目次
ワンルームマンションの売却を検討している方の中には、税金の悩みを抱えている方もいると思います。
ワンルームマンションの売却で利益が発生すると、税金の支払い義務が生じます。また売却の手続きにも税金はかかります。
税金の種類や費用を把握しておかないと、税金の支払いで資金に余裕がなくなる可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、ワンルームマンションを売却する際に発生する税金の種類や内容を解説しています。
実際にどれくらいの税金がかかるかのシミュレーションもしています。
マンション売却にかかる税金が知りたい方は最後まで読んでください。
ワンルームマンション売却にかかる税金の種類や計算方法
ワンルームマンションの売却にかかる税金は主に以下の4種類あります。
税金の計算方法もあわせて解説します。
・登録免許税
・所得税
・印紙税
・消費税
登録免許税
一般的に売主が登録免許税を負担するケースは、抵当権抹消登記をおこなうときです。
抵当権の抹消は、マンション購入時に金融機関から融資を受けている場合におこなう手続きです。抵当権の抹消登記をおこなうためには、残債を完済し金融機関から抵当権抹消の許可を得なければなりません。
抵当権を抹消する際にかかる費用には、登録免許税の他に司法書士への依頼報酬があります。登録免許税は、不動産1件につき1,000円必要です。また司法書士への依頼報酬の相場は1〜2万円です。
ワンルームマンションを売却する際にかかる費用について詳しく知りたい方は、マンション売却時の登記費用について解説している記事をご確認ください。
所得税
所得税は、マンションの売却益に対してかかる税金です。所得税の対象となる収入は以下のように決まります。
売却金額-(マンション取得費+譲渡にかかる経費)=譲渡所得(課税対象となる所得)
また、税率はマンションを保有していた期間によって異なります。
以下の表を参考にしてください。
マンションを保有していた期間 | 税率の合計 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 |
短期譲渡所得:5年以内 | 39.63% | 30% | 0.63% | 9% |
長期譲渡所得:5年を超える | 20.315% | 15% | 0.315% | 5% |
【参考】No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)-国税庁
【参考】No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算-国税庁
長期譲渡所得の税率は、マンションを売却した年の1月1日現在においてマンションの所有期間が5年を超える場合に適用されます。
また、所得税とは別に復興特別所得税や住民税も発生します。
印紙税
印紙税もマンション売却にかかる税金のひとつです。
課税文書の売買契約書に貼る印紙代が国に納める税金で、印紙税は契約金額によって金額が変わります。
契約金額と印紙税の関係は以下の表を参考にしてください。
マンション売却価格 | 税額 | 軽減税率 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1千円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
【参考】不動産売買契約書の印紙税の軽減措置-国税庁
2014年4月1日〜2024年3月31日までに作成された売買契約書に対しては軽減税率が適用されます。
消費税
ワンルームマンションの売却では、建物部分の金額に対し消費税がかかり、土地部分の価格に対して消費税はかかりません。
例えば売却額が2,000万円で、建物と土地の価格の割合が5:5の場合をシミュレーションしてみましょう。上記の例だと、建物の価格と土地の価格ともに1,000万円となります。そのため建物部分の消費税は、100万円(1,000万円×10%)となり、土地部分は非課税です。
ただし売却益が生じたからと言って必ず消費税がかかるとは限りません。下記4つの要件を満たしていると、消費税の課税取引として扱われます。
・日本国内でおこなわれた取引
・「事業者」が事業としておこなった取引
・対価を得ておこなった取引
・資産の譲渡・貸付・役務提供
投資目的で購入したワンルームマンションの売却は、事業者が事業として行なった取引とみなされるため消費税の課税対象となります。
一方、事業者でない個人が居住用のマンションを売却する場合、消費税はかかりません。
消費税が発生するケースは以下の条件に該当する場合です。
・前々年に課税対象の所得が1,000万円を超える場合
・前年の1/1~6/30に課税対象の所得が1,000万円を超える場合
【参考】売上高が1,000万円を超える場合(消費税について)-国税庁
消費税の計算式は「課税対象の所得÷1.1×0.1」です。
ワンルームマンション売却益の税金は確定申告で決まる
マンション売却で発生した利益に対する所得税や消費税は、自身が確定申告をおこなって納付します。
不動産会社や管理会社も関与しないため、自身で税金管理が必要です。
確定申告は、税務署や国税庁のホームページでおこないます。
ただ、確定申告や納税に不安がある方は、税理士への相談・依頼がおすすめです。
ワンルームマンション売却にかかる税金の計算方法とシミュレーション
ワンルームマンションの売却で利益が発生した場合の税金をシミュレーションします。
