【2023年】マンション売却益にかかる税金の控除・節税方法5選

【2023年】マンション売却益にかかる税金の控除・節税方法5選

目次1 マンションの売却益には税金がかかる2 マンションの売却益にかかる税金を節税する方法3 税金の計算シミュレーション … 続きを読む 【2023年】マンション売却益にかかる税金の控除・節税方法5選


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マンションの売却益に活用できる特別控除などを活用すると、大幅に支払う税金の削減が可能です。

マンションの売却益には多額の税金がかかることもあるため、以下のような不安を抱いている方は多いでしょう。

本記事は下記のような方におすすめです
  • 老後資産のために少しでも多くの現金を手元に残したい
  • 子供や孫のために多くの資産を残したい
  • 子供や孫のために多くの資産を残したい

本記事では売却益にかかる税金の節税方法を5つ解説します。

マンションの売却益には税金がかかる

マンションの売却益には税金がかかる

マンションを購入時の価格より高い金額で売却できると、売却額と購入額の差である「売却益」に税金がかかります。マンションは数百万円から数億円で取引されるため、多額の利益が出るケースも多いです。

譲渡所得税とは

譲渡所得とは、不動産をはじめとした資産を売却したときに生じる所得です。不動産売却時の計算式は以下参照ください。

・譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)

上記の計算式をマンションの売却に当てはめると、譲渡価格がマンションの売却額に該当します。取得費は、マンションの購入価格や購入時の仲介手数料です。譲渡費用とはマンション売却時の仲介手数料や登録免許税を指します。

以下の数字を用いて譲渡所得をシミュレーションしてみましょう。

譲渡価格が2,000万円で、取得費と譲渡費用がそれぞれ1,000万円、100万円だったときの譲渡所得は900万円です。

・2,000万円-(1,000万円+100万円)=900万円

上記の計算式で出た譲渡所得の900万円に税金がかかります。譲渡価格の2,000万円に税金がかかるわけではないため注意してください。

売却損が出たら税金はかからない

先の計算式でもわかる通り、譲渡所得がマイナスになり売却損が出ると税金はかかりません。こちらも数字を用いてシミュレーションしてみましょう。

譲渡価格が2,000万円で、取得費と譲渡費用がそれぞれ3,000万円、200万円だったときの譲渡所得は-1,200万円です。

2,000万円-(3,000万円+200万円)=-1200万円

上記の計算式では譲渡所得がマイナスになっており、売却損が出ているため税金はかかりません。譲渡所得税は売却益が発生したケースのみにかかります。

マンションの売却益にかかる税金を節税する方法

マンションの売却益にかかる税金を節税する方法

マンションの売却益が生じると譲渡所得税が課されます。ただし条件を満たすと、譲渡所得税を減らせる制度の活用が可能です。

マンションの売却益にかかる税金を節税できる制度・方法を5つ紹介します。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
・居住用財産の所有期間が10年を超える場合の軽減税率
・長期譲渡所得
・住宅ローン控除
・リフォームをおこなう

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、自宅として使用していたマンションを売却すると、譲渡所得から最大3,000万円控除できる制度です。計算式は以下を参照してください。

・譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-3,000万円の特別控除

次の事例でシミュレーションしてみましょう。

<前提条件>

・譲渡価格:4,100万円
・取得費:1,000万円
・譲渡費用:100万円
・3,000万円の特別控除を活用

3,000万円の特別控除を活用しなければ、譲渡所得は3,000万円{4,100万円-(1,000万円+100万円)}です。

3,000万円の特別控除を活用すると、3,000万円-3,000万円=0となるため、譲渡所得が0円となり税金はかかりません。

ただし3,000万円の特別控除を活用するには、以下の条件も満たす必要があります。
・自宅として使用していたマンションを売却する
・居住しなくなった日から3年目の年末までに売却する
・売却した年の1年前と2年前に同じ制度を使用していない
・売却先が配偶者や親族など特別な関係でない

居住用財産の所有期間が10年を超える場合の軽減税率

居住用財産の所有期間が10年を超えていると活用できる軽減税率は、譲渡所得が6,000万円以下の部分の税率が14.21%に軽減される制度です。

先述した3,000万円の特別控除を活用しても売却益が生じているケースで使用します。6,000万円以下と6,000万円を超える部分の税率の違いは、下記の表を参照してください

税率の合計所得税復興特別所得税住民税
6,000万円以下の部分14.21%10%0.21%4%
6,000万円超の部分20.315%15%0.315%5%

3,000万円特別控除を活用した後の譲渡所得が9,000万円だったケースで、譲渡所得税額をシミュレーションしてみましょう。6,000万円以下と6,000万円を超える部分で税率が異なるため以下のように計算式が分かれます。

・6,000万円×14.21%=8,526,000円
・(9,000万円-6,000万円)×20.315%=6,094,500円
・8,526,000円+6,0945,000円=14,620,500円

