面利回りは5%のため、投資資金の回収にかかる期間は20年です。
また上記シミュレーションにおいて、諸経費を考慮して純利回りを求めます。中古マンションには年間20万円、新築マンションには年間10万円の諸経費がかかると想定した場合の純利回りは下記の通りです。
・中古マンション:(50万円-20万円)÷500万円×100=6%
・新築マンション:(50万円-10万円)÷1,000万円+100万円)×100=4%
上記のシミュレーションでは、中古マンションの諸経費は、新築マンションの2倍かかると想定しています。ですが、中古マンションは新築マンションよりも安価に購入しているため、諸経費が多くかかっても利回りが高いです。
中古マンションは新築マンションよりも安価で購入できるケースが多く、高利回りになりやすいです。中古マンションを安価に購入できれば、新築マンション以上に諸経費がかかっても、短期間で投資資金の回収が見込めます。
築26年以降の築古中古マンションは資産価値が落ちにくい
築26年以降の築古中古マンションは、資産価値が落ちにくいです。
資産価値が落ちにくい場合、購入時と売却時の価格差が小さくなるため、売却損が少額となりやすいことがメリットです。
【引用】築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)-東日本不動産流通機構
東日本不動産流通機構が公表している「築年数から見た人気の不動産流通市場(2021年)」によると、築年数がたつごとに、中古マンションの成約価格は下落しています。
築0〜5年の成約価格は、6,000万円超えです。しかし築26〜30年には2000万円台にまで価格が下落しています。30年以降は築年数がたっても、ほとんど値下がりしないことがわかります。
つまり資産価値が下落している築年数の古いマンションを購入すると、購入時点からほとんど資産価値が下がりません。
中古マンション経営のデメリット
参入しやすい中古マンション経営ですが、以下4つのデメリットもあります。
- 想定した家賃が得られない
- 設備が壊れやすい
- 築5年以下の築浅中古マンションの資産価値は購入時より値下がりしやすい
- 素人では対処が難しい欠陥が見つかる
デメリットを把握せずに中古マンション経営を始めると、思わぬ損害が生じます。中古マンション経営を検討している方は、解説する4つのデメリットについて事前に理解を深めておきましょう。
想定した家賃が得られない
マンション経営は、入居者を見つけた上で家賃を受け取ることにより収入が発生します。
しかし入居者が見つからない、入居者が家賃を支払わないケースでは想定していた家賃を得られません。
また築年数が経つごとに家賃を下げないと、入居者を集められない事態も考えられます。
特に入居者は同じ家賃であれば、新築・築浅の物件を好むため、築年数が古い中古マンションほど集客が困難です。
そのため中古マンションのシミュレーションでは、新築マンションよりも厳しい条件でおこなう必要があります。
中古マンションで以下のような甘い条件でシミュレーションをおこなっていると、想定した家賃が得られずローンの支払いが滞るなどトラブルが生じる可能性が高いです。
・空室リスクを考えていない
・家賃の下落を想定していない
・家賃滞納のリスクを考慮していない
マンションは定期的に退去者が出て、空室が生じるのは当たり前です。
また購入時の家賃で、入居者を集められる保証はありません。さらに満室経営ができていたとしても、入居者が家賃を支払わないこともあるでしょう。
新築マンションであっても上記のトラブルが発生する可能性はあります。ただし中古マンションは新築マンション以上に、集客が難しいため、空室リスクはより厳しく見積もる必要があります。
マンション経営は、思うように進むことばかりではありません。不測の事態も考慮してシミュレーションをおこないましょう。
設備が壊れやすい
中古マンションは、新築マンションよりも設備が故障しやすく修繕費がかさみやすいです。
一般的に設備機器の寿命は、10年〜20年と言われています。そのため、新築時から一度も設備の修繕・交換をしていない築10年以上の中古マンションは、設備機器の故障リスクが高いです。
一棟マンションを経営していると、外壁塗装やエレベーターの修理、排水設備修理など定期的に多額の修繕費が生じます。
区分マンション経営でも給湯器やエアコンの故障などで、定期的にまとまった出費が発生するため、修繕費を支払えるだけの手持ち現金の用意は必須です。
築5年以下の築浅中古マンションの資産価値は購入時より値下がりしやすい
築5年以下の中古マンションの資産価値は、年数が経つごとに下落していきます。
築5年以下の中古マンションの資産価値を25年以上経ってから売却すると、資産価値が1/3以下になっているケースもあります。
そのため中古マンション、特に築5年以下の物件を購入する場合は、資産価値の下落を考慮してください。
素人では対処が難しい欠陥が見つかる
中古マンションには、素人では対処が難しい欠陥が生じている場合があるため、特に一棟マンションの経営を考えている方は、注意しましょう。
・柱が腐っている
・基礎が沈み、建物全体が傾いている
・主要部分の鉄骨が錆びている
価格だけを見て購入すると、後に思わぬ欠陥が見つかり、自身では手に負えず途方に暮れてしまうケースが想定できます。判明した欠陥によっては、修繕するまで入居者を募集できず、長期間家賃収入を得られないこともあるでしょう。
そのためマンション購入する際は、価格だけではなく、実物を見て自身で対処できない欠陥がないかも確認しましょう。
中古マンション経営に向いている・成功しやすいオーナー
最後に中古マンション経営に向いているオーナー・成功しやすいオーナーの特徴について解説します。
・収益シミュレーションできる
・他人任せにしない
収益シミュレーションできる
購入前に収益シミュレーションができる方は、中古マンション経営に向いている・成功しやすいといえます。収益シミュレーションでは、中古マンション経営をおこなっていく上で起こりうるイベントを想定します。
発生するイベントによって、収益がどのように変化するのか調べることが収益シミュレーションの目的です。
中古マンション経営をすると、さまざまな不測の事態が発生します。
・金融機関から「金利を上げたい」とお願いされる
・入居者が一気に退去する
・想定以上に修繕費がかかる
精度の高い収益シミュレーションができると、マンションの購入判断がおこなえ、経営中のマンションのリスクや対応策がわかります。
そのため、収益シミュレーションをおこなえるオーナーは致命的な失敗を避けられ、中古マンション経営を成功させやすいです。
他人任せにしない
他人任せにしない方も、中古マンション経営に向いている・成功しやすいでしょう。中古マンションの経営をしていると、さまざまなタイミングで判断を下さなければなりません。
・物件の購入エリア
・購入するマンション
・借入する金融機関
・リフォームの内容
・管理会社の選定
マンション経営を始めると、経営に関するあらゆる内容を判断する必要があります。自ら不動産の勉強をせず、他人任せにしたい方には向いていません。
まとめ
本記事では、中古マンション経営のメリットやデメリット、中古マンション経営に向いているオーナーの特徴について解説しました。
中古マンションは新築マンションよりも安価に購入できて、高利回りになりやすい点がメリットです。しかしシミュレーションが甘いと想定した家賃が得られない、設備が故障して修繕費がかさんで赤字になるといったリスクもあります。
中古マンション経営で成功するには、マンション購入前の収益シミュレーションが重要です。精度の高いシミュレーションがおこなえると、中古マンションの適切な購入判断が可能となり取り返しのつかない失敗を避けられます。