空室対策をする前の準備
対策を行うためには、空室になってしまう原因を探っていくことが大切です。空室が埋まらないと悩んでいるオーナーの多くは、所有物件に以下のような問題点があります。
・ 相場家賃との相違
・ 立地が悪い
・ 競合が強い
・ 競合が多い
・ 部屋に特色がない
立地が悪かったり競合がひしめいたりしている場合は、対策に時間やお金がかかります。その一方で、部屋に特色を持たせたいケースであれば、工夫次第でコストをかけずに改善することも可能です。
適切な対策方法を見つけるために、まずは空室の原因を確かめていきましょう。ここでは、空室対策につなげるための下準備・調査の方法について紹介します。
賃料相場の把握
家賃が高いことが空室の原因である場合、インターネットの賃貸募集サイトから同じエリアの類似物件を比較し、適正な家賃を算出しようとしていませんか?
実は、サイトの情報をすべて信じるのは少し問題があります。なぜなら、掲載されている賃料で賃貸契約が結ばれるかは分からないからです。
募集されている、賃料はオーナー側の意向から必ずしも相場に即しているとは限りません。契約前に利用者から賃料値下げ交渉があることを前提に、少し高めに設定している場合もあります。
大切なのは、「実際に契約につながった賃料がいくらか」を調べることです。ただし、一般人が成約賃料を調査することは難しいのが現実です。管理会社に協力してもらって適正な成約賃料の相場を明らかにしましょう。
競合物件の情報収集
不動産投資が株や債券を扱う有価証券と大きく違うのは「競合が存在する」という部分です。
有価証券の投資は株価が上がれば、参加した全員が儲かります。しかし不動産投資は自分の物件の価値が同じでも、競合の存在によって収益性が大きく悪化する可能性があります。
調べるべき競合先は、以下のような条件を満たす物件です。
・ 同じエリア(最寄り駅から3駅以内)
・ 面積が同等の物件
・ 築年数が同等の物件
競合物件をリストアップした後は、実際に現地に足を運んで確認しましょう。利用者目線にならないと気づかないこともあるからです。
・ 共用部の清潔感
・ 外壁の清潔感
・ 設備の違い
・ 募集条件の違い
・ 内装の違い
・ 物件を利用している人の年齢層
競合物件と比較を行い、自分の物件の強みと弱みを徹底的に書き出すようにしてください。弱みの部分を改善しつつ、強みになる部分を的確にアピールできるような空室対策を進めていくのが基本です。
ターゲットの絞り込み
空室対策を進めるにあたって、どのような人を対象に設備改善を行っていくのかを明確にしていきましょう。
ターゲットが決まっていないと、やるべき空室対策のポイントを絞ることができません。
万人受けする対策ではなく、ターゲットに刺さる対策を実行するのが重要です。
最低でも、「男性か女性か」「若年層か中年層か、高齢者層か」「学生か社会人か」ということは決めておきましょう。
そのうえで、「35歳の男性会社員、単身赴任を言い渡されたが仕事が多忙で物件探しに割く時間がない。家賃が高くても家具一式が揃った物件を探している」などといった、より詳細な人物像をイメージします。
詳細な人物像を設定することで、イメージしたターゲットに最適な対策を行うことができるでしょう。
空室解消につながる空室対策のアイデア
空室対策にはさまざまな手法があり、「これさえやれば大丈夫」と言い切れる完璧な対策はありません。物件の立地や利用者層によっても変わってくるため、確実な正解がないのが難しいところです。
とはいえ、空室の原因をふまえながら対策を講じていくことが、一番確実性の高い方法だといえるでしょう。
ここからは代表的な空室対策をいくつか紹介します。
募集チラシの見直し
募集チラシとは、不動産会社が店頭やインターネット上で物件を宣伝するチラシのことです。しかし募集チラシで宣伝しているのにもかかわらず入居者が集まらない場合は、チラシの印象、見栄えが悪い可能性もあります。
以下のような対策を行い、入居希望者~訴求できる形に作り直してみましょう。
・ 室内写真を新しいものにリニューアル
・ 物件掲載情報を見直し・追加
・ 入居者の目にとめるようにデザインを見直す
掲載している情報が的確で、部屋の写真が掲載されていれば「実際に見てみたい」と考えてもらいやすいものです。
実際に入居し生活している姿がイメージできるようにすることがポイントです。
アピールポイントは人気の競合物件を参考にしますが、全く同じでは意味がありません。
準備段階で検討した「所有する物件の長所」を強調するのが効果的です。
