管理会社から家賃が振り込まれない!賃貸オーナーが取るべき対処法

不動産経営に関わる業務を管理会社に任せている方は多いでしょう。しかしある日突然、管理会社から家賃の振り込みがストップし、途方に暮れるケースも珍しくないようです。 家賃の振り込みが滞る理由が経営難によるものだとすれば、最悪の場合、管理会社は倒産してしまい、家賃を回収できずに泣き寝入りになる可能性もあります。 この記事では、管理会社から家賃が振り込まれないときの対処法のほか、管理会社が倒産するリスク、信頼できる管理会社を選ぶ基準などについて、わかりやすく解説します。


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管理会社から家賃が振り込まれなくなる主な原因

毎月の家賃収入は、不動産投資の要です。もし管理会社からの家賃の振り込みが滞ってしまったら、不動産投資の運営に黄信号が灯ってしまいます。しかし、オーナーから賃貸管理の委託を受けたはずの管理会社が、家賃を振り込まなくなるのはなぜでしょうか。

考えられる主な原因には、次のものがあります。

銀行振り込みの際のシステムエラー

賃貸会社から家賃の振り込みは、オーナーの銀行口座への送金によって行われることが一般的です。入居者から家賃を回収後に送金データを作成し、そのデータを銀行へ送る際、管理会社あるいは銀行側のシステムエラーによって、データの取りこぼしが発生することがあり、それが原因の可能性があります。

管理会社が倒産してしまった

一度委託契約を結んだら、オーナーが管理会社に直接赴く機会は少ないでしょう。そのため、オーナーが気づかないうちに管理会社の経営が悪化し、いつの間にか倒産してしまっていることもあります。管理会社が倒産してしまうと、家賃の回収は困難なケースがほとんどです。

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管理会社から家賃が振り込まれないときの対処法

管理会社からの家賃の振込みが滞ったら、早急に対処しましょう。まずは、オーナーとして取るべき対処法について紹介します。

電話で何度も催促する

管理会社から家賃が振り込まれていないことに気づいたら、まずは担当者に電話で問い合わせましょう。

管理会社からの家賃の振込みは、不動産オーナーの銀行口座への送金によって行われます。送金日はあらかじめ契約で定められているのが一般的ですから、期日どおりの振込みがない時点で、管理会社側の契約違反です。オーナーとして、堂々と家賃の振込みを催促してください。

一度の電話で対応しないときには、管理会社に何度でも電話をかけましょう。何度も繰り返し電話をかけることは、オーナーとして管理会社の対応に目を光らせているというアピールになります。そうするうちに、ほかのオーナーよりも優先的に振り込んでもらえる可能性が高まるかもしれません。

管理会社へ訪問する

電話がなかなか通じない、電話口に担当者が出ない、言い訳を繰り返して家賃をなかなか振り込まないなど、電話だけでは解決できないようなら、管理会社に赴くのが解決への近道です。できるだけ多くの家賃を回収できるように直接交渉しましょう。

電話で依頼してもなかなか家賃を支払わない場合、管理会社の経営が傾いていることも考えられます。実際に会社を訪れると、電話だけではわからない社内の雰囲気を知ることができます。今後も不動産の管理を任せて大丈夫かどうか、あなたの目で判断するキッカケにもなるはずです。

賃貸借契約書が手元にあるか確認する

電話をかけても直接交渉しても、家賃を振り込んでもらえない場合は、家賃回収に黄信号が灯った状態です。管理会社へのコンタクトを取りつつ、すぐに賃貸借契約書の有無を確認してください。

賃貸借契約書には入居者の情報が記載されています。そこから入居者の連絡先を把握し、管理会社ではなくオーナーの口座に家賃を振り込むように、入居者へ通知しましょう。賃貸借契約書が見つからないようなら、管理会社から手に入れるか、入居者に直接書面で通知する方法があります。

入居者が管理会社に支払った家賃は再度請求することができないので、管理会社からの家賃回収が不可能になったときのことを考えて、1日でも早く行動を起こすことが大切です。

管理委託契約の解除

管理会社に不動産の業務を委託するときには、管理委託契約を交わします。家賃を振り込まない管理会社とは、早々にこの契約を打ち切っておくといいでしょう。

管理委託契約は、管理会社が業務を適切に行わないときなどには解約が可能です。

管理委託契約は民法の定める委任契約に該当し、民法第651条は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定めています。ですので、管理委託契約に6ヶ月前までに通知など解約の条件が記載されていたとしても、オーナーからの申し出による解約は可能なのです。

