マンション売却価格は築年数が古いと下がる!築年数別のポイントを紹介!

マンションを手放すなら、できるだけ高値で売却したいですよね。高値で売却したい場合は、早めに売却することをおすすめします。その理由のひとつに、マンションは築年数を経るほどに売却価格が下落するからです。 では、実際に築年数はマンションの資産価値をはかる重要な判断材料のひとつですが、売却価格にはどのように影響するのでしょうか。 この記事では、マンションの売却価格と築年数との関係についてわかりやすく解説します。


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マンションの売却価格は築年数が古いと下がる?

東日本不動産機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」によれば、築年数別に見た中古マンションの平均売却価格は以下のとおりになっています。

・築0~5年 5,619万円
・築6~10年 4,885万円
・築11~15年 4,391万円
・築16~20年 3,941万円
・築21~25年 2,846万円
・築26~30年 1,787万円
・築31年~ 1,835万円

築5年目までと築31年目以降とでは約3,700万円以上の価格差があり、マンションの築年数が売却価格に与える影響の大きさをあらわしています。

はたして、築年数が古いという理由だけで売却価格は下落するのでしょうか?結論から述べると「マンションの売却価格は築年数が古い」から下落するとは限りません。

出典:東日本不動産機構 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)

「築年数が古い=売却価格は下がる」ではない

先ほど伝えたように、築年数を経るほどに売却価格が下がるというのは、正確な表現ではありません。

マンションの売却価格を決めるのは売却時の資産価値といわれています。資産価値を決めるのは建物と土地です。建物と土地で考えると、建物には築年数が影響しても、土地には築年数という概念が当てはまりません。つまり、資産価値を形成する要素の半分にしか、築年数は影響を与えないのです。

また、分譲マンション1室に対して資産価値を構成する要素は、マンションの敷地利用権の共有持分、専有部分の区分所有権、建物や建物付属物の共有持分となります。

こうした建物部分の価値は築年数を経るごとに下がりますが、不動産は固定資産として減価償却できるため、マンションの売却時には取得費などとともに減価償却費を差し引くことが可能です。

そのため、築年数分の資産価値が下がっても、実際にマンションを売却するときには減価償却分の恩恵を受けられます。この点も、一概に「築年数が売却価格を下げる」ことにならない理由です。

築年数30年越えの古い物件でも価値はある

不動産市場では、築10年までの築浅マンションが売れやすいとされています。しかし、築年数が30年を超える古い物件がまったく売れないかといわれれば、そうではありません。

先ほどのデータでは、中古マンションの売却価格は、築10年までに大きく下がったあと、築10~30年は下落が少しずつ緩やかになり、築30年以降はほぼ横ばいになる傾向があります。つまり、マンションがどれだけ古くても、資産価値はゼロにならないのです。

その理由として、金融機関がローンの審査をする際、担保価値をマンションの法定耐用年数で判断しており、築12年までのマンションでなければ、買い手は35年ローンを組めないのです。

そのため、築12年を超えるマンションの場合、ローンの返済期間を短くできたり、現金で購入できたりする手頃な物件としてのメリットがあります。そのようなことから、一定の需要が見込まれます。

このように、築年数が何年であっても買い手に安心感を与える物件であれば、資産価値を上げることは可能です。新たな設備を導入したり付帯設備表を作成したりと、買い手の立場に寄り添った対応で売却価格を設定することを心がけましょう。

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【築年数ごと】売却時のポイント

先述のとおり、マンションの築年数は、必ずしも売却価格に影響を与えるわけではありません。しかし、築年数を経るほど、売却が難しくなる恐れもあります。

所有するマンションの築年数から最適なタイミングで売ることも、売却価格を上げる方法のひとつです。そこで、築年数ごとの売却時のポイントを紹介していきます。

築0~5年の物件:高い価格で売却可能

築5年までのマンションは、新築マンションと間取りがほとんど変わらず、設備の劣化も少ないことから、高く売れる可能性が高いといえます。

また、不動産市場にはほとんど出回らないということもあって、立地やブランド力によっては、購入時より高く売れることもあるようです。とくにマンション購入後に近隣で都市開発などがあった場合には、大きな売却益を得られる可能性があります。

ただし、購入から数年でマンションを売却するときには、オーバーローンにならないように注意が必要です。

オーバーローンとは、ローンの残債が売却益を上回る状態です。一般的に、ローンには元利均等方式が採用されており、返済開始当初は返済額に占める金利の割合が高くなります。

そのため、数年の返済期間では元金はほとんど減っておらず、築浅マンションの売却によって、手持ち資金をローンの返済に充てざるを得なくなるケースもあるのです。

築5年未満のマンションを売却に出す際のポイントをまとめた記事が以下になります。ぜひ参考にしてください。

>>築5年未満の築浅マンションは高く売れる!売却時の注意点を紹介!

