長年所有していた築30年のマンションを、売却したいと考えている方もいるでしょう。しかし、築年数が経過しているため、売却価格に期待できないと考えている方もいるはずです。
築30年のマンションでも売却は可能です。この記事では、築30年のマンションの売却相場や売却可能な理由、高値で売却するコツを紹介しています。
築30年の中古マンションの売却を検討している方は、最後まで読み売却時の参考にしてください。
築30年の中古マンション売却相場
築26〜30年、築31年〜の中古マンションにおける成約物件の売却価格の平均は、2,000〜2,500万円程度です。物件やエリアによって売却価格は異なりますが、築26〜30年、築31年〜の物件は築0~5年の3〜4割程度の価格での売却が一般的です。
REINS TOPIC「首都圏の不動産流通市場」によると、2021年における新規登録物件に占める築31年〜の中古マンションの割合は全体のおよそ4割5分を占めています。
築年数が経っているうえ、市場にも多く出回っているため、相場はやや下がる傾向にあるといえるでしょう。
築30年の中古マンションが「売れない」とされる理由
築30年の中古マンションが「売れない」とされる理由は4つあります。
- 資産価値の低下
- 建物や設備の老朽化
- 耐震基準
- 住宅ローン控除
なぜ築30年のマンションの需要が低いかを知り、対策することでスムーズな売却につながるでしょう。
資産価値の低下
築30年のマンションが売れないとされる理由は、資産価値が低下するためです。
不動産の資産価値は、以下の基準で決まります。
・築年数
・デザイン性
・周囲の環境
・利便性
・日当たり
・管理状態
マンションの資産価値の決定基準は、築年数だけではありません。
しかし、年数の経過により外観や内装に劣化が出てしまうため、資産価値は下がります。
正確な価値は査定によって決まりますが、築年数はマンションの資産価値を測るうえで重要な指標です。
建物や設備の老朽化
築30年のマンションは、建物の外観や設備が老朽化します。
単純な老朽化だけでなく、マンションのデザインや間取りなども古く見えるでしょう。
そのため、築30年のマンションだとデザインが気に入らず、購入の対象から外れてしまうケースも多いです。
耐震基準
現行耐震基準は、1981年6月以降の建築確認申請を通した建物であることです。
そのため、築30年のマンションは耐震基準を満たしています。
不動産会社もその旨は説明していますが、「古い建物は地震で倒壊するのでは」と不安に思う買い手も多いでしょう。
住宅ローン控除
2022年以前は、築25年以上の物件を購入した際に住宅ローン控除を利用するために、耐震基準に適合している旨の証明が必要でした。
この制度は改正されていますが、昔のイメージで「築30年の物件はローン控除が受けられない」と思っている方もいます。
築30年のマンションでも売却できる理由
築30年のマンションは売れにくいとされていますが、売却は可能です。
制度改正により、築30年のマンションを売却するハードルは下がっています。築30年のマンションを所有する方は、以下の売れる理由を把握して売却に臨みましょう。
- 耐用年数
- 住宅ローン控除の制度改正
- 耐震基準の改訂
耐用年数
鉄筋コンクリートの建物の寿命は老朽化や耐震性の面を考えると50年が寿命とされています。
つまり、築30年のマンションでも、まだ20年以上住める可能性があります。
住宅ローン控除の制度改正
住宅ローン控除の制度改正により、築25年以上を経過した物件の購入者が住宅ローン控除を受けるには、耐震基準に適合していることの証明をしなければならない義務が撤廃されました。
1982年以降に建築または現行の耐震基準に適合された物件であれば、住宅ローン控除が受けられます。
そのため、築30年の中古マンションは上記要件を満たしており、購入ハードルが下がったといえるでしょう。
耐震基準の改訂
現在用いられている耐震基準は、1981年の建築基準法の改正をもとにしています。
2023年を基準とすると、築30年の物件の建築年月日は1993年であり、現行耐震基準を満たした建物です。
震度5の地震でほぼ損壊しない、震度6〜7の地震でも損壊しないレベルが定められています。
築30年のマンションをなるべく高く売却するコツ
築30年のマンションをなるべく高く売却するために、以下の6つの点を意識しましょう。
- 信頼できる不動産会社への依頼
- 専任媒介で売却
- 設備の修繕
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保