シミュレーションする税金は以下の3つです。
・登録免許税
・所得税
・消費税
登録免許税
抵当権抹消登記をおこなう前提で、売主が負担する費用のシミュレーションをおこないます。
・マンションを売却
・司法書士の報酬:2万円
抵当権抹消登記の登録免許税は、1つの不動産につき1,000円です。また司法書士への報酬は、1〜2万円が相場のためこの記事では2万円として計算します。
・登録免許税:2,000円
※マンションと土地でそれぞれ抵当権抹消登記をおこなうため
・司法書士への報酬:2万円
合計すると、抵当権抹消登記をおこなった場合に売主が負担する費用は、22,000円です。ただし実際には物件の状況に応じて、追加で費用がかかるケースもあるため、今回のシミュレーションは参考程度に活用してください。
所得税・住民税
不動産売却にかかる所得税の計算とシミュレーションをおこないます。
・マンションの保有期間:3年
・売却額:1,000万円
・売却にかかった経費:100万円
・マンションの取得価格:800万円
所得税・復興特別所得税・住民税の計算式は以下の通りです。
「1,000万円-(800万円+100万円)×39.63%=39万6,300円」
消費税
不動産売却にかかる消費税の計算とシミュレーションをおこないます。先述したように消費税の課税対象となるのは、建物の売却価格のみで、土地の売却価格は消費税の課税対象外です。
・総売却金額が2,550万円
・建物の売却価格が1,550万円
・土地の売却価格が1,000万円
消費税の対象は建物の売却価格1,550万円です。
消費税は以下の通りです。
「1,550万円÷1.1×0.1=140万9,090円」
ワンルームマンション売却の税金で注意すること
ワンルームマンション売却の税金では以下の4つに注意が必要です。
・確定申告は赤字でもおこなった方がいいケースがある
・税金以外に仲介手数料が発生する
・居住用のマンションを売却したときの特別控除が使用できない
・売却できないと余分な税金が発生する
確定申告は赤字でもおこなった方がいいケースがある
確定申告は所得税や消費税を納めるためにおこないます。
そのため、マンション売却で赤字の場合は確定申告が不要です。
ただし、マンションの赤字は損益通算ができるため、確定申告すると税負担が軽くなることもあります。
たとえば、仕事で年間の所得が500万円あるとします。
個人の税金は年間500万円の所得に対して発生します。
仮にマンション売却で200万円の赤字が出ている場合、年間500万円の収入から赤字分の200万円を差し引いた300万円が課税対象です。
課税対象所得が200万円減るため、それだけ納める税金も少なくなります。
このように、給与所得とマンション売却の赤字を合算させることで節税が可能です。
税金の負担を減らすためにも、赤字が出ている場合でも確定申告をおすすめします。
税金以外に仲介手数料が発生する
ワンルームマンション売却には、税金以外に仲介手数料が発生します。
仲介手数料は、マンション売却のために宣伝や手続きなどをおこなった不動産会社に支払う報酬です。
仲介手数料は上限が決められています。
マンション売却価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 取引価格×5% |
200万円超~400万円以下 | 取引価格×4%+2万円 |
400万円を超える場合 | 取引価格×3%+6万円 |
【参考】不動産取引における仲介手数料の上限額-大阪府
※消費税は含みません。
仮にマンションの売却価格が1,000万円だった場合は以下の仲介手数料が発生します。
「1,000万円×3%+6万円=36万円」
定められている金額は仲介手数料の上限です。
そのため、不動産会社によってはさらに安い場合もあります。
マンションを売却する際は、不動産会社に支払う仲介手数料を残しておきましょう。
居住用のマンションを売却したときの特別控除が使用できない
投資用物件を売却したときは、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使用できません。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、実際に居住する目的で所有していた物件を売却して得た利益は、所有期間に関係なく譲渡所得から3,000万円の控除ができる特例です。
たとえば、マンションの売却で4,000万円の所得が出ている場合は、3,000万円が控除されるため、所得税の対象になる譲渡所得は1,000万円となります。
投資用ワンルームマンションはこの特例を適用できないため、マンションの売却で4,000万円の所得が発生したら4,000万円に対して所得税が発生します。
売却できないと余分な税金が発生する
マンションを所有していると、固定資産税や都市計画税などの税金が発生します。
固定資産税は毎年1月1日に固定資産を有している人に課税される税金、都市計画税は毎年1月1日に市街区域に不動産を有している人に課税される税金です。
マンション売却ができずに保有した状態が続くと、それだけ多くの固定資産税や都市計画税を納めることとなります。
まとめ
ワンルームマンションを売却して得た利益には税金が発生します。
売却金額が大きい場合は、確定申告をおこなって所得税や消費税などの納税も必要です。
また、不動産会社に依頼してマンション売却を進める場合は仲介手数料もかかります。
マンションを売却する際には、どれくらいの税金や手数料が必要になるのか事前に確認して資金計画を立てましょう。