キッチン交換工事は修繕費にできる?耐用年数について解説

キッチン交換工事は修繕費にできる?耐用年数について解説

目次1 キッチンや流し台の耐用年数2 キッチンの交換費用は修繕費?資本的支出(減価償却)?3 キッチン交換工事費用が修繕 … 続きを読む キッチン交換工事は修繕費にできる?耐用年数について解説


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今からキッチン交換を検討しているオーナーは、工事費用をどのように計上すれば良いかわからず、困っている方も多いでしょう。

本記事は下記のような方におすすめです
  • キッチン交換費用を修繕費に計上して問題ないか迷っている
  • システムキッチンへの交換を検討しているが、資本的支出にすべきかわからない
  • 過去の事例から、キッチン交換工事が修繕費か資本的支出か判断したい

この記事では、キッチンや流し台の耐用年数、キッチン交換費用が修繕費か資本的支出かを、実際の判例を交えて解説します。

最後まで読めば、修繕費で計上できる工事の範囲と、資本的支出に該当する工事内容を見分けられます。

キッチンや流し台の耐用年数

キッチン交換工事が修繕費にできるか判断する前に、概ねの耐用年数を把握しておきましょう。

  1. キッチンの交換目安は概ね10〜20年
  2. システムキッチン・流し台の法定耐用年数は15年

キッチン・流し台の寿命や法定耐用年数について説明します。

キッチンの交換目安は概ね10〜20年

一般的なキッチンの寿命は、10〜20年とされています。メーカーや素材によっても寿命は異なりますが、10〜20年は使用できます。

寿命は法定耐用年数とは異なり、一般的に使用して差し支えのない年数です。もちろん大事に使用すれば、10〜20年以上使用しても問題ない場合もあります。

システムキッチン・流し台の法定耐用年数は15年

システムキッチンや流し台の税制上の法定耐用年数は、15年です。流し台など容易に取り外しができるものの勘定項目は、器具備品です。また、システムキッチンのように建物自体に組み込まれている場合は、建物附属設備となります。

国税庁が発表している「耐用年数(建物/建物附属設備)」によると、金属製のシステムキッチンや流し台の耐用年数は15年です。

キッチンの交換費用は修繕費?資本的支出(減価償却)?

キッチンの交換費用は修繕費?資本的支出(減価償却)?

キッチンの交換費用は修繕費と資本的支出(減価償却)のどちらに該当するか解説します。

  1. 劣化によるキッチンの交換でも注意が必要
  2. システムキッチンへの取り替え工事は資本的支出
  3. 独立した流し台の交換のみの場合は修繕費に計上可能

キッチンが経年劣化によって故障した場合であっても、資本的支出と判断されるケースがあるため注意が必要です。実際の判例も含めて、キッチンの交換費用の区分について説明します。

劣化によるキッチンの交換でも注意が必要

経年劣化によるキッチンの交換費用が、資本的支出に該当するケースもあります。通常劣化による交換は修繕費と認められそうですが、キッチンの場合はその限りではありません。

(平成26年4月21日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所」の判例を参考に解説します。

上記事例では、新築当時から17年以上経過して劣化した流し台をシステムキッチンに取り替えています。流し台の劣化により、賃貸機能を満たさない状態であると判断し、原告は修繕費として損金計上しました。

しかし、国税庁によって修繕費としての計上が認められず、資本的支出に該当するとされたため、これを不服として国税不服審判所へ訴え出た流れです。

最終的に国税審判所は、システムキッチンの設置は建物と一体化しているものという見解を示しています。

キッチンの劣化については認めたものの、取り壊しや廃棄を同時におこなっているため、価値を高めて耐久性を増すための工事であると判断したためです。

このように、所有者は居住機能の回復を目的としてキッチンの交換工事をしたとしても、客観的に見ると改良とみなされる場合があります。

システムキッチンへの取り替え工事は資本的支出

上記で紹介した事例のように、システムキッチンの交換は、資本的支出に該当します。

システムキッチンとは

調理台やシンク、レンジ台や棚などが一体化したタイプのキッチンです。

システムキッチンへの取り替え工事は、建物を一部取り壊したうえで、新しいキッチンを新設すると解釈されます。

そのため、システムキッチンの新設は新しい資産の取得と考えられるため、固定資産として計上しなければなりません。

独立した流し台の交換のみの場合は修繕費に計上可能

独立した流し台の勘定項目は器具備品です。つまり、建物とは分離した備品と考えます。

そのため、流し台が経年劣化により使えない状態になった場合の交換は、修繕費として計上可能です。

注意すべきは、独立した流し台の交換時にシステムキッチンへ交換した場合は、資本的支出となることです。同等の流し台への交換の場合は、修繕費に計上できます。

キッチン交換工事費用が修繕費か判断するポイント

キッチン交換工事費用が修繕費か判断するポイント

キッチン交換工事費用が修繕費か、資本的支出か判断できない場面もあるでしょう。その際は、以下の2つの点に着目して判断します。

  1. キッチンの作りが建物の一部と見なされるかどうか
  2. 取り替え交換費用の目的と工事の内容

修繕費は経費として一括計上できますが、資本的支出は減価償却しなければなりません。仕訳が全く異なるため、修繕費かどうか正しく判断してください。

キッチンの作りが建物の一部と見なされるかどうか

キッチンの作りが、建物の一部とみなされるかどうかによって、修繕費と資本的支出のどちらに該当するか判断できます。

システムキッチンは建物の一部とみなされるため、資本的支出として減価償却しなければなりません(【参考】(平成26年4月21日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

反対に、独立した流し台は器具備品であり、交換により建物自体の耐久性を向上させるものではありません。

判断に迷ったら、キッチンの構造が可分か不可分かによって判断しましょう。

取り替え交換費用の目的と工事の内容

キッチン交換費用が資本的支出にあたるかどうかは、取り替え交換工事の目的や内容によって判断します。

たとえば、経年劣化により不具合が生じた流し台に、新しい流し台を入れただけであれば価値の向上とは認められません。

しかし、古くなった流し台やその一角を取り壊し、新しいシステムキッチンに入れ替えた場合は、交換によって明らかに利便性が向上しているため資本的支出です。

マンションオーナーの目的が”機能回復”であっても、客観的に改良であると判断されるケースもあります。工事がもたらす結果によって、資本的支出か修繕費かを判断しましょう。

まとめ

キッチン交換費用は、多くの場合修繕費ではなく資本的支出として減価償却されます。使用者の目的が修理修繕でも、(平成26年4月21日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所のように、客観的に機能性の向上が認められ、却下されるケースもあるため注意しましょう。

キッチン交換費用の仕訳に迷った場合は、工事の内容や工事がもたらす利便性の有無を客観的に判断しなければなりません。キッチン交換費用の仕訳に迷う場合は、税理士への相談や不動産会社にアドバイスをもらうなどして、正しく計上しましょう。

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