アパート経営では、空室が発生すると家賃収入が減るため、空室になる理由を分析したうえで空室対策をおこなう必要があります。
空室対策の方法によっては一時的な効果を得られても、長期的にみると損失が大きくなるケースもあるため注意しましょう。
本記事では、空室になる理由や空室対策の方法、注意点などを紹介します。
アパートが空室になる理由と見直すポイント
アパートが空室になる理由と見直すポイントを下記の順番で解説します。
・家賃が周辺相場よりも高い
・入居条件を厳しく設定している
・設備が古くなっている
・敷金礼金が高い
家賃が周辺相場よりも高い
アパートの家賃が周辺相場よりも高いと、入居者に敬遠されて空室が多くなります。
近年はアパート探しをインターネットでおこなうのが一般的となっており、エリアや希望する家賃で検索をしたときに家賃が高いと検索結果から外れてしまいます。
不動産ポータルサイトなどを活用して周辺相場を確認し、家賃が高い場合は相場にあわせて設定しましょう。
周辺相場を確認するときは、築年数や間取り、設備などのスペックや、駅やスーパーからのアクセスなどの周辺環境ができるだけ近いアパートを比較する必要があります。
入居条件を厳しく設定している
アパートの入居条件をペット不可や外国人不可のように厳しく設定していると、入居者の候補が減り、空室が発生したときに新しい入居者が決まりにくくなります。
特に、「利便性が高い」や「近隣物件に比べてセキュリティが優れている」のような入居希望者にアピールできる要素が少ない場合は、条件を緩和しないと入居者が決まらないことがあります。
空室が埋まらない場合は、入居条件を緩めることを検討してみてもよいでしょう。
設備が古くなっている
設備が古くなっていることで、入居者が決まらない可能性があります。
特に周辺に同じような物件の候補があった場合、設備が古いアパートと新しいアパートではほとんどの人が新しい方を選ぶでしょう。
このケースは、設備の追加や変更をおこなうことで空室の解消につながる可能性があります。
設備投資にはお金もかかりますが、空室解消が期待できる場合は設備投資に力を入れた方がよいでしょう。
敷金礼金が高い
敷金礼金が高いことも、空室が発生する理由です。
引越しには多額の費用がかかるため、敷金礼金が安いアパートを探す人も多くいます。
近くに同じような条件のアパートがあれば敷金礼金が少ない方が選ばれやすいため、敷金礼金を高めに設定していると空室が発生しやすくなります。
入居者が決まらない場合は、敷金礼金を減らすことを検討してみましょう。
具体的なアパートの空室対策5選を紹介
ここでは、下記の順番で具体的なアパートの空室対策5選を紹介します。
・フリーレントの実施
・広告の写真にこだわること
・管理会社の見直しや変更
・入居者の初期費用の見直し
・共有部の掃除
フリーレントの実施
新しい入居者の家賃を一定期間免除するサービスをフリーレントといいます。
たとえば、フリーレント3か月であれば、入居してから3か月間は家賃を受け取らない仕組みです。
入居者にとっては、アパートに転居する際に引越し費用や生活用品が多くかかるため、引越しの初期費用を軽減できるメリットがあります。
最初の数か月家賃を受け取らなかったとしても、そのあと数年間の家賃が期待できるため、空室が続いて家賃が途絶えるならフリーレントを活用しましょう。
広告の写真にこだわること
空室対策として、広告に力を入れて入居者にアパートのアピールをおこなうことも効果的です。
特に力を入れるべきポイントは写真で、広告の中心的な要素となるため、下記のような写真を使用することは避けましょう。
・写真が小さすぎる
・写真の解像度が粗い
・写真がピンボケしている
また、可能であれば室内の写真だけでなく、暮らしのイメージが湧きやすい家具や生活用品つきの写真にすると効果的です。
管理会社の見直しや変更
空室が続いているにもかかわらず、管理会社が積極的な空室対策をおこなわない場合は管理会社の見直しや変更を検討してみてもよいでしょう。
空室が続くということは、周辺のライバル物件に比べて家賃や利便性の面で劣っていることや、仲介会社が積極的に客付けをおこなっていないことが考えられます。
しっかりしている管理会社であれば、オーナーと連絡を取り合って空室解消に向けた対策や取り組みの提案をおこなうのが一般的です。
ただし、管理会社によっては解約に違約金を設けているところもあるため、解約の条件や契約内容を事前に確認したうえで管理会社の見直しや変更を検討しましょう。
入居者の初期費用の見直し
敷金礼金の減額やフリーレント以外にも、入居者の初期費用を減らして入居を促進する方法として、キャンペーンの導入や設備設置などがあります。
たとえば、半年間の家賃を減額するキャンペーンや、生活に必要なエアコンや照明器具などをサービスする方法です。
減らせる初期費用が少なくても、キャンペーンや生活用品のサービスがアパートを選ぶ決め手になることがあります。
共有部の掃除
共有部が汚れていると、内見者のイメージが悪くなることや退去の原因となるため、空室対策においては共有部の掃除も重要です。
共有部とは、エントランスやポスト、ゴミ置き場など、入居者全員が使用する部分を指します。
共有部の清掃はオーナー自身がおこなう方法と、清掃を外部業者に委託する方法があります。
費用を抑えたい場合は自分で清掃をおこなうのがよいですが、清掃の範囲が広い場合や遠方に自宅がある場合などは業者に委託する方法がおすすめです。
注意が必要なアパートの空室対策
アパートの空室対策によっては一時的に効果がみられても、長期的な運用においては損失が大きくなるリスクもあります。
ここでは、下記の順番で注意が必要なアパートの空室対策を紹介します。
・家賃の大幅減額
・費用対効果が低いリフォームやリノベーション
家賃の大幅減額
空室対策で家賃を見直して周辺相場にあわせることは問題ありませんが、空室を埋めるためだけに家賃を大幅減額することは長期的にみると逆効果となるため、やめましょう。
不動産経営では家賃が収入源であるため、家賃を減らすことは収益の低下に直結します。
場合によっては、家賃を減らしたことで収入よりも経費が上回り、赤字に転じることもあるでしょう。
また、改めて家賃を値上げしたい場合は正当な理由が必要となり、仮に値上げができたとしても再び空室になるリスクがあります。
空室が続いても家賃の大幅減額はおこなわず、敷金礼金の減額やフリーレントなどを活用しましょう。
費用対効果が低いリフォームやリノベーション
リフォームやリノベーションをおこない、新しい設備を取り入れることや修繕して内装や外装をきれいにすることは空室対策として効果的です。
しかし、大規模なリフォームやリノベーションには多額の費用が発生するため、空室を埋めることができても出費が増えて赤字になる可能性もあります。
大規模なリフォームやリノベーションはできるだけ避けて、想定される入居者の要望や必要とすることにポイントを絞って費用を抑えることもコツです。
また、立地や家賃に問題があるケースだと、リフォームやリノベーションをしても空室が改善されるとは限らないため、物件の売却や管理会社の変更などの検討をおすすめします。
まとめ
アパートの空室が続くと家賃収入が入らないため、空室期間を減らすためにも空室対策をおこない入居を促進する必要があります。
アパートが空室になるのには理由があるため、周辺の類似物件や管理会社に相談しながら、空室の原因やそれにあった対策をおこなうことが大切です。
不動産の空室対策で失敗しないためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。