築6~10年の物件:価格が大幅に下がる

中古マンションの中でも、買い手からの需要が高いのが築6~10年の物件です。築5年までの物件と設備の遜色はほとんどないにもかかわらず、比較的手頃な価格で購入できるのがその理由です。

マンションは「誰かが住む=中古」となった時点だけで購入価格よりも約10~20%も下落します。しかし、築6~10年の物件は需要の高さもあり、購入価格の70~80%ほどを維持するとされています。また、10年ほどの返済期間があればオーバーローンにも陥りにくく、売却時の資金繰りに苦労する心配もありません。

しかし、取引が活況な分だけ価格競争になりやすく、度重なる値下げ交渉から想定以下の売却価格になるというケースもあるようです。このような事態を防ぐために、仲介業者と契約を結んで試行錯誤することをおすすめします。

築11~15年の物件:修繕設立金の増額に注意

先述のとおり、築12年を超えると35年ローンを組むことができません。そのため、築11~15年のマンションは買い手の判断が分かれやすいため、築10年までの物件に比べると価格の下落幅が大きくなる傾向にあります。

ただし、築25年までなら住宅ローン控除を利用できることもあり、できるだけ築浅のマンションを手頃に購入したいと考える買い手には、魅力的な物件といえるでしょう。

さらに、築10年を超えた頃から気を付けておきたいのが、修繕積立金です。修繕積立金には均等積立タイプと段階増額積立タイプのふたつがあり、段階増額積立タイプであれば、5年ごとに修繕積立金を上げることが一般的です。

たとえば、築15年では1万5千円だった修繕積立金が翌年には2万円に上がるとすれば、15年目に売るほうが買い手に好印象を与えられます。

修繕積立金のことを加味しながら、売却するには信頼のおける専門家がいると安心でしょう。そのため築11~15年の物件を売却する際は、信頼できる不動産業者を見つけて戦略を練ることをおすすめします。

築15~20年の物件:物件価値を高める

築15年を超えた頃から、マンションの売却価格は大幅に落ち込みやすいとされています。設備はもちろん、建物そのものが劣化し始めるのがその原因でしょう。

しかし、築15年前後はちょうどマンションの大規模修繕工事が行われるタイミングでもあります。外壁の塗装を塗り直したり、共有スペースの設備を新しくしたりすることによって、マンションの資産価値が大きく向上する可能性があります。

そのため、築15~20年のマンションを売却するなら、大規模修繕工事を終えた直後が最適です。

ただし、工事の時期はマンションによって時期が変わります。もし、売却をしたいけれど工事の予定がはっきりしないというのであれば、室内のリフォーム・修繕を検討するのもおすすめです。

築21~30年の物件:25年を過ぎると…

築21~30年になると、マンションの売却価格は築10年までの物件に比べて約60%も下落します。建築から一定年数を経過しているため、エリアや間取りに対する需要の変化、設備の劣化といった要素が価格を下げることにつながります。

売却時には設備を新しくして、できるだけ資産価値を高めておきましょう。もし手持ちの資金が少なくて設備に手を加えられないようなら、売却価格を下げて買い手の需要を高めることも必要です。

また、築25年を超えると住宅ローン控除が適用されなくなり、買い手の購買欲を削いでしまう可能性があります。築21年超えの物件を売却する予定なら、築25年までがひとつの目安となるでしょう。築年数が古くなる前に、早期売却の検討をおすすめします。

築31~60年の物件:積極的にアピールを!

築30年を超えてくると、マンションの売却価格はほぼ底値の状態になります。入手しやすい価格こそが最大のメリットですから、積極的にアピールしていきましょう。リフォームやクリーニングなどによって、買い手の印象を大きく変えられる可能性があります。

この築年数のマンションで注意したいのが、建築基準法が改正された1981年(昭和56年)の新耐震基準を満たしているかどうかです。

新耐震基準は法改正後に認可を受けた不動産が対象です。マンションの場合は工事期間が長いため判断が難しいところですが、1981~1982年頃に完成した物件は新耐震基準が適用されていると考えられます。気になるようでしたら、建築確認申請の受理日を確認しておきましょう。

築30年を超えるマンションにおいては、大規模修繕工事の実施状況や設備の状態、周辺エリアの環境などによって、売却に向けての戦略が変わります。マンションの売買に詳しい不動産会社と対策を練るのがおすすめです。

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まとめ

築年数を経ているからといって、マンションの売却価格は必ずしも下がるとはいえません。

とはいえ、ローンの選択肢が減ったり、税制上の優遇を受けられなくなったりということもあるため、築年数によって買い手の選択肢が狭まり、それによって売れにくくなることは大いに考えられます。

また、大規模修繕工事の直後など、築年数に応じて売却に適したタイミングを意識しなければなりません。

築浅・築古に関わらず、マンションを高く売却するにはそれなりの対策をとる必要があります。困ったときには不動産会社などプロに相談すると安心です。