中古マンション投資のよくある5つの失敗理由
中古マンション投資の種類を大きく分けると、以下の2パターンがあります。
・キャピタルゲイン…購入した物件を高値で売って、利益を得る
・インカムゲイン…賃貸物件として入居者を募り、家賃収入を得る
継続的に収入を得たいなら、物件を転売せずに賃貸する後者のほうが向いています。
中古マンション投資は初期投資を安く抑えられるうえ、リノベーションで物件価値を上げることができるため、工夫次第で安定した家賃収入を得られる方法です。しかし、安い物件や利回りの良い物件を購入しても、失敗する場合があります。
中古マンション投資の失敗で起こりやすいものは、次にあげられる5パターンです。
購入後に設備の故障が発生してしまった
安い中古マンションを購入するときは、築年数や建物や設備の状態など、さまざまな点を確認したうえで物件を決めなくてはなりません。
一見するときれいに使用されていて、機能面に大きな問題がないように思えても、購入直後に故障する可能性はあります。老朽化した給湯器など、交換しやすい設備が故障する程度であればまだしも、場合によっては床下の給水管の破損など大がかりな工事が必要な設備が故障することもあります。
安く物件を購入できたとしても、修繕費の額によっては新築物件の購入費と同等の費用が生じかねません。
中古物件は設備が古く、老朽化によって耐久年数が限られる場合があるため、購入後にリノベーションをして設備を総入れ替えするか、リノベーション済みの物件を探すことを視野に入れましょう。
利回りだけで購入してしまった
投資用物件の広告を見ると「利回り10%」など、年間利益率の数字が明記されています。より多くの収入を得るためには高利回りの物件を狙いたいところです。
とはいえ、表記どおりの家賃収入となるのは難しいからくりがあります。
実は、広告で提示されている利回りは表面利回りと呼ばれるもので、「物件購入費に対して満室となった場合の年間家賃収入」のみを表しています。満室の場合を想定して計算されており、物件の維持管理費や税金などの費用は含まれていません。
つまり、空室が続いて家賃収入が得られない場合や、固定資産税や修繕費など運用に諸経費を計算すると、表面利回りほどの収入は得られません。
そのため、表面利回りが高いことだけで判断して物件を購入すると、「思ったほど稼げない」「空室が埋まらない」などの理由で、結果的に中古マンション投資に失敗する場合があります。
仮に購入する段階で満室状態だったとしても、退去者が出た後すぐに入居者が現れるとは限らないことも視野に入れて、購入を検討しましょう。
周辺企業や大学の賃貸需要に依存してしまった
物件を選ぶポイントのひとつが立地です。立地が良ければ築年数が古くとも高い入居率を期待できるでしょう。
とはいえ、大学や企業が多いエリアは、多少駅へのアクセスが不便であっても需要があります。学生をターゲットとした場合は退去のサイクルが早い反面、新入学生の入居が多いため空室率が極端に上がる心配がない点がメリットです。
しかし、注意しなければならないのが、ひとつの企業や大学に依存したマンション経営をすることです。企業や大学は建物の老朽化などの理由から、移転するケースが珍しくありません。そうなれば、大学や企業に通う人たちは移転先に住居を求めます。
あてにしていた入居予定者がいなくなった場合、立地の悪い物件はどうなるでしょうか。利便性の低さから敬遠され、収益が悪化することになるでしょう。
家賃保証を信用しすぎてしまった
投資用の中古マンションを販売している不動産会社の中には、空室分の家賃収入を一定額保証するサービスを扱っていることがあります。
新築ほど高い入居率が期待できない物件も含まれる中古マンションは、金融機関も金利を高く設定しようとします。負担を軽減するためには、オーナーは自己資金を多めに用意しておくか、今後の家賃収入に期待するしかありません。
とはいえ、オーナーの中には、「家賃保証があるから、金利が多少高くても大丈夫だろう」と深く考えず、投資を始めてしまう方もいます。
実は、ここに失敗する理由があります。家賃を下げないと入居者が決まらないことが多い中古物件では、契約更新時に家賃保証を減額されてしまうことがあるためです。
ローンの返済が家賃保証額を上回ると、返済が困難になってしまいかねません。
質の悪い入居者がいた
入居者がいる物件を購入して、入居者との契約を引き継ぐことをオーナーチェンジと呼びます。オーナーチェンジで注意したいのが、入居者の人柄です。
現地で物件を十分に確認しないまま中古マンションを購入すると、知らぬ間に問題のある入居者がいる物件を抱えてしまうかもしれません。
何度も近隣住民とのトラブルになる人や、家賃回収が困難な人など、問題がある入居者がいないか入念に調べたうえで物件の購入を判断しましょう。
住民トラブルはほかの入居者が退去してしまう原因となり、家賃回収トラブルは想定していた収益を得られない原因になります。
中古マンション投資の失敗を避けるには?
