都心のワンルームマンション投資の平均利回り
ワンルームマンション投資の利回りがイマイチなときに試したい方法を見ていく前に、まずは、都心のワンルームマンション投資の平均利回りから見ていきましょう。
都心部の平均利回り
利回りとは、投資した元本に対して、一体どれだけの収益が出るかを割合で示したものです。平均値と比べて高いか低いかで、所有しているワンルームマンションの利回りの良さを判断する目安になります。都心部の平均利回りは、築年数などで次のように変わります。
・新築:3%後半~4%前後
・中古(築20年くらいまで):4%~5%半ばくらい
・中古(築20年~築35年):7%~10%
投資用(ワンルーム)マンション市場動向(2019年発表、2018年動向)の調査結果によると、首都圏の投資用マンション平均価格は上昇傾向が継続しています。投資用マンション平均価格が上昇しているということは、これから物件を購入する場合、購入価格が高いということです。購入価格が高いと利回りが低くなるので、事業環境が厳しくなっていると考えられます。
儲けが出る利回りの最低ライン
では、所有しているワンルームマンションがどれぐらいの利回りであれば、儲けが出るのでしょうか。
所有しているワンルームマンション固有の条件などを考慮せずに一般的に考えると、築20年くらいまでなら5%台後半、築20~35年であれば7~8%が、儲かる利回りのラインです。ただし、利回りはあくまでも目安です。利回りが何%あるから必ず儲かる、または損をするということは言い切れないので、注意が必要です。
現在公表されている平均的な利回り
では、都心のワンルームマンション投資の平均利回りは、実際いくらぐらいになっているのでしょうか。現在公表されている平均的な利回りを見てみましょう。
一般財団法人日本不動産研究所が公表している「不動産投資家調査」によると、東京都内のワンルームマンションの期待利回りは、目黒区・世田谷区で4.2%、墨田区・江東区で4.4%となっており、おおよそ4%前半となっています。期待利回りを計算し、4%前半であれば、平均的な都心のワンルームマンションの利回りといえるでしょう。
利回りの計算方法
実は利回りには、様々な計算方法があります。利回りの種類によって、用いる材料や示す内容などが異なります。ここでは、一般的に用いられることが多い「表面利回り」と「実質利回り」の計算方法について確認しておきましょう。
表面利回り
利回りの中でいちばん代表的なものが、表面利回りです。不動産の広告などに記載されている利回りは、表面利回りであることが多いです。
表面利回りとは「年間の家賃収入を物件価格で割ったもの」で、物件購入価格に対してどれくらいの家賃収入が得られるかを示しています。具体的には、次の計算式で求めます。
表面利回り= 年間収入 ÷ 物件価格 × 100
表面利回りは、管理費や税金などの諸経費を計算に含めていないため、実際の利回りとは異なる大まかな指標(グロス利回り)となります。
実質利回り
表面利回りとともに、利回りの計算でよく使われるのが、実質利回りです。
実質利回りは「年間収入から必要経費をマイナスした収入を、物件価格から物件購入時にかかった諸経費をマイナスした価格で割ったもの」です。
具体的には、次の計算式で求めます。
実質利回り=(年間収入 – 必要経費) ÷ (物件価格 – 物件購入時の諸経費)×100
主にキャッシュ収支のシミュレーションなどを立てることができます。表面利回りより、実態に即した指標です。
また、実質利回りは、管理費や税金などの諸経費を計算に含めているので、実態に即した指標となりますが、諸経費などは購入時にはわからない場合も多く、計算しづらいこともあります。
情報をもとに収支シミュレーションを行う
ここまでは、都心のワンルームマンション投資の平均利回りについて見てきました。利回りが分かれば、次は収支シミュレーションを行う必要があります。
そこで、ここからは収支シミュレーションを行う方法について見ていきましょう。
利回り改善には収支シミュレーションが必要
収支シミュレーションとは、物件から得られる収入や費用を想定し、利益や手元に残るキャッシュを計算することです。
利回りを改善するためには、収支シミュレーションが必要です。なぜなら、綿密な収支シミュレーションを行うことで、その物件が生み出す儲けの程度や、儲けるための利回りとの差がわかり、目標が明確になるからです。
目標とする利回りとシミュレーション結果を比較することで、改善策も具体的に見えてきます。
物件の収益性に疑問を感じている場合は、必ず収支シミュレーションを行うようにしましょう。
まずは必要な情報を集める
利回りを改善するためには、収支シミュレーションが必要です。では、どのように収支シミュレーションを行えば良いのでしょうか。
収支シミュレーションを行うためには、まずシミュレーションに必要な情報を集める必要があります。「収支シミュレーションに必要な情報」とは、保有している物件の収入や支出に関する事柄です。具体的になにが必要かは物件の状況などで異なりますが、一般的に次のような情報が求められます。
・物件の情報
構造や面積など物件そのものの情報や、物件の表面・実質利回りなど、収支に関する情報など
・収入の情報
毎月の家賃収入
・支出の情報
固定資産税や修繕費、広告宣伝費などの経営していく上で必要な支出の情報(これから購入を考える場合は、物件や土地の購入代金やそれにかかる費用の情報も必要)
・融資に関する情報
借入金額や毎月の返済金額、金利、支払利息の金額などの情報
・その他の情報
その他、収支に影響を与える情報
シミュレーションにはツールを活用する
必要な情報が集まったら、いよいよ収支シミュレーションを行います。収支シミュレーションは物件から得られる収入や費用を想定し、利益や手元に残るキャッシュを計算するものであるため、簡単なシミュレーションであれば、自分で行うことも可能です。