また、家賃を振り込まない行為は契約不履行にあたる可能性が高く、即時解約はまず問題ないといえるでしょう。

少額訴訟による債権回収除

管理委託契約の解約にもなかなか応じないなど、家賃の回収までに時間がかかるようなら、訴訟を検討しても良いでしょう。とはいえ、弁護士に依頼すると弁護費用がかさみ、勝訴したとしても赤字になることもあります。そこでおすすめなのが少額訴訟です。

少額訴訟は、訴状と証拠書類を簡易裁判所に提出すれば、原則1回の審理のみで判決が下されます。管理会社との話し合いで、和解することもできます。必要書類の記入方法は、裁判所で教えてもらえるので安心してください。

訴訟にかかる費用は、請求額によって異なる印紙代や書類の郵送代など、数千円~1万円程度です。少額訴訟は請求額が60万円以下の場合のみ利用できるので、未回収の家賃が高額になる前に対処しましょう。

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振り込まれない原因の中でも倒産リスクは要注意!管理会社が倒産するとどうなる?

管理会社からの家賃の振込みが滞ったときには、管理会社の倒産を見据えて家賃回収を急ぐ必要があります。管理会社が倒産してしまうと、オーナーは多大な影響を被る可能性があるからです。

家賃や預けている敷金が戻ってこない

管理会社は、オーナーに代わって入居者からの家賃を回収します。通常であれば、回収された家賃はオーナーの口座へ振り込まれます。しかし、管理会社が倒産してしまうと、入居者から回収済みの家賃は振り込まれないままになる可能性が高いのです。

家賃に加えて、影響が大きいのが敷金でしょう。

家賃の滞納や退去するときの原状回復費に充てられる敷金は、その性質上、オーナーではなく管理会社が預かっているケースがほとんどです。管理会社の倒産と同時に預けた敷金も回収不能になれば、入居者からオーナーに対して、敷金の返還請求を起こされるリスクもあります。

契約書などが確認できなくなるかも

入居者との賃貸借契約書をはじめとする契約書は、管理会社が保管していることが多く、倒産によってこうした契約書が紛失してしまう恐れがあります。

入居者の連絡先がわからなければ、いざというときにコンタクトを取れず、家賃滞納や隣人トラブルなどの解決が困難になるでしょう。直接の訪問や書面による通知は可能ですが、手間や時間がかかるうえ、オーナーからの通知であることを証明する難しさも課題になります。

物件のローン返済が滞る

不動産オーナーの多くは、ローンを利用して物件を購入しています。管理会社が倒産して家賃収入が減ったことでローンの返済が滞ると、最悪の場合、物件が差し押さえられたり、売却せざるを得なくなったりする恐れもあります。

家賃が振り込まれなくなった時点で早めに対処しておけば、家賃収入が大幅に減ることは避けられます。しかし少しでも判断が遅れると、管理会社の倒産=不動産経営の破綻になることもあるのです。

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現在契約中の管理会社が倒産するかも?兆候をチェック

管理会社の倒産がオーナーに与える影響は、決して小さなものではありません。リスクを最小限に食い止めるには、1日でも早く管理会社の倒産を察知したいところです。そこで、管理会社の倒産前に見られやすい兆候を紹介しておきましょう。

家賃の入金が遅れる、入金してこない

管理会社に関わらず、会社の倒産には資金繰りの悪化がつきものです。そのため、家賃の振込みが期日より遅れる、もしくは入金そのものが滞っているようなら、倒産の可能性が高まっているかもしれません。

金銭のやり取りは、誤りの許されない非常に重要な業務です。決して軽く考えず、一度でも振込みの遅延やミスがあれば、管理会社の変更を考えたほうがいいでしょう。

担当者が何度も代わる

管理会社の担当者が何度も代わるときには、社内で離職者や解雇が多発しているかもしれません。

会社の業績が低迷すると事業の売却などによって人手が余り、社員が急減することがよくあります。不動産業界は人材の流動性が高いため業界内での転職も珍しくありませんが、極端に社員が減っているときには注意が必要です。

事務所の縮小移転

一般的に、新しい事務所への移転は経営拡大を感じさせますが、規模を縮小しての移転だとしたら、収益の悪化が原因である可能性も否定できません。資金繰りが悪化すると、事務所の維持費用さえ経営の負担になります。そのため、少しでも負担の少ないオフィスに移転するのです。

また、業績悪化による社員数の減少で、広いオフィスが不要になったという理由も考えられます。

社長が不在

社長が不在がちだという管理会社は、いよいよ倒産間近かもしれません。

倒産が近づくと業績や資金繰りが悪化するので、金融機関や取引先などから会社のトップである社長への問い合わせが殺到します。しかし、資金が無いため対応できず、やがて社長は電話にさえ出なくなってしまうのです。

