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半数近くのマンションは6ヶ月未満で売れる
実際に、中古マンションはどれぐらいの期間で売却できるのでしょうか。
LIFUL HOME’Sの2019年のデータによると、不動産会社に最初に連絡を取ってから3ヶ月未満で売れた人は23.2%、3ヶ月~6ヶ月未満で売れた人は23.6%となっています。つまり、およそ2人に1人が6ヶ月までには売却できているということです。
不動産業者と売り手の間の媒介契約期間は原則3ヶ月です。また、買い手が物件を探すサイクルもおおむね3ヶ月で一巡するといわれています。
一般的な傾向として、3ヶ月で売れず価格等の条件面を見直しても売れない場合は、買い手から「ずっと売りに出ているのに、いつまでも売れていないのは何か理由があるのでは?」と思われてしまい、さらに売れなくなります。
売れない理由と対策1.価格が高い
中古マンションが6ヶ月売れない場合には、何か売れない原因が潜んでいる可能性があります。ここからは、中古マンションが売れない理由と対策について見ていきましょう。
中古マンションが売れない理由のひとつに、そもそも売却価格が高いということが考えられます。
売却のテクニックとして、あらかじめ想定価格よりも少し高く設定しておいて、交渉で下げるという手があります。
しかし、相場より高すぎる価格設定は、買い手からすると値段という条件で対象外の物件になってしまいます。そのため、早く売りたいときは売却価格の値下げを考えましょう。
値下げはどの程度するべきか
売却価格の値下げをする場合に重要なのが、どの程度の値下げを行うかということです。
値下げ幅を多くしすぎると売り手にとってメリットが少なく、買い手にも警戒心をあたえてしまうことがあります。
値下げをする場合は、市場価格に沿った価格にしましょう。たとえば、不動産サイトなどで近隣の似た物件の価格を調べ、その価格と見合ったものにします。
不動産サイトで相場を調べるのが難しいようなら、一括査定などを利用しましょう。一括査定では複数社に査定を依頼するため、市場価格の平均をおおまかに知ることができます。それをもとに値下げ額を考えましょう。
また、売却自体にお金がかかるため、値下げは慎重に行う必要があります。
中古マンション売却にかかる手数料や税金についてはこちらの記事をご覧ください。
ランニングコストの高い物件も要注意
管理費や修繕費などのランニングコストが高いマンションは、ローンの支払い以外にもそれらのコストが毎月かかるので、買い手から敬遠されがちです。
売却しやすくするためには、ランニングコストがかかっても、無理なくローンが払える価格設定にする必要があります。
ただ、維持管理費が高くても、管理組合がしっかりしていて修繕金がきちんと積み立てられているといった点はアピールポイントになるので、それを逆手に取る方法もあります。
値下げのタイミングは春先がベスト
値下げをする際、価格以外に考慮しなければならないのが、値下げをする時期です。中古マンションが売れやすい時期を狙って値下げをすることで、買い手の目に留まりやすくなります。
マンションがもっとも売れやすいのは、新学期や新年度が始まる前の1~3月の春先です。次いで仕事の年度初め、9月ごろや転勤などが多い四半期の変わり目と続きます。
これらの時期の1~2ヶ月前は、値下げをするのに良いタイミングといえるでしょう。
もし、値下げによりマンション売却で損失が出てしまった場合は、住宅ローン控除が適用されるかもしれません。
マンション売却で損失が出た場合に、検討したい特別控除や特例をこちらの記事で解説しています。
売れない理由と対策2.同じマンションに競合がある
中古マンションが売れない理由のふたつ目が、同じマンションの部屋がほかにも売りに出されているということです。
マンション内に競合がある場合、部屋の位置や価格面などの条件が不利であれば、競合物件のほうに注目が集まり、なかなか売れないことがあります。
同じマンションで有利な条件の物件が売りに出されている場合は、できるだけ売り出し時期をずらしたほうが良いでしょう。ただし、売りやすい時期は逃さないように注意する必要があります。
売れない理由と対策3.広告が魅力的でない
広告が魅力的でないという理由で、中古マンションが売れないこともよくあります。
たとえば、掲載内容が簡素すぎる、写真の見栄えが悪いといったケースです。また、多くの人に見られない不動産サイトに広告が掲載されている、チラシの配布先や枚数が少ないようであれば、そもそも物件情報を見てもらえる機会が減ってしまいます。
売りに出してからしばらく経っても買い手が見つからない場合は、不動産会社へ広告の状況を確認してみましょう。
買い手の目を引く広告に変更する
