不動産売買でマイナンバーの提出を求められたら?拒否できる?

不動産を売却すると、マイナンバーを求められることがあります。個人情報なので、提出しても良いか不安を感じる人も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、不動産売買でマイナンバーの提出を求められる具体的なケースと、提出が必要となる理由について解説します。


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こんなときにマイナンバーが必要

前述したように、個人が不動産を売ったり貸したりすると、相手にマイナンバーを提出しなければならないケースがあります。ただし、「必ず提出しなければならない」というわけではなく、次のような条件にあてはまる場合に提出が求められます。

買主が法人か不動産業である個人事業主

個人が不動産を売却する際、取引先にマイナンバーを提出しなければならないのは、売却した相手が法人、あるいは不動産業を営む個人である場合です。買主が不動産業者以外の個人なら、マイナンバーを提出する必要はありません。

売買にともなう受取金額が100万円超

売り手に加え、売買代金にも条件があり、同一の買主から1年間に受け取った金額が100万円を超える場合に限り、マイナンバーを提出します。つまり、買主が法人や不動産業を営む個人であっても、1年間に受け取る金額が100万円以下なら、マイナンバーは提出しなくても良いのです。

賃貸でもマイナンバーが必要?

では、個人が不動産を貸す場合、どのようなケースでマイナンバーの提出が必要なのでしょうか。賃貸でマイナンバーの提出が必要になるのは、以下の条件に当てはまる場合です。

1.借主が法人か不動産業を営む個人である
2.同一取引先から受け取る1年間の家賃や地代が15万円を超える

つまり、売却・賃貸ともに、個人が売主となって法人または不動産業を営む個人と取引を行い、一定以上の金額を受け取った場合にのみ、マイナンバーを相手に提出する必要があります。

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マイナンバーの疑問を解消しよう!

ここまでは、不動産売買や貸借において、マイナンバーを提出しなければならないケースがあることを紹介しました。では、なぜマイナンバーを提出する必要があるのでしょうか。また、提出を拒否することはできないのでしょうか。

ここからは、マイナンバー提出に関する疑問点について回答します。

なぜマイナンバーが必要なの?

法人や不動産業を営む個人事業主が不動産を買った場合は「不動産等の譲り受けの対価の支払調書」、不動産を借りている場合は「不動産の使用料等の支払調書」といったように、不動産売買・賃借においては、法人税や所得税を申告するときに税務署へ支払調書を提出する義務があります。

支払調書は支払い状況を税務署が正確に把握するための「法定調書」であり、売主・貸主のマイナンバーを記載することが所得税法などによって義務付けられています。

支払調書を提出しなかったり、虚偽の提出をしたりすると、正式な取引として認められません。

また、所得税法第242条の5により、支払調書の提出義務がある側に「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。

マイナンバーの提出は拒否できるの?

前述したように、不動産を買ったり借りたりした法人・不動産業を営む個人には、支払調書の提出義務があります。しかし、不動産を売ったり貸したりした側にはマイナンバーの提出義務はなく、罰則規定もないため拒否することができます。

ただし、支払調書には売主・貸主のマイナンバーを記載しなければならず、支払調書の提出者は税務署に売主・貸主からマイナンバーの提出を拒否された旨を説明することになります。後日、売主・貸主は税務署からの問い合わせに対応する必要があります。

後述しますが、マイナンバーの提出先を確認したうえで、円滑な取引のためにマイナンバーの提出に協力しましょう。

何を提出すればいいの?

「マイナンバーの提出」とは、具体的にはマイナンバーカード(個人番号カード)のコピーを買主・借主側に提出することです。マイナンバーカードを持っていなければ、「通知カード+運転免許証や健康保険証、パスポートなど本人確認書類の写し」を提出します。

なお、通知カードに本人確認書類の写しを添えて提出する場合、本人確認書類に写真が付いていなければ2種類以上の書類が必要になります。

通知カードを紛失しました

マイナンバー制度の開始が決定した2015年、市区町村を通じて住民一人ひとりに個人番号(マイナンバー)を通知する「通知カード」が送付されました。

通知カードは氏名・住所・生年月日・性別・個人番号(マイナンバー)が記載されています。通知カードには顔写真がないので、本人確認書類とセットで提出することで、マイナンバーの確認と本人確認を行うことができます。

とはいえ、マイナンバーカードをあまり使わない人であれば、紛失しているケースもあります。

しかし、2020年5月25日以降、通知カードの新規発行や紛失時の再発行を停止しており、現在は紛失しても再発行を申請することができません。

もしもマイナンバーカードを紛失してしまっている場合は、マイナンバーが記載された住民票の写しか、住民票記載事項証明書で代用します。

なお、2020年5月25日以降、住民票に新たに登録された人には通知カードに代わって「個人番号通知書」が送付されています。個人番号通知書はマイナンバーの証明書類として使うことはできないので注意しましょう。

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マイナンバーの取り扱いに注意しよう

円滑な不動産取引のことを考えると、売主・貸主はマイナンバーの提出に協力することが望ましいでしょう。ただし、マイナンバーにはあらゆる個人情報が集約されているため、その取り扱いには十分な注意が必要です。

正しい提出先か確認する

マイナンバーの提出先が不動産の取引先であるか確認しましょう。提出先が膨大な数のマイナンバーを扱っている場合、外部の業者に収集を委託しているケースがあります。マイナンバーの収集業務を委託することは法令で認められており、違法ではありません。

ただし、一部では委託業者を装ってマイナンバーを収集して悪用する事例もあります。不動産の買主・借主とは異なる会社からマイナンバーの提出を求められたら、買主・借主に委託先であるか確認しましょう。

また、マイナンバーの証明書類や本人確認書類を郵送で送る場合は、配達までの過程が記録される簡易書留で送付することをおすすめします。

安易に提出しない

マイナンバーは公的な記録とも紐づけられている重要な個人情報です。不動産取引上必要とされる場合にのみ、マイナンバーは提出しましょう。

なお、収集した側には、マイナンバーの安全管理措置を講じることが義務付けられています。また、目的以外での取得や利用、他人への情報開示が禁じられています。

前述したように、不動産の売主・貸主がマイナンバーを提供しなければならないのは、売主・貸主が個人、買主・借主が法人か不動産業を営む個人である場合です。この条件から外れるケースでは、マイナンバーの提出を求められても提出する必要はありません。

マイナンバーの提出をはじめ、不動産取引ではさまざまなルールや手続きがあります。もしも不動産取引に不安を感じるのであれば、信頼できる専門家へ相談することをおすすめします。

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まとめ

個人が法人または不動産業を営む個人事業主と取引を行う場合、相手にマイナンバーを提供しなければなりません。これは、本記事でも解説したように、金銭を支払った側には支払調書を税務署に提出する義務があり、支払調書に売主・貸主のマイナンバーを記載しなければならないからです。

マイナンバーを提供しないことで罰則などはありませんが、円滑な不動産取引のためにはマインナンバーの提供に協力しましょう。

ただし、マイナンバーにはさまざまな個人情報が集約されているため、その取り扱いには慎重を期す必要があります。提出先が取引先、あるいはその委託業者であることを確認したうえで、マイナンバーを提供しましょう。