賃貸マンションの管理会社を変えるべき判断基準
賃貸マンションの運営を管理会社に任せる大家さんは多いですが、任せきりにしておくと不動産経営に支障が出る可能性もあります。
まずは、管理会社を変更したほうがいいと考えられる判断基準を紹介します。
対応に不満があり、本業に支障が出ている
管理会社の対応に不満が出てきたら変更を検討するタイミングです。
入居者のトラブルやクレームへの対応が頻繁に遅れるようなら、入居者が不信感を抱き、退去につながってしまうこともあります。とはいえ、管理会社を信用できず自身で対応すると、本業に支障が出てしまうでしょう。
そこで、管理会社の対応が会社を変更するほどのものであるか、自分なりに判断基準を設けておくと安心です。たとえば「〇日の〇時までに対応する」と期限を約束したものの、期限を守らない、それについて相談や報告がないなど信頼を裏切る対応なら、管理会社の変更を考えましょう。
空室が3ヶ月以上埋まらない
入居者確保は賃貸マンション経営の要で、管理会社にとっても重要な仕事です。長い間、空室が埋まらないようなら、管理会社の空室対策に問題がある可能性が高いでしょう。
募集が積極的に行われていないなど対外的な業務が不十分であることも考えられます。しかし他にも、共有部分の清掃や修繕を怠る、定期的な点検を行わないなど、マンション内部の管理が不十分なことも空室リスクを招きます。
いずれにせよ、業務の怠慢が空室を引き起こしている可能性があれば、管理会社の変更を検討しましょう。
管理会社を変えることのメリット・デメリット
管理会社の変更を行うことで、オーナー様側が得られるものは、メリットばかりとは限りません。管理会社を変更する際は、デメリットについてもしっかりと把握しておくことが大切だといえるでしょう。
この項では、管理会社の変更によるメリット・デメリットを紹介します。
管理会社を変えるメリット
時間と手間をかけて管理会社を変更する以上、今までの管理会社にはない明確なメリットがなければ意味がありません。
管理会社の変更によって見込めるメリットは以下の2つです。
管理の質が上がる
管理会社を変えることによって、管理の質の向上が期待できます。具体的な「管理の質」については以下になります。
・管理費が適切であること
・マンションの管理、メンテナンスが適切に行われる
・修繕積立金がきちんと積み立てられること
マンション管理の質が高い管理会社とは、これらの基本的な管理業務が徹底されている会社のことです。何かひとつでも今の管理会社に不満がある場合には、変更を検討するべきかもしれません。
管理費の削減ができる
管理会社に毎月支払う管理費のメインになるのが「管理委託費」です。入居者から徴収している管理費よりも、管理会社への管理委託費が高いケースも珍しくありません。
少しでも管理委託費を下げたいのであれば、管理会社の変更は有効な手段になります。なぜなら、最初の管理会社が設定する管理委託費は価格競争の原理が働かず、相場より高めに設定されることがあるためです。
管理会社の変更を検討することで競争原理が働き、大きく費用を削減できる場合があるでしょう。
管理会社を変えるデメリット
管理会社を変更するデメリットは、そのマンションの管理業務に精通していない会社に管理を依頼することになる点です。
マンションの管理規約・ルールは国土交通省によって定められた「マンション標準管理規約」に沿って作成されます。しかし、マンション管理組合と管理会社同士の取り決めや個別の約束は、オーナー様が把握して新しい管理会社に引き継ぐ必要があります。
マンションの設備もすべて同一ではありません。設備メンテナンスの頻度や質が落ちてしまうと、入居者の中には「前の管理会社の方が丁寧な対応だった」と不満を感じる原因になります。
せっかく時間をかけてマンション管理会社を変更したのに、対応の質が下がっては意味がありません。失敗しない管理会社選びをするためには、「事前に情報収集をする」「良い現場担当を抱えている管理会社を探す」というのが大切です。
管理会社変更に必要な5つの手続き
メリットやデメリットを踏まえた上で管理会社を変更すると決めたら、マンションの賃貸経営に支障が出ないように手続きを進めていくことになります。
管理会社変更に必要な5つの手続きについて順を追って解説します。
1.管理会社を変更する目的を明確にする
管理会社を変更するときには、新しい会社には何を求めるのか、目的を明確化することが大切です。目的が曖昧なままだと、ただ管理会社が変わっただけで、これまで抱えてきた問題の解決にならない恐れもあります。
スムーズな対応、素早いレスポンス、管理委託費の設定金額など、オーナー様によって管理会社に求める理想は異なるでしょう。こうした理想を実現するために、まずは自身が困っている問題を明確化しておくのがおすすめです。