広告に問題が見つかれば、買い手の目を引く広告に変更します。たとえば、次のような改善を行いましょう。
・チラシ・サイトへの掲載内容、アピールポイントの記載を増やして充実させる
・写真を増やす、見栄えの良い写真を掲載する
日当たりのいい日の写真にしたり、照明を付けて明るい写真にしたりするだけでも、見映えが良くなります。
売れない理由と対策4.囲い込みをされている
中古マンションが売れない理由のひとつに、囲い込みがあります。
「囲い込み」とは、契約した不動産会社がほかの不動産会社経由の買い手に契約させないようにすることです。
たとえば、ほかの不動産会社を利用している買い手に対して「すでに別の人が契約寸前まで進んでいる」など偽の情報を流して、契約を妨害します。
専任媒介・専属専任媒介契約では、悪質な不動産会社による囲い込みが起きやすく、売れないことがあります。
契約前に囲い込みをしないことを約束する
対処方法としては、不動産会社に契約前に囲い込みをしないことを約束させることです。
囲い込みしないことを契約前に口頭で確認しておくことで、囲い込みをさせないようにします。
REINSへ登録されているか確認する
悪質な業者の場合は、REINSへ登録していないこともあります。
REINSとは、不動産会社同士の情報ネットワークのことです。REINSに登録があることで、ほかの不動産会社もその物件が売りに出ていることを確認することができます。
専任媒介・専属専任媒介契約はREINSへの登録義務があります。REINSにログインするための売主専用のIDとパスワードが記載された登録証明書があるので、不動産会社から登録証明書を入手し、自分の物件が登録されているかどうか、チェックしましょう。
中古マンションが売れない理由と対策5.内覧に問題がある
購入希望者が現れても、内覧に問題がある場合は、なかなか売却できません。
たとえば、掃除や整理整頓などが不足していて内覧の準備が万全でなかったり、内覧時に買い手への対応が適切でなかったりといった場合は、買い手に悪い印象を与えてしまいます。
室内をキレイにする
対処方法としては、まず、室内をキレイにし、清潔感を出すことです。ハウスクリーニングを行うなど、モデルルームのように部屋をより良く見せる工夫をしましょう。
また、内覧の予約が入った場合は一時的に室内の荷物を貸倉庫へ預け、物を減らすことで、より部屋を広くみせることができます。
買い手が質問しやすい雰囲気を作る
購入希望者が内覧をするのは、図面や写真だけではわからない箇所を知りたいからです。
マンションや近隣の情報など、購入希望者が気軽に聞けるように心がけましょう。具体的には、こちらから話しかけるのではなく、質問しやすい距離に待機します。
購入希望者が納得いくまで見てから、質問できる環境をつくることで、内覧でよい印象を持ってもらえるようになります。
不動産会社を変えた方が良い?と思ったときの確認点
いつまでも中古マンションが売れない場合は、不動産会社になにか問題がある可能性もあります。依頼する不動産会社を変更することも考えましょう。
しかし、その場合には次のような確認点に注意する必要があります。
契約内容を確認する
不動産会社をすぐに変更できるかどうかは、その不動産会社との契約内容によって異なります。
不動産会社との契約が、一般媒介契約の場合
一般媒介契約の場合は、複数社と契約が可能です。そのため、契約解除しなくても他社と契約することができます。
ただし、契約内容が明示型の場合は、契約先に他社との契約を通知する必要があります。
不動産会社との契約が、専任媒介契約・専属専任媒介契約
不動産会社との契約が、専任媒介契約・専属専任媒介契約である場合は、一般的に3ヶ月間の契約をしています。そのため、契約が終了したタイミングで他社と契約しましょう。
もし、不動産会社を変更する場合、今までよりも仲介手数料を抑えることができるかもしれません。
詳しくは仲介手数料の上限や安く抑えるコツを解説している記事をご覧ください。
マンション売却に強い業者を選ぶ
不動産会社には、会社によって得意分野が異なります。そのため、マンション売却に強い業者を選ぶことが重要です。
マンション売買の経験が豊富で、マンションのあるエリアや沿線の売買に強い不動産会社に依頼しましょう。過去の取引事例を聞くことで、マンション売却に強い業者かどうかの判断材料のひとつにすることができます。
まとめ
不動産会社に最初に連絡を取ってから、売却できるまでの期間は、おおむね6ヶ月が目安です。
6ヶ月を過ぎても売却できない場合には、価格が高い、同じマンションに競合がある、広告が魅力的でないなど、さまざまな理由が考えられます。
所有している物件が売却できない理由を把握し、改善策をとることが、中古マンションの売却において重要なポイントです。