社長となかなか話せない、社長の不在を理由に家賃を振り込んでもらえないといった場合は、倒産は間近かもしれません。管理会社との契約をすぐに解約するのが肝心です。

もし現在契約中の管理会社に少しでも不安を感じているなら、管理会社を変更して新たに委託契約を結ぶのも選択肢のひとつでしょう。

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信頼できる管理会社を選ぶときのポイント

家賃の振込みで管理会社とトラブルを生じると、次にどんな管理会社と契約すれば良いのか、悩ましく感じるでしょう。

できることなら信頼できる管理会社と、長期にわたって安定したお付き合いを続けていきたいものです。そこで、管理会社を選ぶ基準を解説します。

物件のあるエリアに強みがある

経験や実績から管理会社を選ぶオーナーも多いですが、何よりも重視すべきなのは所有する物件のあるエリアに強い会社であることではないでしょうか。エリア情報に詳しく、トラブルにもすぐ対処できる距離感も、地元企業ならではの魅力です。

ただし、地域密着型の小さな会社であることも多いので、管理の条件など契約書類に不備がないか、しっかりと確認するようにしてください。

入居者獲得に力を入れている

安定した不動産経営では、空室リスクの回避が大きなカギを握ります。入居者の募集や獲得をどのように行っているのか、ノウハウや実績について詳細に説明できる管理会社を選んでください。

「大丈夫です」「ほぼ100%埋まっています」といったあいまいな言葉でしか説明できない会社は、契約してはいけません。「エントランスや共用部を週3日清掃して、入居者の満足度を高めています」「入居者からの声を直接聞くようにしています」など、具体的な説明があれば、日ごろからきちんと対応していることがわかります。

ほかに、管理している物件数の多さからも、管理会社の信頼度を測れるでしょう。

家賃の滞納率が低いかどうか

家賃が振り込まれないトラブルは、入居者からの家賃をきちんと回収できていれば起こりません。そのため、管理物件の家賃の滞納率からも管理会社の回収力を見極められます。

2019年度の市場調査によると、家賃の滞納率は1ヶ月分だと6~8%とやや高めですが、2ヶ月分以上となるとわずか1%前後にまで下がります。この数値から大きくかけ離れていないかで、回収力を判断すると良いでしょう。

出典:「日管協短観」(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会)

また、先ほどの入居者獲得と同様に、家賃の滞納があったときの対応について説明できる管理会社がおすすめです。

日管協預り金保証制度に加入しているかどうか

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による「日管協預り金保証制度」への加入も、管理会社の信頼を測る目安になるでしょう。

日管協預り金保証制度は、管理会社が倒産したときに、管理会社の預かる家賃や敷金の一定額を保証するものです。倒産時のトラブルにも第三者機関による公平な審査を受けられるので、オーナーとして安心して物件を任せることができるのではないでしょうか。

運用についても相談にのってくれるかどうか

委託内容はもちろん、運用についても相談にのってくれる管理会社を探すことをおすすめします。

不動産投資は、物件を購入するだけで終わりではありません。空室対策など、投資を軌道にのせるには考えるべき事柄がたくさんあります。とはいえ、不動産投資の相談にのってくれる管理会社は、意外と少ないのが現実です。だからこそ、不動産のプロとしてのサポートやアドバイスができる管理会社は希少性が高く、信頼はより大きくなるでしょう。

特に物件のあるエリアに詳しい会社であれば、入居者の募集方法などにも的確なアドバイスが期待されます。

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専門家へ相談

入居者からの需要が高く、初期費用を抑えられるワンルームマンションは、初心者に始めやすい不動産投資として人気を集めています。言い換えると、ワンルームマンションオーナーは不動産に不慣れな方も多く、不測の事態が起こったときに対処法がわからないということも多いようです。

家賃が振り込まれないトラブルは早めの対応が肝心なので、自分で対処しきれない場合はできるだけ早く専門家に相談しましょう。また、トラブルが起きても安定した不動産経営を続けていけるように、普段から収支管理を徹底して資金を確保しておくことが重要です。保有物件の収支管理には、ぜひイエリーチをご活用ください。イエリーチを利用すれば保有物件のリアルな収支状況が把握できるほか、物件売買のシミュレーションなども行えます。

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まとめ

管理会社から家賃が振り込まれないと、安定した不動産経営は成り立たなくなります。物件の管理業務を委託したとしても、日頃からオーナーとして「万が一」の事態に備えておきたいものです。

特に最近は、ワンルームマンション投資への人気が高まり、それにともない、トラブルの解決に悩まれる方も増えているようです。

イエリーチを利用したいという場合は、まずはこちらからアカウント発行をご依頼ください。