入居者に好まれる水回りは?
ワンルームマンションを選ぶ入居者は10代から30代の若い世代が比較的多く、立地はもちろんのこと、暮らしやすさを重視する傾向があります。生活のクオリティを上げる設備として、まず入居者に注目されるのが水回りでしょう。
そこで、ワンルームマンションの入居者から需要の高い水回りの設備について、説明していきます。
バス・トイレは別々が当たり前
ワンルームマンションを代表する水回りといえば、洗面台とバス、トイレをひとつの空間に納めたユニットバスでしょう。施工に手間がかからないことから、1964年の東京五輪をきっかけした建設ラッシュ時に広く普及しました。
特にワンルームマンションは部屋の間取りに限りがあるため、コンパクトなユニットバスが積極的に採用されてきたのです。
しかし、かつては主流だったユニットバスも、今では不人気となっています。
歯磨きやメイク、ひげ剃りをトイレのある空間でしたくないと考える人は少なくありません。また、シャワーを使ったあとに塗れた床のうえに立つのを避けたい気持ちもあるでしょう。ユニットバスでは化粧品など日常的に使うグッズを収納する充分なスペースがないことも、不人気の理由になっているようです。
ただし、すべての入居者が独立洗面台を好むわけではありません。洗面台が独立するとそれだけ水回りに面積がとられてしまい、居室が狭くなったり家賃が上がったりといったデメリットが出てきます。また、掃除する場所が増える分、管理に手間がかかることを敬遠する入居者もいます。
ユニットバス以外にも注目しておきたい水回りが洗濯機置き場です。
ワンルームマンションでは、充分な居室スペースを確保するために、洗濯機置き場は玄関前やベランダなどの屋外になることが珍しくありません。しかし、多忙な会社員や女性にとって、防犯や防音の観点から洗濯機は室内に置かれることが望ましく、室内への設置が入居者の需要を喚起しやすいといえるでしょう。
設置する余裕がある物件を選ぼう
このように、バス・トイレ別、独立洗面台、室内洗濯機置き場など、ワンルームマンションの需要は時代とともに大きく変わってきています。安定した収益を上げるためには、入居者の需要の変化に応じて、必要な設備を設置することが大切です。
しかし、水回りの設備を増やすにはそれなりの面積を要するため、居室スペースを減らすことになります。ただでさえ平米数の限られたワンルームマンションで居室スペースがあまりに小さくなれば、いくら便利な設備を備えても需要の喚起にはつながらないでしょう。
そこで、投資用のワンルームマンションを選ぶときには、すでに人気の水回り設備が備わっている物件、あるいは設備を設置する余裕のある平米数を持つ物件を選ぶようにして下さい。
ちなみに、近年のワンルームマンションは20平米程度が主流でしたが、水回りの設備を充実させるには25平米以上は必要だとされています。
「インターネット無料」は導入すべき?
総務省によると、2018年時点のスマートフォンを含むモバイル端末の普及率は84%、ネット接続に対応するスマート家電やゲーム機などの保有率は約40%となっており、インターネットが現代人の生活に欠かせないインフラであることは疑いようもない事実です。
そんなインターネット環境を無料で提供すれば、ワンルームマンションの価値を大きく上げることができるでしょう。しかし、インターネットの無料にはメリットだけではなくデメリットも存在します。
入居者のメリット・デメリット
ワンルームマンションにあらかじめインターネット設備が導入されていれば、入居者は開通手続きや工事費をかけることなく、入居と同時にネット環境を利用できます。また、プロバイダーとの契約にしばられることもないため、退去時に違約金を支払うというリスクも発生しません。
インターネット設備の無料提供は入居者にはメリットばかりに感じられますが、デメリットがないわけではありません。
契約が物件の所有者に委ねられるため、速度やセキュリティで不満があっても入居者が内容を変更することはできません。無料で与えられる環境だからこそ自由はきかないことが、入居者のデメリットとなりえます。
オーナーの負担が大きい
インターネット設備はいったん導入してしまえば、特別なメンテナンスも不要です。しかし、導入時にかかる回線工事費や初期費用などの高額なコストがかかるうえ、毎月の利用料がオーナーの負担になります。
利用料を家賃に上乗せするケースも多くみられますが、上乗せする金額によっては、物件の需要を下げる結果になることもあります。
また、万が一空室が続けばインターネット利用料の負担もかさむでしょう。かといって、プロバイダーの入れ替えや撤去にも費用がかかるため、容易ではありません。
インターネット無料は物件の魅力になりうる設備ですが、それによって空室対策となるか、入居率の向上につながるかなど、事前に検討しておくことが大切です。
設備で差別化を図ろう
ワンルームマンションに求められる設備は、入居者の年齢や性別、生活スタイルなどによってさまざまでしょう。逆に考えると、設備によってほかの物件との違いを際立たせ、ターゲットとなる入居者の需要を掘り起こすことも可能なのです。
それでは、ワンルームマンションの設備で物件の差別化を図るポイントをお伝えします。
家具・家電付きにする
学生や転勤の多い会社員に人気なのが、家具・家電付きの物件です。
ワンルームマンションに住む期間があらかじめ限定される学生や会社員には、家具や家電をすべてそろえるのは負担です。また、家具や家電をそろえると入退去のたびに引っ越し費用がかさみます。
大学のそばや駅近くのアクセス至便な物件は学生や単身者が集まりやすいため、あらかじめ家具や家電を備えておくと入居者が見つかりやすいでしょう。さらに、内見が行われるときに家具や家電があれば実際の生活をイメージしやすく、入居者の獲得につながりやすいといわれます。
ただし、家具や家電は年月を経ると劣化します。修繕費用がかかったり買い替えが必要になったりと、メンテナンスの手間やコストがかかることも考慮しなければなりません。
女性向けの設備を充実させる
ひとり暮らしの女性をターゲットにするワンルームマンションであれば、セキュリティの強化は必須です。オートロックやモニター付きインターホン、警備会社との契約などセキュリティが充実していれば、家賃が相場より高くても納得する女性は多いはずです。
さらに、女性をターゲットにするのであれば、生活の利便性や快適性を追求することも重要となります。バス・トイレ別であることや独立洗面台、フローリング、クローゼットといった設備のほか、エアコンや2口コンロなども重視される傾向があります。
専門家に相談を
ワンルームマンションにターゲット層の求める設備を導入すれば、空室対策として大きな効果が期待されます。しかし、設備の導入にはそれなりのコストがかかるうえ、入居者が増えると確約されるものでもありません。
設備の導入によって投資を成功に導きたいなら、費用対効果を含めて充分に検討しなければなりません。そのためにも、不動産業界の動向に詳しい専門家のアドバイスを参考にするのがおすすめです。
不動産投資を行う上で、オーナー様の大きな悩みとなり得るのが空室問題です。保有する物件数が多いと、物件ごとの空き状況や収支状況を把握しきれないこともあるでしょう。
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まとめ
不動産投資を長く安定して続けるには、入居者に選ばれる物件であり続けることが重要です。時代とともにマンションに求められる設備は少しずつ変化しています。そうした変化をとらえて、入居者が求める設備を導入すると良いでしょう。
しかし、設備を導入すれば、初期費用やメンテナンスに新たなコストが発生することになります。費用対効果の見極めは難しいものです。オーナー個人で決断するよりも、専門家に相談するのがおすすめです。