たとえば収支のアンバランスを改善するのが目的なら、まず現状を把握し、理想とする収支バランスを確認しておきましょう。イエリーチなら、収支管理や収支シミュレーションが無料で行えるのでぜひご利用下さい。
2.新しい管理会社を選定する
管理会社を変更する目的を明確にすると、新しい管理会社を選びます。新しい管理会社を選ぶときには、必ず複数社から情報を得るようにして下さい。ホームページや資料を確認するだけではなく、直接話を聞いておくと会社の雰囲気をつかめ、選定に役立ちます。
特に確認しておきたい要素は、サービス内容、管理委託費の設定、空室対策や入居者募集の方法です。これらの要素は現在の管理会社と比較して、細かいところまでリサーチしておきましょう。
ただし、管理費は会社ごとの差が大きく、比較は難しいかもしれません。一概には言えませんが、管理費の相場は家賃収入の5~8%のことが多いです。※管理会社によって異なります。
3.現在の管理会社に解約を申し出る
新しい管理会社を決定したら、現在の管理会社に解約することを伝えます。解約の手続きは管理会社と取り交わした「賃貸住宅管理委託契約書」にのっとって行われるため、事前に確認しておきましょう。
多くの管理会社が解約の申し出から3ヵ月間を新しい管理会社との引継ぎ期間としています。解約通知をすればすぐに解約できるものではないので、余裕をもって計画を立てる必要があるので注意してください。
4.管理会社間で引き継ぎを行う
解約の申し出を終えたら、新しい管理会社と管理委託契約を交わします。その後は新旧の管理会社において引継ぎ業務を行ってもらいます。
引継ぎ業務は会社間の事務手続きですので、オーナー様自身が関わる必要はありません。基本的には新旧の管理会社に任せておけば大丈夫です。
しかし、ときおり引継ぎがスムーズに進んでいるかどうかなど、現在の進捗を確認しておくと安心です。多忙やすれ違いなどから引継ぎが滞ると入居者はもちろん、賃貸経営にも影響を及ぼします。
5.入居者に管理会社変更の旨を通知する
管理会社の変更によって入居者に不安を与えることがあります。こうした不安を払拭するために、できるだけ早いタイミングで管理会社変更を入居者に周知しましょう。
振込先をスムーズに切り替えられない、振込手数料が値上げになるなど、家賃のことで入居者とのあいだに金銭トラブルが生じるリスクもあります。振込先の変更は新しい管理会社が対応することになりますが、早めに伝えて理解を得ておくことが重要です。
管理会社変更のよくある失敗例
せっかく管理会社を変えても、新たな課題が発生したり状況がさらに悪化したりと、賃貸経営にプラスにならないこともあります。うまくいかなかった原因としてよくあげられるのが、管理会社の選び方で失敗している可能性です。
そこで、賃貸マンションオーナー様なら気を付けておきたい、管理会社変更でよくある失敗例を紹介します。
他社と比較せず決めてしまった
他社との比較を十分に行わずに管理会社を決めると、自身が希望するサービスを受けられないことがあります。
賃貸マンションを管理する仕事といっても、管理会社によってサービス内容は様々です。現在の会社では当たり前のサービスも、別の会社では対象外になっていることも考えられます。
一方で、サービスへの対価である管理費も管理会社によって差があります。
サービス内容が少なくても管理費が抑えられていれば問題ないと考えるオーナー様もいるでしょう。あるいは、管理費をかけても管理業務を充実してほしいと希望する方もいるはずです。
希望に合う管理会社と出会うためには、できるだけ多くの会社を比べ、リサーチを怠らないことが大切です。
デベロッパー系の管理会社に入ってしまった
管理会社のタイプを確認しないまま変更を行うのも失敗を招く要因です。管理会社は大きく次の3種類に分類されます。
・ビルメンテナンス系…オフィスや商業施設のメンテナンスをメインで請け負う業者。清掃や修復などで実績豊富だが、入居者対応などソフト面に不安が残ることもある。
それぞれにメリットとデメリットがありますが、特に注意したいのがデベロッパー系の管理会社です。マンションの販売主が親会社となるため、アフターサービスなどで管理会社として強く意見できない、親会社の利益を優先するといった懸念が考えられます。
また他に比べて管理費が高めに設定されていることも多いようです。
まとめ
今回は、マンション管理会社の変更によるメリット・デメリットと、管理会社を変更する流れについて紹介しました。「変更したのにサービスのレベルが低下した」といった状況を避けるためにも、管理費以外のサービスレベルについて、契約前に時間をかけて確認してください。
イエリーチでは、オーナー様が所有する物件の売却をお考えの際、お役に立てる機能を提供しております。推定資産額の確認や収支のシミュレーション、市場価格の査定依頼などです。
管理会社でお悩みの際は、こちらからアカウントをご登録ください。お問い合わせも承っております。