たとえば、利益であれば「収入-必要経費」、手元に残るキャッシュであれば「収入(現金ベース)-支出」で計算することができます。
仮に毎月の家賃収入が100万円、必要経費が40万円、借入金の支払15万円と利息の支払5万円とした場合、利益と手元に残るキャッシュは次のようになります。
【例】
利益=家賃収入100万円-(必要経費40万円+利息の支払5万円)=55万円
手元に残るキャッシュ=家賃収入100万円-(必要経費40万円+借入金の支払15万円+利息の支払5万円)=40万円
ただし、これはあくまで簡易的なシミュレーションであり、綿密な収支シミュレーションとは結果の数値が異なります。綿密な収支シミュレーションをするためは、専用のITツールを活用する必要があります。確実に利回りを改善するためにも、シミュレーションにはツールを活用しましょう。
【5種】ワンルームマンション投資の利回り改善策
ここまでは、都心の平均的な利回りや、代表的な利回りの計算方法について紹介してきました。実際に所有しているワンルームマンションの利回りを計算し、平均的な利回りよりも低い場合には、改善をしていく必要があります。
ここでは、ワンルームマンション投資の利回り改善策を5つ紹介します。
経営状態の見直しを行う
ワンルームマンション投資の利回りを改善させるためには、何といっても経営状態の見直しが重要です。経営状態の見直しをすることで、適切な利益を確保することができ、利回りが改善します。
例として次のような見直しを行います。
募集する相手や入居条件が物件のある地域のニーズに合っているか
経営状態の見直しを行う際は、物件のニーズについて考える必要があります。
たとえば、家族が多い地域で学生や単身者を募集しても、地域のニーズに合っていないため、あまり入居者は期待できないでしょう。
また、同地域の競合マンションと比べて家賃が高ければ、こちらも入居者が少なくなる可能性があります。
このように、物件のニーズが地域に合っているのかを考え、合っていなければ改善を行います。
効果的な広告戦略は行えているか
入居者を増やし、利回りを改善するためには、その物件が入居者を募集していることを知ってもらう必要があります。現在の広告の方法が効果的かどうかを見直し、効果的でない場合は改善する必要があります。
入居者にとって魅力的なマンションにする
経営状態の見直しとあわせて行いたいのが、「入居者にとって魅力的なマンションにする」ことです。
たとえ募集する相手や入居条件が地域のニーズに合致し、効果的な広告戦略が行われていたとしても、魅力的なマンションでなければ入居者は増えず、利回りも改善されません。
極端な話、外観が古くなっていたり、エレベータに故障があったりするマンションには、多くの人が住もうと考えません。こういった場合は修繕やリノベーションを行い、入居者が住みやすい環境に整備することが増加へとつながるでしょう。
また、マンションに付加価値を付けることも、入居者を増やすためには効果的な方法です。
たとえば、「空調設備を最新型に替える」「防犯設備やインターネット環境の整備を行う」といった具合です。
他の競合マンションと差別化を図ることができれば、より入居者を獲得できるようになるでしょう。
管理会社を変更する
「管理会社を変更する」ことも、利回りを改善させるための有効な方法です。
管理会社には、毎月管理費などの固定費を支払っています。この固定費とサービスを見直すことで、支出を抑えるための改善策を考えることができます。
管理会社の見直しを行う際は、別の管理会社との比較検討を行ってください。別の管理会社と比較検討を行うことで、自分が依頼している管理会社のメリット・デメリットなどを判断しやすくなります。
他社のホームページを確認したり、問い合わせをしたりして、サービス内容や費用などをチェックしてみてください。比較した結果、別の管理会社のほうがメリットや費用対効果が高いといったようであれば、管理会社の変更を検討しましょう。
うまく管理会社を変更できれば、毎月の固定費が削減し、利回りが改善することがあります。
繰り上げ返済、借り換え
利息の支払いが多いことも、利回りが低下している原因の一つです。支払っている利息が多ければ多いほどコストが増加し、利回りが悪くなります。
利息の支払いを抑えるための方法が、「繰り上げ返済」と「借り換え」です。繰り上げ返済とは、毎月の決められた返済以外に、まとまった金額を返済することで、ローンの返済期間を短くすることです。ローンの返済にかかる期間を短くすることで、その分、利息の支払総額を減らすことができます。
借り換えとは、現在融資を受けている金融機関以外から新たに融資を受け、その融資で現在の融資を全額返済するということです。
実は、高い金利が利回りを圧迫していることがあります。別の金融機関で低金利の融資がある場合や、同じ金融機関であっても、低金利の優遇を受けることができる別の融資がある場合は、低い金利のローンへ借り換えをすることで、利息の支払いを抑えることができます。
また、繰り上げ返済や借り換えにより、利息の支払いを抑えることで、キャッシュフローが改善されるメリットもあります。
専門家へ相談する
利回りを改善することで、ワンルームマンションの経営を改善させることができます。しかし、どこを改善したら良いか判断できない方も多いでしょう。利回りを改善したい人は、自分ひとりで悩まず、高い専門知識のある専門家に頼ることも大切です。
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まとめ
ワンルームマンションの投資がうまくいっていないと感じるときには、利回りが悪いことが多いです。そのため、利回りがうまくいくための対策をとることが必須です。
利回りを改善するためには、空室率の改善やコストの削減などの様々な方法がありますが、大事なのは、所有しているワンルームマンションにあった改善策を行うことです。
もし、利回りの改善にお困りの場合は、高い専門知識のある専門家に相談してみてはいかがでしょうか。