そのほか、周辺物件よりも敷金・礼金が高い場合は、こちらも見直しておきましょう。
ペット可のマンションにする
高まるペット需要に対して、「ペット可」という物件の供給が少ないのが現状です。逆にいえば、ペット可能の物件にすることで、多くの飼い主が入居希望してくる可能性が高くなります。
ただし、単にペット可能にしただけでは効果が薄いでしょう。たとえば、猫の場合なら、猫の習性に合わせたキャットステップの配置、猫が滑りにくい・ひっかき傷がつきにくい床にするなど、ペット目線でのリフォームがポイントになるでしょう。
家具付きのマンションにする
部屋にあらかじめ家具を配置しておくことは、基本的な空室対策のひとつです。単身者向け賃貸アパートの多くでは、家具備え付けが当たり前になっています。
単身赴任や学生など、すぐにでも引っ越して生活をはじめたい人には高い需要があります。
内部の清掃・改善
部屋探しをしている人は、建物や設備だけでなく、外観をふくめた物件全体の印象も部屋探しの基準にしています。
入居希望者は部屋の内部と同時に、「共用部がキレイか」という点をよく観察しています。蛍光灯が切れていたり、薄暗く見えたりすれば印象は悪くなってしまうでしょう。
少しでも印象を良くするためにも、内覧の前には以下のようなポイントをチェックしてみてください。
・ 共用部の電球が切れていないか
・ ポストにホコリや投函物が溜まっていないか
・ 自転車が乱雑に放置されていないか
・ 廊下にゴミが落ちていないか
さらに、水回りの清掃も重要です。内覧の際に排水溝からニオイが漏れると印象が悪くなるため、普段から換気と水回りの清掃・排水を徹底するようにしてください。
そのほか効果がある対策としては、「インターネット広告のサイトの更新が頻繁に行われる管理会社に変更する」「DIYを利用して低コストで部屋の模様替えをする」といった方法もあるので、こちらも覚えておきましょう。
設備の工夫
入居者が家賃と同じくらい重要視するのは、やはり物件全体の使い勝手だといえるでしょう。他の競合物件にはない独自の設備を導入できれば、効果的に差別化を図れます。
現在、入居者から人気の高い設備は以下の2つです。
・ 無料インターネット(Wi-Fi)の設置
・ エアコンの設置・取り換え
スマートフォンやパソコンを快適に使用するためにも、通信環境の整備が必要不可欠です。とくにWi-Fiは若い世代を中心に利用者が多いです。学生や20~30代の世代をターゲットにするのであれば、Wi-Fiの設置が有効だといえるでしょう。
Wi-Fiが若い世代に効果的である一方で、エアコンは世代を問わず人気の高い設備です。
大手賃貸情報サイトが行った調査によると、「次に引っ越すときに欲しい設備」の1位、「家賃が上がっても欲しい設備」の2位にエアコンが選ばれています。
セキュリティ面の強化
女性の入居者を増やすためにも、セキュリティ面の強化は必要です。「TVモニター付きインターホン」や、スマホの電子機器を使ってあける「スマートロック」、「監視カメラの設置」など、防犯効果の高い設備がおすすめです。
簡易リフォーム
建物全体の古さが空室の原因になっていることもあります。こういった場合、大規模な修繕が有効ということもあります。しかし、マンションの場合は外壁修繕などの大規模リフォームはオーナーの独断では行えません。
そこで、コストをかけずに見た目を変化させるための対策として室内の簡易リフォームがおすすめです。
「通常のガスコンロからIHに変更する」、「トイレをウォシュレット付に変更する」といったリフォームであれば、比較的簡単でコストをかけずに部屋の印象を大きく変えることができるでしょう。
空室対策で困った時は
空室対策はコストをかけずにオーナー独自でできるものもあれば、管理会社の協力が必須の大規模なものまでさまざまです。
しかし管理会社といっても数多く存在するため、どこの管理会社に依頼するか迷ってしまうこともあるかもしれません。
こういった場合は、不動産投資全般に精通した不動産業者を選ぶと良いでしょう。
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まとめ
ほとんどの空室対策は、実行したからといってすぐに成果が出るものではありません。
しかし、空室の原因をふまえて地道に対策を実行する以外に、成果へとつながる確実な方法はないといえるでしょう。
どうしても空室対策が上手くいかない場合は、信頼できるマンション投資の専門家に相談してください。本記事で紹介した空室対策をもとに、専門家と一緒に最適なプランを検討していきましょう。