- 空き家の状態で売却
- ホームインスペクション
築年数が経過している物件は、市場に多く出回っており、築年数の浅い物件より売れにくい傾向にあります。
しかし、適切な対策で買い手側の不安を解消することで、良い条件で売却できるでしょう。
信頼できる不動産会社への依頼
マンションの売却を任せる不動産会社は、じっくり検討して信頼できる会社に任せましょう。
築30年のマンションの売却実績が豊富で、誠実に対応してくれる会社を選んでください。
売却実績の多い不動産会社は、ノウハウが豊富で営業担当も優秀です。
売却実績は不動産会社のホームページ、または問い合わせ時に営業担当に確認できます。
専任媒介で売却
マンション売却の際には、不動産会社と媒介契約を結びます。
不動産売却の際に、不動産会社に仲介を依頼するための契約です。
媒介契約は下記3種類に分類され、契約の種類ごとにメリットとデメリットがあります。
契約の種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
メリット | ・複数の不動産会社との同時契約が可能 ・売主が買主を個人で見つけた際に直接販売が可能 | ・売主が買主を個人で見つけた際に直接販売が可能 ・不動産流通機構(レインズ)への登録義務あり(契約日から休業日を除いて7日以内) ・販売状況報告を2週間に1度もらえる | ・不動産流通機構(レインズ)への登録義務あり(契約日から休業日を除いて5日以内) ・販売状況報告を1週間に1度もらえる |
デメリット | ・不動産流通機構(レインズ)への登録義務がない ・販売状況の報告義務がない | ・契約は1社のみ | ・売り手への直接売却ができない ・契約は1社のみ |
不動産流通の活性化を図るための不動産情報の交換システム。登録により、より幅広い範囲で購入希望者を募れます。
一般媒介契約は複数社との契約が可能です。しかし専任媒介契約・専属専任媒介契約のように、不動産流通機構への登録義務がなく、販売状況報告も義務化されていません。
専属専任媒介契約は、販売状況報告の頻度は高いものの、買い手が売り手を見つけた場合直接販売ができない仕組みです。
専任媒介契約であれば、売り手と買い手の直接売買契約が可能で、レインズへの登録や販売状況報告もしてもらえます。
不動産会社と所有者がそれぞれ買い手を探すことができ、不動産会社のサポートも充実している点で、専任媒介契約がおすすめです。
設備の修繕
築30年のマンションを高く売るために、設備の修繕をおこないましょう。
設備修繕により資産価値を高め、買い手側の住環境を整えられます。
築30年を経過している場合、ボイラーなどは老朽化している可能性が高いです。
少しでも高くマンションを売却するため、基本設備の修繕をしてから売却しましょう。
住宅瑕疵担保責任保険の付保
築30年のマンションが売れづらいときは、住宅瑕疵担保責任保険を付保すると良いでしょう。
中古住宅取得後に瑕疵が見つかった際に、保険金が支給される保険制度です。
住宅瑕疵担保責任保険の加入は、専門建築士の検査合格が条件であり、保険に加えて買い手に検査に合格した住宅だと証明できます。
ホームインスペクション
ホームインスペクションとは、販売前におこなう住宅診断です。
住宅の専門家が建物や設備の劣化状況を調査するため、買い手側へ安心感を与えられます。
住宅瑕疵担保責任保険の検査対象箇所を含めて診断してもらえるため、住宅瑕疵担保責任保険へ加入するか迷っているオーナーの方は、利用すると良いでしょう。
空き家の状態で売却
築30年の居住用マンションを売却する際は、なるべく空き家の状態で販売しましょう。
居住中の物件はどうしても生活感が出てしまい、買い手の印象を損なうためです。
引っ越しを済ませて空き家にし、クリーニングを入れたあとで売却しましょう。
まとめ
築30年のマンション売却相場は、2,000万円程度です。
エリアや条件によって相場は変動しますが、売却は十分可能といえるでしょう。
なるべく高値で築30年の物件を売却するためには、設備の修繕や空き家にしてからの販売などコツがあります。意識して、売却準備を進めましょう。
築30年のマンション売却で最も重要なことは、信頼できる不動産会社との媒介契約です。
信頼できる不動産会社選びに苦戦しているオーナー様には、専任媒介契約がおすすめです。
不動産会社と所有者がそれぞれ買い手を探すことができ、不動産会社のサポートも充実しているためです。
不動産会社と専任媒介契約を結んで、築30年のマンションをなるべく高く売却しましょう。