仮に所有期間10年超の軽減税率を使用しなかった場合の税金額は以下の通りです。

・9,000万円×20.315%=18,283,500円

軽減税率を使用したケースとしないケースによる税金額の差は、「18,283,500円-14,620,500円=3,663,000円」です。

売却益によっては軽減税率を活用しないと、数百万円以上も多く税金を納めなければなりません。3,000万円を超える売却益が出る予定の方は、マンションを10年以上所有してからの売却がおすすめです。

ただし所有期間10年超の軽減税率を活用するときも、3,000万円の特別控除と同じ条件を満たす必要があります。

長期譲渡所得

相続や投資用マンションなどの居住用ではないマンションを売却した時の税率は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間によって決まります。

所有期間が5年を超えていると「長期譲渡所得」となり税率が軽減され、所有期間が5年以下だと「短期譲渡所得」に区分されます。税率の差は下記を参照してください。

税率の合計所得税復興特別所得税住民税
長期譲渡所得20.315%15%0.315%5%
短期譲渡所得39.63%30%0.63%9%

マンションの所有期間が5年を境に、適用される税率が約2倍も異なります。譲渡所得が1,000万円のケースを想定して税額をシミュレーションしましょう。

長期譲渡所得の税額は「1,000万円×20.315%=2,031,500円」です。短期譲渡所得の税額は「1,000万円×39.63%=3,963,000円」になります。税金額の差は「3,963,000円-2,031,500円=1,931,500円」です。

譲渡所得によっては、税金額に数百万円以上の差が出ます。マンションを現金化しなければならない理由がない方は、5年以上保有してから売却するのがおすすめです。

住宅ローン控除

自宅を売却して新しいマンションを購入する予定のある方は、住宅ローン控除の利用も検討しましょう。ただし住宅ローン控除と3,000万円の特別控除は併用できないため、どちらが得か見極めが必要です。

住宅ローン控除

一定の条件を満たして住宅ローンを使用してマンションを取得すると、年末の住宅ローンの残高に応じて、所得税・住民税が控除される仕組みです。

どちらが得なのか数字を使ってシミュレーションしてみましょう。住宅ローン控除を活用したときの最大控除額は、455万円です。
※「年末の住宅ローン残高:5,000万円×0.7%×13年」にて算出

所有期間10年超の軽減税率でシミュレーションした譲渡所得が9千万円の場合で、3,000万円の特別控除を使用したケースと使用しないケースの税金額の差は、3,663,000円でした。

上記の例では住宅ローン控除を活用した方が、節税効果は大きいです。ただし住宅ローン控除の活用と3,000万円の特別控除の活用は、どちらが得をすると一概には言えません。

個別ケースを知りたい方は、税理士や不動産会社にお問合せください。

リフォームをおこなう

リフォーム費用は取得費として計上できるため、税金額は減らせます。大規模なリフォームを行うと数百万円以上かかることもあり、数十万円以上の節税につながることもあります。

そのためリフォーム費用を証明できる領収書や納品書は残しておきましょう

税金の計算シミュレーション

税金の計算シミュレーション

3,000万円の特別控除は、マンションの名義人が複数いると名義人数分使用が可能です。例えば、夫婦二人の名義で所有しているマンションを売却すると、夫・妻それぞれで3,000万円の特別控除が使用できます。

名義人が一人のケースと夫婦が名義のケースで、税金額の違いをシミュレーションしましょう。

<前提条件>

・所有期間は5年
・自宅のマンションを売却
・譲渡所得:6,000万円
・夫婦のマンション所有権が50%ずつ
・夫婦の譲渡所得は3,000万円ずつに分ける

名義人が1人のケース

名義人が一人のケースでは、3,000万円の特別控除は1人分しか使用できません。計算式は以下の通りです。

・(6,000万円-3,000万円)×20.315%=6,094,500円

夫婦が名義人のケース

先述した通り、夫婦が共同で所有しているマンションを売却すると、夫婦2人分の特別控除が使用できます。前提条件では、夫婦のマンション所有権が50%ずつで、譲渡所得が6,000万円のため、譲渡所得も半分の3,000万円ずつになります。

計算式は以下を参照してください。

・夫:(3,000万円-3,000万円)×20.315%=0円
・妻:(3,000万円-3,000万円)×20.315%=0円

夫婦2人とも3,000万円の特別控除が活用できるため、譲渡所得が0になり譲渡所得税を支払う必要がありません

売却額や所有権によって、税金が数百万円から数千万円単位で変わってきます。将来マンションを売却するつもりの方は、税理士・不動産会社に相談をして税金最適化できる形を考えて購入しましょう。

まとめ

マンションの売却で多額の売却益が出ると、高額の税金が課せられます。そのため税金控除の制度を適切に活用し節税をおこなわないと、手元に残るお金が数百万円から数千万円単位で変わってきます。

マンションの売却益にかかる税金を減らせる制度と方法は、以下の5つです。

・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
・居住用財産の所有期間が10年を超える場合の軽減税率
・長期譲渡所得
・住宅ローン控除
・リフォームをおこなう

長期制度活用のためには、各種条件を満たさなければなりません。本記事を読んで、使える制度をしっかりと活用し、最適な方法を見つけてください。