これまで説明した中古マンション投資の失敗例は、ちょっとしたことに注意すれば、そのリスクの回避や軽減ができます。
中古マンション投資の失敗を避けるコツは、次の5つです。
築浅の物件を選ぶ
購入直後の設備故障を避けるためには、新築や築浅の物件を選ぶことがポイントです。
中には竣工後に入居者がいないまま売れ残っている新古マンションが含まれていることもあり、未入居の物件を新築よりも安く購入できるメリットがあります。
新築や新古マンション、築浅の物件は、いずれも設備の品質が良く、新しい素材が使用されています。例えば、腐食しにくい素材や室内環境を快適に保つ設備などが使われていれば、家賃を高く設定する理由になるでしょう。
周辺の相場や家賃を見極める
物件価格の安さや利回りの高さに惑わされないよう、下調べは入念に行いましょう。例えば、利回りの根拠となる家賃が相場よりも高く設定されていると、新入居者を入れる場合などに早々に賃料を値下げせざるをえないことがあります。
賃料が下がれば、当然見込まれていた利回りには届かないでしょう。築年数や周辺相場と比べて妥当かどうかを確認したうえで、家賃を設定することが重要です。
ひとつの企業や大学に依存しない
ファミリー層や学生層など、特定の層をターゲットとすることは投資を成功させるうえで必要でしょう。ただし、ターゲットをひとつの企業や大学に絞って、依存しすぎないよう注意してください。
とくに人口減少傾向にある地方では、企業はもちろん大学の移転・撤退リスクは考えられます。
交通の便が良い場所など、企業や大学が撤退しても大きな影響は起こらない立地や今後も需要が見込めるエリアの物件を選びましょう。
家賃保証の金額が適切かチェックする
家賃保証自体は空室時のリスクを軽減できる、大きなメリットがある制度です。上手に活用するために、家賃保証の金額が適切かどうか見極める必要があります。
契約を検討するときは、家賃保証の金額をチェックしましょう。家賃保証の手数料は、賃料の2割程度が目安です。
金額があまりにも高額な場合は手数料が多く取られているか、今後の値下げを見越した金額を設定されている可能性が考えられます。
入居審査は念入りに行う
不動産会社だけではなく、オーナー自身も積極的に入居審査に関わりましょう。入居審査を一種の慣例程度に考えていると、入居後のトラブルに遭うおそれが高くなるからです。
入居者審査では、家賃の継続的な支払い能力はあるか、近隣住民とトラブルになる心配はないか、さまざまな角度から契約の妥当性を判断します。
収入確認書類の提出や勤務先の在籍確認が一般的な審査項目です。収入面に不安がある場合、本人同意のうえでクレジットカードの支払い滞納の有無なども調べられます。
利益の出ない中古マンションに投資している場合は売却を
経験の少ないうちは、利益の出ない中古マンションの投資をついつい継続してしまいがちです。「いつか黒字になるかもしれない」と運用を続けていても、突発的に入居者が増える可能性はほとんどありません。
マイナスの収支が続くのであれば、傷が広がらないうちに早めの売却を検討することもひとつの手段です。手放すときは少しでも損をしないよう、信頼できる不動産仲介会社に売却を依頼しましょう。
不動産仲介会社を選ぶポイントは、マンションの売買実績と専門性です。マンションと戸建てはターゲットが異なるため、マンションの売買に強い会社を選びましょう。もちろん、投資用物件を数多く取り扱う、専門性の高さも重要です。
また、査定を依頼するときは複数の会社に申し込み、金額の根拠をはっきりと答えることのできる会社を選ぶことをおすすめします。
まとめ
中古マンションの投資は勉強をして知識を得たうえで行わないと、失敗することがあります。安易に利回りの高さを優先すると、修繕費や維持費で実質的な利益がほとんど出ない物件を購入してしまいかねません。
さまざまな視点で物件および入居者を確認し、納得できた場合のみ購入しましょう。すでに購入している中古マンションの投資がうまくいっていない方は、思い切って手放すことも大切です。
売却時は、投資用マンションの取引が多く専門性の高い不動産仲介会社を選びましょう。